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ボウに土。ラガ勝利のイギリス

ガスガスのエース、アダム・ラガが、4連勝中のトニー・ボウを破った。今シーズン2勝目。すでにボウのチャンピオンシップでの優位は圧倒的だが、ラガは元チャンピオンとして、ボウの独走に待ったをかけたかっこうだ。
舞台はスコットランドのフォートウイリアム。滑る滑るコンディションで、ラガがボウに対して得たリードは、たった1点だった。しかし、立派な勝利だった。
世界選手権イギリス大会がこの地を会場に選ぶのは去年に続いて2度目。主催にはずいぶんお金がかかっていて、プロモーション活動も立派だったが、しかしお客さんはというと、主催者が期待していたほどには来てくれなかったようだ。
去年とちがったのは、今年のイギリス大会は日曜日だけのワンデイイベントだったこと。スコットランドは、ヨーロッパ大陸からはけっして近くない。ライダーとファクトリーは、たった1日のために、巨額の遠征費を使ってやってこなければならなかったのだ。お客さんは5000人を越えた。その数字自体は、悪くない数字だったと思われる。

このイギリス大会は、なによりもスコティッシュ6日間トライアル(SSDT)のスタート&ゴール地であるフォートウイリアムで開催されるというところに意義があった。お天気も、まさにスコティッシュ・ウエザー。ときに晴れ、ときに霧雨。かと思えば豪雨。お天気によって刻一刻と変わってしまう路面のグリップは、ライダーにとって最大の懸案となった。もともとスコットランドの岩々は、猛烈にグリップが悪い。
こんなコンディションでは、多くの場合、先行のライダーやマインダー連中が、岩の表面の苔を必死で落として、ライダーの走破を助けていたものだ。しかし今日、レギュレーションによってそういったことは禁止されている。となれば、この大会で最初に走らなければいけないライダーは、その成績に多くを望めないのは誰の目にも明らかだった。
第3セクションと第7セクションで、ボウは最後のポイントの岩にさしかかったところで突然グリップを失って滑り落ちてしまった。セクションは滑りやすいだけでなく、どれもまた、とてもとても長かったのだ。
ボウはその前、第6セクションではさすがのライディングを見せていた。ここを1点で抜けたのはボウだけだ。90秒のトライ時間をめいっぱい使って、困難極まるこのセクションを駆け抜けたのだが、しかし序盤でふたつの5点を喫していたのは痛いところだった。
今回は、多くのライダーが1ラップ目の持ち時間をめいっぱい使い、そしてタイムオーバー減点を加えることになった。岩の状態が良くなるのを待った結果だったともいえる。藤波もそんな戦い方をした。

藤波は序盤は抜群の走りで試合をリードしていったが、1ラップのタイムオーバー減点は4点。これがなければ堂々の単独トップを奪っていたところだった。タイムオーバーを加算すると、ラガと同点の18点になった。ラガのタイムオーバー減点は、わずか1点だった。
ボウは、この二人に遅れること3点の21点で1ラップ目3位。4位はカベスタニーの25点だった。

2ラップ目、ボウの逆襲が始まった。ボウは2ラップ目中盤にはラガをとらえてトップに浮上。しかし試合終盤、小さなミスがあいついだ。12セクションで2点、13、14で1点を失ったボウは、これでラガにチャンスを与えてしまった。ラガは第8セクション以降をすべてクリーンして、ゴールに飛び込んだ。結果は1点差。ラガの今シーズンふたつめの勝利となった。
藤波には、疲れが目立っていた。これでは、1ラップ目の再現はむずかしい。しかしよく踏ん張って、3位争いには勝利した。3位争いのライバル、カベスタニーとはわずか1点差だった。1位2位の点差も1点、3位4位の点差も1点だった。
ラガに2勝目を許したボウだが、しかしいまだチャンピオンシップではボウが大きくリード。ボウとラガのポイント差は、15点となっている。
次なる戦いは日本のツインリンクもてぎとなる。
■世界選手権
■ジュニアクラス
去年のユースチャンピオンのポル・タレスが、このクラスで初優勝。ポイントリーダーのアルフレッド・ゴメスは今回は2位だった。ゴメスのタイトル争いのライバルはフランチェスク・モレは今回は3位。ゴメスとモレとの点差は19点となっている。2連勝したアレキサンドレ・フェラーは今回は4位に終わっている。
■ユースクラス
ジャック・シェパードが今シーズン5勝目。チャンピオン争いのライバル、セドリック・デンピエルは4位にとどまったので、ランキングポイントではシェパードがさらに7点テンピエルを突き放した。シェパードのリードは、15点となっている。
次はいよいよ栃木県ツインリンクもてぎでの日本GPだ。8月20日/21日!
Photo & Report : Mario Candellone