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ライア・サンツ、トライアルGPにカムバック
13回の世界チャンピオン、ライア・サンツが、トライアルの世界に帰ってくることを発表した。
2020年にガスガスと契約、ダカールラリーなどに参戦していたライア・サンツが、トライアルでもガスガスで参戦する。トライアルへの復帰は、2020年から予定されていたことだというが、2020年のライアはライム病に罹患し、ダカールラリーへの参戦もあやぶまれる状況だったから、トライアルへの復帰計画は先延ばしになってしまった。2021年の今年、満を持して復活、ということになる。
ライアは世界選手権女子クラスが誕生した2000年から、7年連続でタイトルホルダーとなった。そして2008年から、再び6連覇。あわせて13回の世界タイトルを持っている。世界タイトルの数比べでは、トニー・ボウに次ぐ2番目の勝利記録を持っている(第3位がランプキンで12回)。
2000年から2003年までのライアはベータのライダーだった。2004年、藤波貴久が世界チャンピオンとなるシーズンに、藤波、ドギー・ランプキン、マルク・フレイシャとともにレプソル・モンテッサ入り。2011年までの8年間に、ライアとボウ、そして藤波の3人で、あわせて18の世界タイトルを獲得した。
レプソルチームでの最後の年、ライアはダカールラリーに初挑戦、39位で完走して、女子部門で優勝をした。そして2012年、ラリーでの活動をより積極的に行うためにマシンをガスガスにスイッチ、以後、ダカールライダーとして名声を高めていくことになる。
ライアはその後も、2012、2013と女子トライアルGPに参戦、スケジュールの都合で全戦に参加できないこともあったが、無事にタイトルを獲得して、13回の世界タイトルホルダーとなった。しかしラリーとトライアルの二足のわらじはライアとて厳しいものがあり、ラリーに専念するという決断の元、2013年以降はトライアルの現場からは離れていた。
今回のトライアルへの復帰は、2020年にライアがGASGASと契約したときからのお約束だったが、不意の病によって1年延期となっていたものだ。2021年は8年ぶりにライアが世界選手権を走るシーズンとなる。マシンはGASGAS TXT 300GP、女子クラスの開幕は、6月11日からのイタリアGPとなる。
ライアはトライアルが好きで、ずっとトライアルに戻ってきたいと思っていた、8年間のブランクは小さくないし、今は復帰に向けて、日々トレーニングに励んでいるとのコメントを出している。ライアのトレーニング風景はインスタグラム(instagram.com/laiasanz_85)でもチェックできるので、その走りっぷりでこれから始まる選手権の行方をなんとなく占うことはできる。ブランクは大きいのではないかという人もいれば、やっぱりライアの方が器が大きいという人もいて、結局のところ、勝負はあけて見なければわからない、ということになりそうだ。ライア自身の予測も、そんなところ感じのようだ。
チーム監督のアルベルト・カベスタニーは、実はベータ時代にライアとチームメイトだったこともある。カベスタニーも、復帰は必ずしても簡単ではないが、ライアはきっとチャンピオンになるだろうとコメントしている。
ライアがトライアルの舞台からいなくなったあと、エマ・ブリストがタイトルを獲得し続けて、2020年で7連覇を達成した。連覇記録ではライアの記録とタイとなる。2021年は、連覇記録の更新はなるか、それはどちらが達成するのか、という点でも注目される。
なおライアは、GASGASのブランドアンバサダーへも任命されていて、今後はラリーとトライアルのみならず、さまざまな現場にGASGASブランドとともに登場するかもしれない。