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ボウが表彰台逃したアンドラ

Photo:FIM/Good Shoot
アルベルト・カベスタニーが優勝した。2012年6月24日、アンドラ大会の2日目のことだった。
カベスタニーの勝利は2006年アンドラ大会以来のことで、実に6年ぶりの勝利となった。
土曜日の勝利はトニー・ボウ。藤波がこのとき3位に入っている。日曜日のボウは4位。藤波は5位だった。

アンドラのカベスタニー。6年ぶりの勝利
土曜日はくじ引きで一番スタートを引き、かなり簡単だとされていた第1セクションで5点となるなど、どうにもうまくない戦いっぷりとなってしまったカベスタニー。土曜日の結果は5位と低迷してしまった。この時点でカベスタニーはランキング4位。5位の藤波には6点差まで迫られることになったが、見事、日曜日に藤波を突き放し、ラガとの点差も逆転してランキング3位に浮上した。
今シーズンのランキング2位争いはとっても熾烈。アンドラの2戦が終了した時点で、ファハルド150点。5点差の145点でカベスタニー。ラガが142点で続いている。藤波は日曜日に5位となったためポイントが130点。いまだ2位争いの輪の中に入るが、上位進出は、ちょっと厳しくなってきた。

小指の負傷はそのまま、土曜日に表彰台に乗った藤波
藤波は前回重傷を負った小指のケガをそのまま、手術しないでアンドラにやってきた。小指だから、重要な操作をする指ではなく、痛みそのものは前回のスペイン大会の時に比べるとずいぶんやわらいだということだが、それでも骨折しているのだから平気のはずがない。事実、前輪を上げたまま(トライアル畑では、つっていく、という)ポイントで充分にハンドルを引けず手が離れてしまって前転するというクラッシュもしてしまった。

土曜日の表彰台。3位表彰台がにぎやかなり
それでも土曜日に3位表彰台に入れたのは、勝負どころのひとつである第4セクションを2点と3点でまとめたことが大きかった。ここは大きくハンドルを引く必要があるとのことで、今の藤波にはこのアクションをするのは無理。トップライダーが正面からアプローチすればクリーンの可能性もあるが、もちろん失敗すれば5点となる。
藤波は正面からのアプローチは最初からあきらめて、足をついて無理やり走破する手段に出た。3点覚悟だったのだがたまたまうまいこと2点で抜けられたこともあって、このセクションだけを見れば、5点とクリーンでここを抜けたファハルドと同点のトップということになる。
指の負傷もあって苦戦が予想はされたが、その逆境を逆に自らのラッキーに導いた藤波の勝利の表彰台獲得だった。

土曜日は勝利したものの、日曜日はなんと4位のトニー・ボウ
今シーズン2度目の敗戦。しかも今回は表彰台も逃してしまったトニー・ボウ。実はボウも、前回のスペイン大会でクラッシュして、すねに傷を持つ身となってしまっている。腱が切れかかっているということで、こちらも手術の必要性が問われている。
幸い、ボウはランキング2位のファハルドに今回で40点差をつけた。次戦のイタリア大会でファハルドに負けなければ(そしてカベスタニーに5点以上ポイント差を縮められなければ)タイトルを決めることができる。早くタイトルを決めて負傷療養に専念させたい周囲と、チャンピオンはもちろんだが1戦1戦の勝利への願望が激しいボウ。イタリア大会と、時間を置いた最終戦イギリス大会(こちらは2日間制)では、勝利の行方とともに、ボウのケガの状態も気になるところとなった。
今回、ボウは日曜日に4位となったが、これは負傷とは直接関係がない。最後の勝負どころとなった14セクション。1ラップ目には1点で抜けていたが、2ラップ目に別のラインを模索した。ちょうど、すでに4位になれないことが決定的となっていた藤波がすぐ前を走っていたので、藤波がこの別のラインをトライしてみせた。ぎりぎりだったが失敗して5点。これを見てボウは1ラップ目と同じラインでトライしたのだが、しかし5点。
この5点ひとつが決定的となって、ボウは表彰台から滑り落ちたばかりか、もしここをクリーンしていれば、カベスタニーとは同点ながら優勝していた計算になるのだった。

ランキング4位。なかなか本調子にならない戦いが続くアダム・ラガ
今シーズン、藤波はもちろんだが、なかなか波に乗れないでいるのがアダム・ラガ。今回も日曜日には表彰台に上がったが、コンスタントではなくなってきている。世代交代なのか、しかしカベスタニーの復調などもあり、このトップ5のふんばりは、まだまだあなどれない。
今回は、いつものアンドラ大会にすればセクションは簡単め。それがミスひとつで順位がひっくり返る要因となった。どうも今年は、これがFIMの方針として定着しつつあるようだ。

タイトルを決めたフェレルが勝利したジュニアクラス
なお今回のアンドラで、ジュニアクラス(オープンクラスも)のアレッシャンドレ・フェレル(フェラーとかフェレールとかいろいろ表記しちゃってすいません。フランス人の名前をカタカナで表記するというのが、そもそも無理なのだと思うのです)が、早くもチャンピオンを決めた。ジュニアクラスとユースクラスは、全13戦のうち11戦の高順位を集計してランキングを争う有効得点制なので、連戦連勝のフェレルが早々とタイトル決定となったわけだ。

野本佳章。注目度満点。
ヨーロッパでの参戦を続けている野本佳章は、今回はポイント獲得ならず(オープンクラスで)。お客さんの声援に応えて、十八番のバックフリップはちゃんと披露したとのこと。トライアルの成績はともかく、野本の名前は世界のトライアルフィールドで、確実に定着している。

日曜日の表彰台。珍しい顔ぶれとなった。
■土曜日結果



■日曜日結果


