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2019Xトライアル第1戦ブダペスト
2019年世界選手権が始まった。新年早々に始まるのはXトライアル。開幕戦はハンガリーのブダペストだ。
今回は9名が参加をしたが、結果としては王者トニー・ボウが勝利をおさめた。ボウは12月にもてぎのサンクスデイで肋骨を骨折していて、まだその負傷が完治はしていない。そんなコンディションでの勝利だから、喜びもひとしおだ。
今回の参加は9名。5名はノミネートライダーで、3名がゲスト参加となるフォーマットだが、今回はミケル・ジェラベルト(シェルコ・スペイン)が左足首の負傷で欠場している。
ライダー | マシン | 国籍 | |
---|---|---|---|
N | トニー・ボウ | モンテッサ | スペイン |
N | アダム・ラガ | TRRS | スペイン |
N | ハイメ・ブスト | ガスガス | スペイン |
N | ブノア・ビンカス | ベータ | フランス |
W | ジェロニ・ファハルド | ガスガス | スペイン |
W | ジェイムス・ダビル | ベータ | イギリス |
W | ホルヘ・カサレス | ヴェルティゴ | スペイン |
W | 藤波貴久 | モンテッサ | 日本 |
W | ダン・ピース | シェルコ | イギリス |
ワイルドカードライダーは、今後の出場の予定は未定だが、藤波は次のバルセロナ大会に出場が決まっている他、上位入賞したファハルドにも、今後参戦する権利が生まれたはずだ。
さてXトライアルは、今年からまた少しルールが変わっているが、基本的には去年までと変わっていない。最初に5セクションを全員で走り(3人ずつ3組が一期に走る。持ち時間は6分間。6分間ほとんど休みがないから、その過酷さはある意味、アウトドアの比ではない)、減点数によって順位をつける。
今回の最下位はTR2からGPへと駒を進める予定のダン・ビース。弟のジャックとともに、ガスガスからシェルコへとマシンをスイッチして、その緒戦となる。しかし残念、ピースはオール5点の25点だった。
久々にケガのない(不調が少ない)藤波貴久は、しかしクリーンゼロ、5点3つの19点で8位となった。インドアは自他共に不得意を認めるところだから、この顔ぶれからすると妥当なところでもあるのだが、負けず嫌いの藤波のこと、出るからにはもうちょっと上位を狙いたいところだろう。5点をあと一つくらい減らし、ひとつくらいはクリーンを出せるくらいが、藤波の実力といったところか。次のバルセロナはモンテッサの地元大会(モンテッサに限らず、バルセロナを地元とするメーカーやライダーは多いのだが)だけに、期待したいところ。
ラウンド1、最初のラウンドで敗退した最後の一人は、ジェイムス・ダビルだった。藤波より3点減点の少ない16点。しかしわずか1点差で、ホルヘ・カサレスに敗れている。
7位、8位9位、ピースと藤波、ダビルを除く6名が、ラウンド2と呼ばれるセミファイナルに進出する。セミファイナルは3人ずつが6セクションで対戦して、ファイナルに進む2名と3位を決めるシステムだが、3名ずつを選ぶ方法がちょっと変わっている(このルールの評価はあんまり高くない。たまたま表彰台に上がってしまったりするケースが生じるからだ)。ラウンド1の2位、3位、6位がラウンド2のヒート1、ラウンド1の1位、4位、5位がラウンド2のヒート2として対戦する。藤波いわくは、5位になるとトニーと対戦しなければいけないので、4位、5位なら6位になったほうがその後の展開が有利になるという考えもある、ということだった。ただ、トニー(ボウ)が1位になるか2位になるかはわからないし(たいてい1位だけど)、こういうのは予定して狙えるものでもないので、結果論としてこういうことだととらえたほうがいい。
ラウンド2のヒート1は、ラガが7点で勝利、1点差でファハルド、カサレスは大きく減点して15点だった。ヒート2はボウが2点、ブストが6点、ビンカスが8点だった。これで、優勝争いのふたりと、3位争いの二人、そして5位と6位が決まった。
5位はヒート2を8点で3位となったビンカス、6位にヒート1を15点で3位となったカサレスだ。
ビンカスは今回からベータでXトライアルに参戦。インドアを割と得意とするライダーではあるが、ラガと1点差、ファハルドと同点の8点は素晴らしいスコアだった。
ここで問題なのは、減点数で見ると1位はボウの2点、2位はブストの6点だが、決勝はボウとブストの対戦ではなく、ヒート1の勝者のラガと、ヒート2の勝者のボウによって争われることだ。今回に関しては、ヒート2のライダーが全体的に減点が少ないのは、ヒート1のトライを見てから走れるという優位があったからだと思われるが、いつでもヒート2のライダーの減点が少なくなるとは限らない。それでも、減点数によらず、ラウンド2の勝利者同士が決勝に進み、ラウンド2の2位の二人が3位決定戦をやるのがXトライアルのルールとなっている。
3位決定戦と決勝は、同じセクションを使いながら、これまでとは逆走になる。そして難易度も、格段に増している。
まず3位決定戦は、6セクションのうち4セクションで争われる。ここを2点で制したのがファハルド。チームメイトのブストは、第1セクションこそクリーンしたが、5点二つ、2点一つで12点。今回はファハルドの圧勝となった。これで、ブストの2019年緒戦は、4位となった。
ファハルドは2018年のXトライアルでは調子が上がらず、それで当初のノミネートライダーには選ばれていないのだが、その後舞台がアウトドアに移ってからは本領を発揮して、ついに自身初めてのランキング2位を獲得した。今回はゼッケン4をつけているが、アウトドアシーズンが始まれば2019年型のゼッケンをつけたファハルドが見られるはず(ゼッケンを自由に選べるのは20番より大きい数字となる)。Xトライアルも、このまま好成績を続ければ、全戦参加していく可能性もある。
そして最後となったのが優勝決定戦。6セクションすべてを使って、ラガとボウが一騎打ちをする。
第1セクションでボウが3点を失った。アンダーガードを引っかけると瞬間で1点をとられると厳しいインドアルールで、足つきが1回もなくても減点かかさんでいく。そして5回以上の減点で5点になってしまう。この第1ではラガが1点で抜けている。ボウが追う立場となったが、第2セクションではラガが5点となり、ボウはここを1点で抜けた。これでトップはボウに。第3は二人ともクリーン、第4で再びボウが1点、ラガが5点となって、これでほぼ勝負はついた。第5でラガが3点をとって、ラガの減点は14点。ボウはここまで6点だ。しかしここでボウが5点に。その差4点は、最終セクションでの逆転もあり得る。しかしさすがに、最終セクションは二人とも確実にしっかり走りきって、両者ともクリーン。点差は4点のまま、ボウのシーズン最初の勝利が決まった。
開幕戦ハンガリー・ブダペスト大会に続いては、2月3日、バルセロナ大会。Xトライアルではもっとも盛大な大会で、この大会のみ、日曜日の昼間に開催される。
1901BUDAPEST