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2011SSDT

SSDT、ダビル優勝

2011SSDT優勝のダビル

 2011年のSSDTは、ジェイムス・ダビル(ベータ)が優勝した。6日間の減点、13点。2位はマイケル・ブラウン(ガスガス)で16点。グラハム・ジャービス(モンテッサ)とアレックス・ウイグ(シェルコ)が19点と続いた。
 100年目のトライアル大会。記念すべき年に初勝利をあげたダビルは、今後のトライアルに、どんな名を残していくだろう。
 そして、100年目のスコットランドに集まった著名ライダーもまた、過酷な泥地獄とたわむれて6日間を過ごしたのだった。
 なお3名が出場した女子部門では、エマ・ブリストが強豪レベッカ・クックを破って勝利している。ブリストはオッサにミック・アンドリュース以来の勝利をプレゼントしたことになる。


 スコティッシュ・6日間・トライアル(Scottish Six Days Trial。SSDT)は、イギリス北部スコットランドのフォートウイリアムをスタートゴールとして、6日間にわたって繰り広げられる。今年は5月2日から5月7日までの6日間。ちょうど、例年ゴールデンウィークに開催されているが、イギリスにはこどもの日とか憲法記念日とかみどりの日とか関係ない。それでも、日本から挑戦しようという人には、少しでも休みがとりやすい日程となっている。
 SSDTは、インポーターなどの現地の受け入れ体制がしっかりしていて、国際ライセンスのないライダーでも参加は可能だ。レンタルマシンもあって、参加費用もそれほど高くない。もちろん、誰もが参加して楽しめるかどうかはぜんぜん別の話。というか、SSDTに参加して無条件に楽しいーと大喜びしている人なんて、おそらくこの世に一人もいないはずだから。
 さて1911年の初開催以来、100年目を迎えたSSDT。100年目だけれど、実は100回目ではない。最近では、口蹄疫の蔓延で大会が中止になったり、もっと昔は第二次世界大戦で中止になったり、毎年毎年開催されているわけでもない。それでも、一世紀にわたり脈々と開催され続けているイベントの威力は、トライアルイベントのみならず、あらゆるイベントの中でも群を抜いた力強さを持っている。
 100年に渡り、変わらぬ過酷さを演出するスコットランドの大地のパワーも素晴らしいものがある。
 初日にオールクリーンをたたき出したのは二人。若手マイケル・ブラウンとドギー・ランプキン。30個のセクション、100kmから200kmに及ぶコースを走りながら、次々にクリーンしていくのはなみたいていのものではない。日本の国際A級が異口同音に語るのは、1日30点くらいはなんとかいけるが、それ以上は至難。1点、2点、ましてオールクリーンなどはあり得ない、というコンディションだ。
 しかしSSDTがむずかしいのは、それをまた6日間続けなければいけないということだ。翌日、ブラウンは2点、ランプキンは3点をとった。ふたりはまだ首位を守っているが、初日に3点を取ったジェイムス・ダビルが2日目に2点。トータル5点と射程距離にいる。

2011SSDTルジャーン

エディ・ルジャーン

 なつかしい顔ぶれでいえば、デエゴ・ボシス(ガスガス)は初日17点、2日目10点。優勝しそうな感じではないが、かなり好成績だ。過去に優勝経験のあるアモス・ビルバオは初日に21点を取ってしまって、優勝戦線的には厳しくなっている。そしてルジャーン。兄さんのほうからジョンマリーとエディとエリックの3兄弟。エディが世界チャンピオンの頃、サポートライダー(マインダーのハシリ)をやっていたジョンマリーは、しかし初日にしてリタイヤリストに載ってしまった。エディとエリックの兄弟はなかなかいい勝負で、初日はエディが49点、エリックが64点。ふたりとももういいお年だしブランクも長い。それでもこの点数で走ってこられるのは、やはり昔とったきねづかなのだろう。
 3日目、ランプキンが1点。ダビルも1点だが差は縮まらず。ブラウンは6点取ってしまってトップはランプキンの4点となった。ダビルの6点が次点で、7点にグラハム・ジャービス。エンデューロに転向したジャービスだが、SSDTはまた別枠。イギリス人にとって、心の故郷でもあるビッグイベントなのだ。
 3日を終えて、8点のライダーは多かった。ブラウン、ウイグ、ギャリー・マクドナルド(ガスガス)。マクドナルドは地元スコットランドのライダー。イギリスをひとつの国だと思っていると大まちがいで、スコットランドの人は国籍を尋ねられると「スコティッシュ」と答える。ランプキンたちはイングランド人で、別の国なのだ。マクドナルドは世界選手権で名を残したりはしていないが、SSDTに出てくればなかなかの好成績を残していく。スコットランド人にとっては、おらが大将の活躍に大興奮というわけだ。
 ここまで、ランプキンと表記していたが、実はランプキン家も何人かが出場している。まず親方ドギー・ランプキン(ガスガス)。ランプキンは1975年の世界チャンピオンマーチン・ランプキンの息子だが、ここんちのもうひとりの息子がハリーだ。ハリー・ランプキンもまた、ガスガスに乗っている。もう一人のランプキンはジェイムス。ジェイムスは長くドギーのマインダーを務めていて、トライアルの腕も達者。マーチンにはふたりの兄さんがいて、ジェイムスはすぐ上の兄さんのアランの息子だ。ジェイムスは、ガスガスでなくベータに乗っている。というのも、イギリスでベータを売っているのはジョン・ランプキンで、ジョンはマーチンの一番上の兄さんのアーサーの息子。ドギーはモンテッサやガスガスに乗るけれども、ランプキン家といえばベータなのだ。
 さて4日目。イアン・オスティアムア(ベータ)がオールクリーン。たぶんこの人もイギリスでは有名人なんだろうけど、よくわかんない。ごめんなさい。ベータUKのエントリーだから、ドギーともきっと仲良し。3日目まで14点だから、彼もなかなかがんばっているのだ。オールクリーンはならなかったが1点で続いたのはダビル、ジャービス、ジェイムス・ランプキン!、ジャック・チャロナー(ベータ)。ドギー・ランプキンは、この日は5点を取ってしまって、少し失速。ドギーのトータルは9点。トップはダビルの7点、続いてジャービスの8点ということになった。なかなかの接戦となってきた。
 5日目。コースが短く、移動も舗装路が多いので休息日、なんていわれている金曜日だが、なんの、それだけ他の部分がむずかしいということだ。それが証拠に、この日はオールクリーンが一人もいない。まぁ、疲れも出てきてるんだろうが。
 ダビルとウイグが2点。これでトップはダビルが9点、ウイグが13点でこれを追う展開となった。ドギーはこの日13点を取ってしまって、トータル22点。ちょっと望み薄の展開となってきました。実はドギーさん、この日左足首を負傷してしまっていたようです。
 さて、いよいよ最終日です。ダビルとウイグの4点差は、まずあってないようなもの。彼らの減点によっては、ブラウンやジャービスにもまだチャンスはある。最終日、1点で抜けてきたのはブラウンだった。これでブラウンは16点。ダビルが7点以上とれば、ブラウンにも優勝のチャンスありだ。ジャービスは5点、ウイグは5点。ふたりはともに19点となって、ブラウンに上位を許す結果となった。そしてダビル。勝利のかかった緊張の30セクションを終えて、最終日の減点は4点。6日間を通じて、もっとも多い減点数となったが、それがダビルに最高の結果を与えることにもなった。
 ランプキン(ドギー)はこの日はほとんどのセクションをエスケープしてリタイヤ扱いとなった。ボシスは3日目までを35点で抜けてきたが、4日目にトラブって、それでも6日間を走りきって、総減点1086点。6日目をほとんど走っていないドギーは1387点となっている。
 3度の世界チャンピオン、エディ・ルジャーンは6日間で370点。1日平均60点ちょいは、がんばっていた頃の杉谷と同じくらい。弟のエリックは356点。世界チャンピオンの兄貴を破ったのはちょっとだけ若いからだったかもしれない。
 名前を知っている人は少ないかもしれないが、オスカル・ジローも参加、164点で堂々完走している。ジローさんはモンテッサトライアルチームの総合マネージャー。かつての世界選手権ランカーでもある。日本GPにも毎年来ているから、髪の毛のない、温和な表情のマネージャーを見たことがある人は少なくないはず。世界のトライアルチームの面々は、ライダー以外でも、みんなトライアルがお上手なのだ。ジローさんは4日目に11点をたたき出している。これは立派だ。

2011SSDTブリスト

オッサのブリスト

 女子部門は、世界ランキング2位のレベッカ・クック(シェルコ)、エマ・ブリスト(オッサ)、ケティ・サンター(ガスガス)の3名が参加。サンターは少し格下だが、それでもSSDTでは強いパワーを発揮している。そのサンターが359点。なんとエディ・ルジャーンの上にはいった。すごい。女子部門の優勝争いは、6日間を通じて、ブリストの勝利となった。242点vs289点。世界選手権ではだいたいクックのほうが上位にいるのだが、SSDTでのパフォーマンスはまた別格か。あるいはニューマシン、オッサの功績なのかもしれない。
 完走者リストには、240名のライダーが名を連ねている。ダビルは2007年に続く、2回目の勝利者となった。

1 ジェイムス・ダビル ベータ 13
2 マイケル・ブラウン ガスガス 16
3 グラハム・ジャービス モンテッサ 19
4 アレックス・ウイグ シェルコ 19
5 ギャリー・マクドナルド ガスガス 32
6 サム・コナー ベータ 33
7 イアン・オスティアムア ベータ 37
8 ベン・ヘミングウェイ ベータ 39
9 アルフレッド・ゴメス モンテッサ 45
10 ジェイムス・ランプキン ベータ 45
11 Joe Baker スコルパ 45
12 サム・ハスラム ガスガス 46
13 Tom Sagar モンテッサ 46
14 ジャック・チャロナー ベータ 47
15 Ben Morphett シェルコ 51

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