© トライアル自然山通信 All rights reserved.

武田呼人、世界選手権に参戦決定
スペインにトライアル留学中の武田呼人が、ヴェルティゴから世界選手権に全戦参加することが発表になった。
武田は2020年シーズン、国際A級スーパーに昇格と同時に渡欧、ヴェルティゴで働きながら、ライダーとしてのテクニックに磨きをかける一方、ヨーロッパでの足場を築き上げることに腐心してきた。
ほんとうなら、ヨーロッパと日本を往復しながら、日本のIAS残留資格(全日本選手権でポイントを獲得すること)も得る予定だったのだが、世界的コロナ禍で一度国を動いたら元に戻れるかどうかが不透明ということで、全日本選手権には出場できず、一度もIASクラスを走ることなく、獲得ポイントなしで無情にも国際A級に退いている。
当初渡欧した際のビザは1年間で失効するため(コロナ禍で渡欧が遅れたため、ビザの有効期間を日本にいる間に使ってしまうことになったのは痛かった)、ビザの延長を試みるも、その手続きは簡単ではなく、一度日本に帰る必要が出て、ビザをとるために帰国したものの、万が一の感染を心配してちょうど開催されていた九州大会にも顔を出さず、再びヨーロッパへと旅立っていった。
ヴェルティゴで働き始めた頃から、世界選手権への参戦は話には登っていたが、呼人本人の2年目からのビザが本当に発給されるのか、というところもはっきりしておらず、発表はなかなかされないでいたものと思われる。
実績のない呼人にはトップカテゴリーのGPクラスには参加ができない。呼人が参加できるカテゴリーは、トライアル2、125(年齢的に、ぎりぎり参加できる)、トライアルE(ヴェルティゴには、マシンが存在しないような来もするが)の3つということになる。どれに出たいかといわれれば、呼人本人はT2が希望だったが、会社側の思惑もあって、こちらも参加表明が遅くなった理由の一つとなっていた。
今週末のイタリアGPには、武田呼人はトライアル2クラスで出場する。ゼッケン270番。TRIALGPのWEBサイトにあるプレエントリーリストにはまだ呼人の名前はのっていないが、プライベートで参加するのではなく、ヴェルティゴからのオフィシャル参加というかたちをとるので、ここまでくればなんの問題もないと思われる。渡欧、ビザ、異国での生活、会社やチーム、そしてお世話になっているハイメ・ブストそのコンビネーションと、初ヨーロッパの呼人には全力挑戦ばかりの日々だった。
呼人のマインダーには、これまでブストのセカンドマインダーを務めていたジェラルド・カラスコさんがやってくれることになったという。素晴らしい環境での参戦スタートとなるが、ヴェルティゴ側がそれだけの環境を用意してくれるのは、それだけ呼人を認めてくれている、ということだろう。
しかし本番はこれからだ。単身でトライアル修業にでかけて世界選手権参戦の機を得るというやりかたは、1970年代の服部聖輝以来になろうかと思われる。新時代のホープ、ヨヒト、がんばれ!