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黒山健一、再び世界チャンピオンに向けて
黒山健一が、昨2018年に続き、世界選手権電動クラスに参戦する。黒山健一は昨年のフランスGPとベルギーGPに組まれた電動クラスに参戦、ランキング2位を獲得している。
黒山の世界選手権挑戦は、もてぎでの世界選手権レースウィークの最中に発表された。2019年の電動クラスのスケジュールは、6月23日のオランダ大会と6月30日のベルギー大会。開幕戦と最終戦の2戦のみの選手権という点は、2018年と変更がないが、開幕戦が初めての会場のオランダ大会となっている。
電動バイク世界選手権(Trial-E)は、2017年に初開催。初年度は1戦だけで、1996年世界チャンピオンのマルク・コロメがガスガスTXEでタイトルを獲得している。このときは、正直コロメ以外はアマチュアライダーとブランクの長いオールドライダーで、コロメのタイトル獲得は必然の結果と思えた(それでもコロメは第1セクションで5点となって危ないスタートだった)。
昨2018年は、3月のモーターサイクルショーでヤマハTYEがベールを脱ぎ、黒山健一がフランスGP、ベルギーGPに出場するとの発表があった。フランスGPの当日は、全日本選手権の北海道大会の当日であり、フランスGPに出場するということは、全日本には一戦休場することになる。全日本選手権的にはちょっとした波紋を生じたものだったが、世界タイトルへの挑戦は全日本のそれより大きいというメーカーやチームの判断があったものと思われる。
開幕戦フランスGPは黒山が勝利。ライバルたるガスガスのロリス・グビアンが2位となった。グビアンは2017年までトライアルGPを走っていたフランス人ライダーだが、2017年限りでGP参戦を引退していた。しかしそのテクニックは一線級。2008年にはジュニアクラス(現在のトライアル2)で世界チャンピオンとなっている。
最終戦となった第2戦ベルギー大会では、黒山とグビアンの一進一退の攻防が続いたが、結果、僅差でグビアンが勝利。黒山が2位となった。2戦戦って、一勝一敗のイーブンの結果だ。しかし世界選手権のレギュレーションで、同ポイントだった場合は、1.最高位順位の高いほう(両者1位)>2.以下、次なる順位の高いほう(両方2位)>3.直近の大会でより上位を獲得したほう、ということになっていて、これでグビアンの世界チャンピオンが決定した。これが2戦でなく3点も組まれていれば、ポイント数だけで決着がついたかもしれないが、これも規則だ。黒山健一は、2018年トライアルE世界ランキング2位、ということになった。ちなみに、黒山健一は1997年、1998年にGPクラス世界ランキング3位を獲得しているが、ランキング2位は初めての獲得となる。
そしてほぼ1年がたち、2019年の電動世界選手権のシーズンとなった。昨年の発表は3月、今年は6月になってから。昨年の大会が7月で今年は6月ということを考えると、その発表は慌ただしい。FIMとの最終的な調整があったということだが、ともあれ、これで黒山健一が再び世界チャンピオンに向けて挑む舞台が整った。
全日本選手権第2戦九州大会のあと、黒山が参戦するのは世界選手権日本大会。こちらは電動ではなくエンジンマシンだったが、ルールはノーストップ。きたる電動クラス参戦の訓練を兼ねてと考えると、日本GPは黒山にとって有意義なものになったにちがいない。
もてぎでのトークショーでは、リベンジとして2年目の朝鮮を紹介されることが多かった黒山の世界選手権挑戦だが、黒山自身は、目の前の存在する目標に向かってつき進むだけと抱負を語っている。
未来に向けて、黒山の挑戦が始まっている。さて、2年目の結果は、どうなるか。
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