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SSDT 2日目
SSDT火曜日。SSDTは、月曜日から土曜日までの6日間と決まっているので、日程がどうであれ、火曜日が2日目となる。
初日の月曜日はふたりの3点が最高得点(最高減点? 最低減点? なんと表現したらいいのか、いつも悩む)だったが、この日は4人のオールクリーンが出た。世界選手権級のライダーにとって、SSDTの30セクションは、オールクリーンができてしまうレベルなのか。
世界選手権級のライダーにとってのSSDTセクション。それはいつもの世界選手権のセクションとちがって、過酷すぎるものではないけれど、しかし容易ならざるものではある。世界選手権なら、いくつかの減点は挽回が充分に可能だし、いくつかの5点だって挽回可能な範囲であることが多い。でもSSDTでは5点をひとつ取ったら、その日のトップに出ることはまずむずかしい。
トップライダーがよくいうのは、簡単なセクションはミスが許されないからむずかしいと。しかしSSDTは、ミスを許されない戦いを6日間にわたって続けなければいけない。しかもだからといって、けっしてセクションは簡単ではない。30セクションもあるし、持ち時間がぎりぎりだから、下見の時間はあんまり多くない。そのうえ、ごろごろと動きやすい石があったりして、5点になることだって考えられるし、ぽろっと1点をついてしまうことなど、当然のように起こりうる。1日数点で回ってくるイギリスのライダーの、なんと恐れ入ることか。SSDTに出場したことがある日本人ライダーは、自分のレベルが高ければ高いほど、彼らの(SSDTに対するやや特殊な)技量に感服するのだった。
さて2日目。オールクリーンを達成したのは、マイケル・ブラウン、アレックス・ウイグ、ギャリー・マクドナルド、そしてドギー・ランプキンだ。地元スコットランドのトップライダー(マクドナルド)と他はイギリスのいずれも世界級チャンピオンたち(ブラウンとウイグは、いずれもジュニアクラスでタイトルを獲得している)。
1日目に3点でブラウンと並んでトップだったアルベルト・カベスタニーは、この日は2点が二つ、1点がひとつ、減点5でちょっと後退。2日目を終えて5位につけている。
トップはきのう3点、今日オールクリーンのブラウンで、2位はきのう6点、今日オールクリーンのウイグ。3位がきのう7点、今日オールクリーンのマクドナルドと、やっぱりオールクリーンをやらかすと上位は揺るぎない。
ランプキンは、きのうトラブルで65位と低迷していたが、この日のオールクリーンのおかげで一気に30位まで進出してきた。どこまで上位に返り咲くか、ご注目だ。いやいや、ライバルの失敗如何では、優勝しちゃう可能性だって、まだ否定はできない。
そういえば、きのう11セクションだけ走ってあとはエスケープしちゃったマーク・テシエさんは、2日目はスタートしなかった。テシエさんといえば、スコルパを創設して、その後シェルコを興した人。今もシェルコの社長さん。そしてこのシーズンオフには、スコルパを買い取って話題を集めた。今回乗ってきたのはシェルコだけど、スコルパの今後も、よろしくお願いしますね。
話が前後しました。4位はきのう6点、今日1点のベン・ヘミングウェイ。きのう書き忘れたけど、ドギーのマインダーをやったこともあるヘミングウェイだけど、トライアル・デ・ナシオンのイギリス代表選手になったこともある。スティーブ・コリーの急病でのピンチヒッターだったけど、プレッシャーに折れそうになりながら、立派に代役を務めた姿は印象深かった。SSDTとは関係ない話でごめんなさいです。
6位はジェイムス・ダビル。この日は2点。トータル10点。7位がジェイムス・ランプキン。この日5点でトータル12点。
今回、SSDTではオフィシャルがGPSを携行していて、コース図を正確に知ることができるようになってます。本家サイトからたどるとありますんで、興味のある方はご覧ください。コース図をトレースしても、地形の難易度がわかるわけではないからイマイチという気もするけど、日本のトライアルコースなど、GPSを携行しても森の中で衛星を捕捉できないことも多い。GPSがちゃんと機能するというのは、それだけSSDTのコースは空が開けているということです。スコットランドなんて森林限界を超えちゃっているような北国なんで、木が生えてないわけなのでした。

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