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2019アウトドア世界選手権開幕前夜
トニー・ボウ・インタビュー
今週末、いよいよ2019年世界選手権がスタートする。会場はイタリア。この2年、最終戦として組まれていた会場が、今年は開幕戦となっている。
レプソル・ホンダ・チームからは、開幕戦に先がけて、トニー・ボウのショートインタビューが届けられた。
イタリア大会は、例外的に土曜日の夜に予選が組まれている。土曜日の夜を楽しみながらエキサイティングなトライアルを楽しみたいというイタリア人らしい発想のようだが、翌日の決勝に向けて整備時間が短くなるのでメカニックはたいへん。また証明があるとはいえ、暗いところに強いヨーロッパ人の青い目に対し、日本人の黒い目はあんまり暗いところに強くないので、そういうハンディも背負うことになる(日本人は幸か不幸か一人しか出ていないが)。
トニー・ボウは、すでに13回目のインドアタイトルを決めていて、このシーズンは13回目のアウトドア世界タイトルを目指すものとなる。そして、見事目標を達成すれば、26個の世界タイトル獲得という、超人的記録を達成、更新することになる。
藤波貴久は、これが24年目の世界選手権シーズンとなる。もちろんこれはすでに引退したライダーを含めて世界記録。ただ出場しているだけではない。330試合に出場し(手もとのデータでは329試合となっていて、ちょっと計算が合わない)、うちポイント獲得をしたのが324試合、表彰台獲得が162試合という大記録を打ち立てている。生涯獲得ポイントは、2位のドギー・ランプキンに500ポイント近い差をつけて、世界一だ。2018年はからだの不調もあってランキングを6位に落としたが、そのモチベーションは落ちることなく、今年も表彰台を狙って全力で戦う。
この会場で開催された、過去2回のイタリア大会では、いずれもトニー・ボウが勝利している。ボウにとってはゲンのいい会場だ。
■トニー・ボウ・インタビュー「成功こそが私の夢だ」
問「今週末、また新しい選手権が始まります。開幕戦にあたって、どんな状況ですか?」
TB「日本で肋骨を骨折してしまい、実質2ヶ月ほど療養生活を送ったので、シーズンオフには思ったようなトレーニングができませんでした。なのでシーズンを迎えるのは厳しかったです。さらにバルセロナでまた転倒し、事態は最悪となってしまいったのですが、幸いにもコンディションは少しずつよくなっていき、体も動かせるようになってきました。Xトライアルではご存知のように成功を収めることができ、アウトドアシーズンに向けてもよい準備ができていると確信しています」
問「13回のXトライアルタイトルの次は、13回目のアウトドアタイトル。そしてタイトル獲得数を倍の26にするのが目標になりますね」
TB「いいほうに考えれば、勝利して成功をおさめるということです。心配事を言えば、必勝が望まれているのは、なかなか厳しい現実です。勝利は、私だけでなく、誰もが切望しているものです。ただし幸い、私はここまで12年間戦ってきて、そういうプレッシャーには慣れています。私が、すべての戦いを楽しもうと努力しているのは、その克服のためでもあります。いま、我々はアウトドアシーズンに向けて、完璧な準備を整えています。すべては成功に向けて戦うために」
問「目標は、13回目の世界タイトル獲得です。今年、それが簡単でないとしたら、どんなことが考えられますか?」
TB「今年は、たいへんむずかしいシーズンになると思っています。というのも、このシーズンは、8つの大会しかスケジュールに組まれていません。ひとつひとつの戦いが、いつものシーズンにも増して重要になってくるわけです。一貫して上位を獲得し、可能な限り多くの試合で勝利すること。これが非常に重要です。ゼッケン1番を破って勝利するのは、ライバルにとっては、大きな目標になり、モチベーションになっています。さらにこのシーズンオフに、新しいチームとなったライバルをいます。心機一転で、より高いモチベーションを持っているかもしれません。すべて、私の成功を阻むべき大問題です」
問「今年のXトライアルは、とても接戦でおもしろいシーズンになりました」
TB「そのとおり。とても厳しいシーズンになりました。予選を勝ち抜き、さらに決勝で好成績を挙げ続けるのは、とてもむずかしい使役になっていました。ミスをするのは簡単です。そして一つのミスが、選手権獲得に致命的な結果を招くこともありえます。なので常に精神的に追い込み、高い集中力を維持していかなければいけません。このシーズンの私の戦いとチームの働きには満足していますが、今年の大きな生涯は、やはり負傷によるものがありました。コンディションが100%でないままに試合に臨まざるをえないこともありましたが、アンドラで最後の勝利を得てチャンピオンを獲得するにいたったのは、やはり最良の策を講じてきたからだと思います。
問「13の世界タイトル、62勝、75回の表彰台獲得。今後、これを再現するのは不可能だと思われます」
TB「記録された数字は素晴らしいですね。夢のような数字です。小さな子どもの頃、世界チャンピオンになりたいと思っていましたが、これを成し遂げたのは最高の喜びです。しかも一つではなく、いまや13番目を狙っているなんて、想像だにしませんでした。今はできるだけ楽しく、次なる大きな目標に挑んでいきたいと思っています。
2019年トライアルGP世界選手権
5月26日・イタリアGP
6月8〜9日・日本GP
6月23日・オランダGP
6月30日・ベルギーGP
7月14日・ポルトガルGP
7月21日・フランスGP
9月22日・スペインGP
○藤波貴久・ショート・インタビュー
24年間の世界選手権、その間には多くの成功を収めてきました。そして今年もまた、トライアルライディングを精いっぱい楽しんで戦っていきたいと思います。昨年は、肩に大きな問題を抱えたままシーズンを迎えました。今年は、久々によいコンディションでシーズンを迎えることができるようです。ここ数年より、高いレベルでトライアルを楽しめるでしょう。準備も万端です。レベルの高いライダーが次々に登場してくる中、自分を高いレベルに保つのは困難を極めていますが、しかしできるだけたくさんの表彰台を獲得できるように、がんばります。