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TDN。スペイン優勝、日本6位

プレゼンテーションでの日本チーム。左から、イタリアねーちゃんふたり、小川毅士、野本佳章、柴田暁、マネージャーの小谷徹、監督の西英樹と最後はやっぱりいたりあねーちゃん
9月17日・18日、イタリアでトライアル・デ・ナシオンが開催された。今年は日本が出場する世界選手権クラスに6カ国が観戦。去年の5カ国(スペイン、イギリス、イタリア、フランス、日本)にノルウェーが加わっての戦いとなった。
日本チームは藤波貴久、小川毅士、野本佳章の去年のメンバーに、新たに柴田暁を加えて構成された。ところが直前になって、藤波が感染症となって試合に参加ができず。3人での戦いとなってしまった。
結果はノルウェーに敗れて6位。しかし3人という大きなハンディを背負いながらのこの結果、新生日本チームは確実に成長し続けている。
勝ったのはもちろんスペイン。イギリスが2位、3位はイタリアだった。

プレゼンテーションでの日本チーム。左から野本、柴田、小川
藤波の感染症は、家族みんなが感染してしまいたいへんなことになってしまったという。2010年のTDNは、去年のぶっちぎられの5位の惨敗から、参戦見送りの声も多かったのだが、藤波自身が「出よう」と声をかけて実現したもの。4人の選手は全国のトライアルファンからのいくばくかの資金援助を得て、自費を投じて渡欧している。けっして楽な戦いではないが、1年1年の結果が、実績と経験の積み重ねとなり、未来に向けて、大きな道標となるはずだ。

No MOTOショー。撮影:小谷徹さん
大会に向けた週末、強烈に脚光を浴びたのは野本佳章だった。日本には世界チャンピオン藤波貴久がいて、黒山健一や小川友幸、あるいはジュニアチャンピオンの野崎史高など、そうそうたるメンバーがいる。世界のトライアルファンにも、彼らの名前はすっかり浸透している。しかし一方、海外の世界選手権に出て行かない(成績が残らない)日本人選手のことは、なかなか覚えてもらえない。現状、次にヨーロッパの人に名前を覚えてもらえる日本人が登場するには、何年待たなければいけないか、ちょっと気が遠くなるところだ。
ところが野本には「逆転の発想」があった。ここ数年、野本がこつこつとトレーニングを続けてきたバックフリップ技。お国柄、日本では披露されることはないと思われるも、ここはイタリア。ちゃんと予告をしてからやったから、大観衆が集まってたいへんな騒ぎとなった。
ギャラリーの中には、世界のトライアル関係者もずらり。アダム・ラガもトニー・ボウも、ライア・サンツもみんな野本に注目した。そして大成功。これでみんな、日本の”No MOTO”の名前をすっかり覚えてしまった。

小川毅士の走り
今年は自分用のパーツを荷物をつめてもっていった各選手。あるいはイギリス大会に参戦したマシンをそのまま置いてあった柴田選手と、去年よりは参戦体制はよかったが、それでも苦戦は免れない。なんせ、主砲の藤波貴久が欠席である。成績スコアの面でも痛手だし、各セクションでのアドバイスが得られないのも痛かった。しかしそれでも、みんながんばる。

左から2位のイギリスチーム、ドギー・ランプキン、ジャック・チャロナー、マイケル・ブラウン、ジェイムス・ダビル。優勝のスペイン、ジェロニ・ファハルド、アルベルト・カベスタニー、トニー・ボウ、アダム・ラガ。3位のイタリア、ファビオ・レンツィ、フランチェスコ・イオリタ、ダニエレ・マウリノ、マテオ・グラタローラ。
勝利はスペイン。もうやる前から結果がわかっているようなリザルトだが、日本チームに関しては、1ラップ目はノルウェーに勝っていた日本チームだったから、惜しいといえば惜しい9点差の結果だった。