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マドリッドもボウ、藤波また4位
トニー・ボウは連勝記録をまた伸ばした。ただし今回はセミファイナルまでラガと2点差で、ボウにしては接戦。このところ、少しずつ勝ち方が地味になってきているから、全戦優勝の野望はけっして楽ではないのかもしれない。
藤波は4位。ボウが連戦連勝なら、藤波が毎回ファイナルに進出しているのは快挙といっていい。ベータに移籍したばかりのジェロニ・ファハルドがどうも不調の谷に落ち込んでいるという背景もあるが、それを差し引いても、インドアでのファイナル進出は、藤波にとって楽ではないはず。去年までの苦戦を考えると、今年は驚異的なリザルトを残しているといっていい。
今回は、いつもの8名に加えてJTGのポル・タレスが2度目の参加となり、全部で9名によって争われた。9名が、まず6名に絞られるのがクォリファイだ。
クォリファイのトップはトニー・ボウ(モンテッサ)。減点1点だった。続くはアルベルト・カベスタニー(シェルコ)で減点9。カベスタニーに2点差でアダム・ラガ(ガスガス)。ラガに6点差の17点で藤波貴久、藤波に3点差の20点でジェロニ・ファハルド(ベータ)とマイケル・ブラウン(ガスガス)が並んだ。ここまでがセミファイナルに進出する権利を持つ。
セミファイナルでは、クォリファイでの1位と2位、3位と4位、5位と6位がダブルレーンを戦う。藤波はラガに負け、1点減点から追い上げることになった。同じように、カベスタニーとファハルドがダブルレーンの敗者となっている。
セミファイナルはダブルレーンの他、4セクションで競われる。逆に言えば、4セクションで決着をつけなければいけないから、ひとつのポカミスは致命的だ。今回、マドリッドのセクションは、スペインのインドア選手権で使われている部材を使っている。どちらかというと、行けるか落ちるかの白黒つけやすいセクションで、むずかしいところはむずかしく、しかしどかんとあがってしまえばクリーンも近いという設定が多い。ダブルレーンで1点のビハインドは、これがなかなか苦しいらしい。
第1セクション、ボウだけがクリーン。ラガはクリーンしながら1点のタイムオーバー(30秒までは1点のタイムオーバーとなる)。藤波が1点+タイムオーバー2点。ほかの3人はみな5点だった。これでボウ0点、ラガ1点、藤波4点、ブラウン5点、カベスタニーとファハルドが6点。藤波以下は、たいへんな接戦だ。
ボウをのぞくと、その後の3つのセクションでは、第4セクションをラガがクリーン、カベスタニーが1点で抜けた他は、全員が5点だった。ボウはその第4セクションで失敗したが、第2をタイムオーバー1点のみでクリーン、第3を2点+タイムオーバー1点と確実にこなして、セミファイナルトータルは9点。ラガは11点。カベスタニーが17点。その次に、第1セクションを走破できた藤波が19点で4位。5位にはダブルレーンでファハルドに勝利したブラウン、オール5点の上にダブルレーンで敗退したファハルドは6位と、セミファイナル最下位になってしまった。ファハルドの不運は一向に復調しない。
さてファイナルを迎えて、ボウとラガのトップ争いは2点しかない。ボウは必死だ。総当たり戦のダブルレーンで全勝し、藤波が1敗(ボウに負けた)、ラガが2敗(カベスタニーにだけ勝った)、カベスタニーが全敗で、それぞれ減点0、1、2、3ときれいに並んだ。ファイナルの結果はセミファイナルとファイナルの減点を足して決まるので、ここまででボウ9点、ラガ12点、カベスタニーと藤波が20点。藤波には、表彰台の目も出てきた。
その後のおブザーブドセクションは3セクション。第5セクション(セミファイナルからの通算番号)でボウとラガがクリーン、カベスタニーが1点、藤波は1点+1点。これで藤波が同点3位から単独4位に後退。
6セクションではボウが1点+1点、ラガが0点+2点、カベスタニーが3点+1点、藤波が5点で、数字を並べるとややこしいが、ボウとラガの点差は変わらず、藤波はカベスタニーに、ここでさらに1点離された。
最後の7セクション。ここは、ボウだけが1点+1点でクリア。他の3人は全員5点だった。ボウはセミファイナルの9点に4点を加えて13点でゴール。ラガはセミファイナルの11点にファイナルで9点を加えて20点。やはりボウの優位は揺るぎなかった。
3位争いは、ダブルレーンで追いついた藤波だったが、結局はほんのちょっとずつ離されて、わずか2点差ながらカベスタニーに表彰台を譲ることになった。しかしこれで、藤波のランキングポイントは39点となり、5位のファハルドに17点差。ランキング4位は、ほぼ安泰の雰囲気となってきた。それだけに、ランキングを気にしない暴れん坊の活躍も期待される日本の藤波貴久だった。