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ファハルド、ついに優勝
3月12日、南アメリカはアルゼンチン、ブエノス・アイレスで開催されたインドア世界選手権で、若きルーキー、ジェロニ・ファハルドがついに優勝した。
この大会、アダム・ラガはタイトルを決定するかという試合で、それが影響したのか、ラガの走りはいつもとは少しちがっていて、精彩がない。一方、計算上はまだタイトル奪還のチャンスがあるアルベルト・カベスタニーは、ラガに輪をかけて精彩を欠き、なんと6人中最下位になってしまった。ラガは3位でファイナルに進出。ファイナルを待たず、ラガはこの時点で、2戦を残して3年連続のインドア世界チャンピオンを決定した。
藤波らモンテッサチームは、大西洋を渡る遠征に、テスト中のワークスマシンを運ばず、市販車での参戦となった。もちろんハンディは小さくないが、今回は藤波とフレイシャが善戦。藤波は優勝の可能性のある走りで、しかし市販マシンのウィークポイントをつかれて3位に落ち着いた。
今回は、南アメリカという、ヨーロッパから遠い土地のせいか、ワイルドカードライダーの登場はなし。レギュラーメンバーの6人だけが、はるばる南半球のアルゼンチンを訪れた。
今回のトップバッターはラガ。前回トップスタートだった際は、スタート順などどく吹く風、ばりばりクリーンをたたき出したものだったが、今回は第1セクションから5点。タイトル獲得に向けての緊張なのだろうか。しかしその実、今回のセクションは微妙にむずかしい設定だった。続くランプキンも、減点は少なくない。
ラガとランプキンに続いてスタートしたのが藤波。藤波はふたりの走りを観察し、5点の可能性が高いセクションとクリーンできるセクションをよりわけ、クリーンできるセクションを集中してトライした。そしてクォリファイは2位で通過。なんとクォリファイトップはファハルドだった。
ファハルドのクォリファイトップはこれが初めてだが、今回のファハルドはうまかったというより、ライバルの失敗にうまく乗じて得た成績だった。
カベスタニーは、持ち前のうまさはあいかわらずだが、今回はクリーンしそこないの5点が多かった。ラガのタイトル阻止の主役ではあるが、事実上、すでにカベスタニーがタイトルを獲得するのは不可能(ラガが3戦連続無得点でカベスタニーが3戦連続で勝利するなど場合でこれが実現するが、インドアではスタートすればポイントは3点が与えられる)。ラガのタイトル獲得劇を、自身のぶっちぎりの勝利で水を差そうとした結果の、失敗劇だったかもしれない。カベスタニーは、最下位の6位となった。この浮き沈みの激しさも、カベスタニーの持ち味のひとつだ。
フレイシャは、ここ2戦続けて4位を獲得した。シーズン序盤の低迷期から、徐々に4ストロークマシンに乗り慣れてきているようにも思える。
ランプキンはフレイシャに破れてモンテッサチーム最下位の5位。ファイナル進出からは遠い戦いを続けていることに、本人も動揺は隠せないようだ。
そしてファイナル。序盤の2セクションは、藤波がゲームをリードした。しかし第3セクションのビッグステップは、2ストロークのガスガスのためにあるようなポイントだった。もちろん4ストロークだから走破不可能という地形はないのだが、世界のトップクラスのインドアセクションでは、トップライダー用のマシンが必要だ。今回藤波が走らせたのは誰でも購入できるスタンダードマシンだったから、ラガらのワークス・ガスガスの向こうを張るのは、ちょっと無理があった。
ビッグステップさえ登れてしまえばあとは簡単だったから、ここでふたりがクリーン、藤波だけが5点。ここで藤波は3位に落ち着き、以後、3位のまま挽回を試みるも、ダブルレーンのあと、ふたたび藤波に厳しいビッグステップが登場。この5点で、藤波の3位は確定的となった。
ラガとファハルドの戦いは、最後の最後まで続いた。最終セクションでラガが5点をとると、ファハルドはタイムオーバーの1点(インドアトライアルでは、ひとつのセクションで1分をすぎると減点が加算される)を加えて3点でここを通過。ハイジャンプでバーを落としながらも、初優勝を達成した。
先輩ラガのチャンピオン獲得劇に向けて、後輩なりのはなむけだったのかもしれない。ラガが優勝し、ランプキンが5位に沈んだことで、ランキング3位はファハルドが浮上。50ポイントのファハルドに対して、ランプキンは49点、藤波が48点と、こちらの争いも熾烈になっている。
Indoor Trial World Championship 2005
Buenos Aires Indoor Trial
Final Lap(決勝) | |||
1位 | ジェロニ・ファハルド | ガスガス | 16 |
2位 | アダム・ラガ | ガスガス | 17 |
3位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 24 |
Qualificarion Lap(予選) | |||
1位 | ジェロニ・ファハルド | ガスガス | 19 |
2位 | 藤波貴久 | レプソル・モンテッサ・HRC | 21 |
3位 | アダム・ラガ | ガスガス | 23 |
4位 | マルク・フレイシャ | レプソル・モンテッサ・HRC | 24 |
5位 | ドギー・ランプキン | レプソル・モンテッサ・HRC | 28 |
6位 | アルベルト・カベスタニー | シェルコ | 28 |
PointStandings(ランキング) | |||
1位 | アダム・ラガ | 96 | |
2位 | アルベルト・カベスタニー | 72 | |
3位 | ジェロニ・ファハルド | 50 | |
4位 | ドギー・ランプキン | 49 | |
5位 | 藤波貴久 | 48 | |
6位 | マルク・フレイシャ | 36 | |
4位 | ドギー・ランプキン | 49 | |
7位 | トニー・ボウ | 14 | |
8位 | タデウス・ブラズシアク | 8 | |
9位 | ジェローム・ベチューン | 5 | |
10位 | ミケーレ・オリツィオ | 1 | |
11位 | 野崎史高 | 1 |