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バルセロナでラガが勝利
アダム・ラガが勝った。舞台はXトライアル唯一のビッグ・スタジアム、トライアル聖地でもあるバルセロナだった。2月3日、トニー・ボウは2位、3位にハイメ・ブスト。藤波貴久は7位だった。
毎年のことだけど、バルセロナのインドアトライアルは特別だ。モンテッサ、ヴェルティゴ、TRRSはバルセロナが本拠地だし、ガスガスのあるジローナもバルセロナを首都とするカタロニア地方の大都市で、そんなに遠くない。
トニー・ボウ、アダム・ラガ、ジェロニ・ファハルド、若いミケル・ジェラベルトらはこの地域の出身だし、藤波も、ジローナ近くに住んでいて、ほぼここが地元といっていい。ハイメ・ブストとホルヘ・カサレスはちがうのだけど、かようにバルセロナを地元とするライダーやチームは多い。地元大会でいいところを見せたいというのは、だれしも共通の感覚だから、ここは一発がんばらなければいけないわけだ。
藤波は、今回のバルセロナ大会出場で、18回出場の最多出場なのだそうだ。長くトライアル界のトップに君臨しているということもあるが、藤波は去年からXトライアルのノミネートライダー(常連)ではない。なのに選ばれて出場しているということは、バルセロナのトライアルファンに愛されているからにほかならない。
さてそのバルセロナ、今回の出場者はいつもの通り9人。ノミネートライダーは五人だが、前回負傷で欠席したミケル・ジェラベルトが今回は復活している。この他、トニー・ボウ、アダム・ラガ、ハイメ・ブスト、ブノア・ビンカスの5人がノミネートライダーで、ジェロニ・ファハルド、藤波、ホルヘ・カサレス、ルカ・ペトレーラの4人がワイルドカード参戦となる。ノミネートされるかどうかは、前年のXトライアルの成績一択で決められているようで、アウトドアの成績は関知されていないようだ。
予選たるラウンド1では、やはりボウの好調が光った。5セクションによる戦いは、ボウが3点、ラガが8点で続いた。これに続く3位はビンカスで12点。フランス人のビンカスはインドアがうまい選手だが、去年あたりからは特に好成績を残している。ノミネートされて、インドア慣れが進んでいるという要因もあるのだろう。ちなみにビンカスのノミネートは、フランス人枠だからで、仮にビンカスよりテクニカルなスペイン人がいたとしても、すでにノミネートが4人もいては、つけ入るすきはないのが現実だ。
ここでは、トップ6に入るかどうかが重要になる。3位か4位かが重要でないとは言わないが、それよりも6位か7位かの方がはるかに大きな分かれ道になる。6位なら、まだ優勝のチャンスがあるが、7位ならそれでさよならだ。
藤波は、前回が8位。今回は雪辱を誓い、そのとおり成績は上げたものの、しかし7位に終わった。藤波のスコアは16点。リザルトを見ると、4位のファハルドから6位のブストまでは同点の14点。同点の場合は5セクションを走りきったタイムの差で決着がつく。藤波は、あと3点減点を減らせばラウンド1で4位が確実となっていたところだった。第2セクションでの5点が痛いところだった。
準決勝たるラウンド2は、ラウンド1の2位、3位、6位がヒート1へ、1位、4位、5位がヒート2へと進む。ヒート1は、ラガ、ビンカス、ブスト。ヒート2はボウ、ファハルド、ジェラベルトだ。各ヒートのトップがファイナルで優勝を争い、各ヒート2位のライダーが3位決定戦に進むことになる。つまりこのヒートで2位に入れば2位以上は確定するが、3位になれば3位か4位を最後に争うことになる。各ヒートで3位になってしまうと、そのスコアで順位が決定する。
ここでも好調だったのはヒート2のボウ。ヒート2はヒート1のトライを見てからと来駕できるから有利なのだが、それでもボウの減点は全員が5点となった第4セクションのほかはたった1点の計6点。ぶっちぎりだった。しかしこの第4セクションでのクラッシュが、ボウを苦境に追いつめることになった。
ヒート1を勝利したのはラガで、こちらは11点。3位を争うのは、ヒート2で2位となったブスト(15点)とヒート2で3位となったファハルド(19点)となった。
そしてファイナル。まず3位決定戦では、ファハルド9点に対しブスト8点という、チームメイト同士の大接戦となった。開幕戦ブダペストではファハルドが3位、ブストが4位となっているが、今回はこれと反対の結果。ランキングでは、両者は同点となっている。ファハルドはワイルドカード扱いだが、この好成績が続けば、もしかすると全戦出場を認められる可能性もある。
最後の決戦はボウとラガ。ボウは12月の日本での負傷が完治していない上に、ラウンド2でのクラッシュの痛みで、かなり苦しい。第1セクション、先にトライするラガが2点で抜けたのに対し、ボウは5点。次の第2ではラガ5点に対してボウクリーンと逆転に成功したが、第3で再びラガクリーンボウ5点と形勢は逆転した。このまま両者のスコアは拮抗したまま、最終セクションでラガが5点。ここをボウは1点で抜ければ文句なしの勝利だったのだが、しかし3点。これで、わずか1点差でラガの勝利が決まった。約1万人の大観衆を前にして、ボウから勝利を奪ってのラガの勝利だった。
ラガはバルセロナで勝利しただけでなく、これで同点ながら、ランキングテープルのトップに立った。12年負け知らずのボウに、はたしてラガが一矢報いることができるのか、Xトライアルはこれからの戦いがおもしろい。
1902Barcelona