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SSDT終了

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表彰式でのトップ3人
左からビルバオ、コナー、ヘミングウェイ

 SSDTが終了した。
 優勝はシェルコに乗るサム・コナーで、彼は初優勝。ベン・ヘミングウェイ、アモス・ビルバオが続いている。
 日本勢は、杉谷真が念願のファーストクラス。国際A級の森進太郎ももちろんファーストクラス入賞だ。小林由利子は、ぎりぎり、無事完走。猪倉誠治はタイムオーバーで失格。
 その他、初出場の3人は、いずれもリタイヤとなった。


 サム・コナーの最終日の減点は5点。この日のベストスコアはベン・ヘミングウェイの2点だったが、5点は悪くない。これで、追い上げるヘミングウェイ(トータル21点)に1点差で勝利を得た。ジュニアカップでも世界選手権でも、およそ勝利らしい勝利とは縁がなかった(ジュニアカップでは、何度かは勝っていたかもしれない)コナーだが、イギリス人にとってある意味で世界選手権より意味合いの大きな勝利を獲得した。おめでとう。トータルの減点は20点。1日平均、減点3点ちょっとというびっくりの好成績だ。
 4日目までトップを守ったジョルディ・パスケットは、なんと最終日につづけて5点をふたつとるという大失敗で、この日減点16。トータル34点で総合では7位まで順位を落としてしまった。パスケットが5点をとったふたつのセクションは、確かにむずかしいセクションだったのだが、これで5日間の健闘が振出しに戻ってしまった。残念。パスケットは、まだ修業が足りなかったようだ。
 トップ3人は、いずれもドギー・ランプキン周辺の人々。コナーは2000年当時、ランプキンのプライベートチームのメンバーだったし、ヘミングウェイと3位アモス・ビルバオ(トータル24点)は現役のランプキンのサポートメンバーだ。ランプキンファミリーのトライアル界支配は、こんなかたちでも続いている。
 4位はジェームス・ダビル(25点)、5位にスティーブ・コリー(28点)、6位にグラハム・ジャービス(32点)。ビルバオ以外はここまでみんなイギリス人だ。

表彰式でのライア・サンツ
表彰式でのライア・サンツ

 そういえば、注目するのをすっかり忘れてしまっていたけど、元世界チャンピオン、トンミ・アーバラは17位。トータル減点は67点だった。ジェームス・ランプキンは72点で19位。序盤、今年はあんまりぱっとしなかったけど、最後には、いつもいるべき位置にまで復活してきた。ジェームスの実力からすると、もうちょっと上位に入ってもおかしくない気がするが、ドギーのサポートから退いて、ちょっと気が抜けたという状態なのかもしれない。
 ドギーの弟のハリーはトータル120点で31位。
 1枚目の下のほうには、ついにここまで進出してきた。ライア・サンツ。トータル147点で39位。ニューカマーの争いでも、最終日に逆転があって、1点差で4位となった。しかし39位はすごい。
 2回目の参加となった森進太郎はリザルト3枚目、88位。トータル310点。タイムオーバーもなく、国際A級としてまずまずの成績。でもたぶん、80位あたりまでくると、イギリス人の名もないおやじとかがいっぱいひしめいていそうだ。でもともあれ、完走、おめでとうございました。
 イリス・クラマーは108位。100位以内は無理だったけど、堂々たる完走だ。さすが、元世界チャンピオンである。トータル減点は358点。
 杉谷は今日はタイムオーバーが3分あった。トータル425点、129位でリザルトは4枚目の上のほう。加齢とトレーニングなしのぶっつけ参加を考えれば、すばらしい結果だったと思う。

ムーアのコース
参加者しか見ることができないムーアのコース

 杉谷は、毎年SSDTから帰ると、毎回のように手首の痛みを訴えている。要するに腱鞘炎なのだが、手首をかばいながらの最終日だった。ただしこういうハンディがあるのと成績とはちょっと別のようで、調子はよくて、なんとかファーストクラスにひっかかった。
 ファーストクラスという言いかたが耳慣れない人もいると思うけど、トライアルは、もともとイギリスが発祥だから、順位のつけかたも少し特殊で、優勝ではなくてベストパフォーマンスといい、2位はランナーアップと呼ぶ。で、3位以下はまとめてファーストクラス、セカンドクラスと分類される。一番上手だった人、惜しかった人、うまい人大勢、がんばった人大勢、みたいな分類だ。SSDTでは、さらにスペシャルファーストクラスという分類もある。各々、全参加者の何パーセントというような取り決めがある。全日本選手権でも、80年ごろまではこんな呼び方で順位を言い表していたものだけど、どう考えても今風ではないからでしょう、言わなくなってしまった。これも、SSDTが伝統のイベントであるひとつの現れでしょう。
 最終日は、ゴールしてから表彰式もあるので、ランチコントロールはなく一気にスケジュールが進む。ランチコントロールといっても、日本のツーリングトライアルとはちがうから、景色を見ながらゆっくりお食事をするなんてことはない。決められた時間までは走れないしマシン整備もできない。ランチコントロールの15分間は食事と休憩に専念させられる。食事は、最近ではハンバーガー屋さんがやってきているようだ。といってもたったの15分だから、ちゃんと食事をした気にはならないにちがいない。景色を見ながらゆっくりお食事をするなんてことはない。決められた時間までは走れないので、その間に燃料補給をし、アーミーが用意してくれたリンゴとかチョコバーをほうばり、チェーンに油を差しながら(あるいは寸暇を惜しんで体力の回復を願うか)スタート時間を待っているという図式だ。

表彰式の由利子さん
まだあと10日くらい走れそう
元気たっぷりの小林由利子さん
左はときどき話題に出てきたボイタさん
実は後ろに猪倉さんと野牧さんがいる

 しかも最終日は、距離が少し短い割に、最後の最後にムーアでとどめを刺されるしくみになっている。終わりだと思っても、終わってくれない。地獄の中の仏とはいうけど、SSDTには地獄の中に閻魔様が何人も待ちかまえているってわけだ。しかも最終日も、雨と氷に見舞われ、寒いわ、雨と氷がからだにばちばち当たって痛いわ、たいへんだったそうだ。それが、SSDTの楽しみなのだから、自業自得というか、楽しめてよかったねというしかない。苦しいならいくのをやめればいいのにと思うけど、そういうものじゃないのだから、しかたがない。
 杉谷は、今回ぜんぜんダメだの、疲れただの痛いだの泣き言を言っているけど、自慢もある。ベンネビス(イギリス一番に高い山。ベンとは山という意味のスコットランド語のようで、ようするにネビス山。ただし標高は1000メートルもない)に向かう途中の最後のほうに、恒例の難しい岩盤セクションがある。杉谷はここを「どうせベタ足になるから」と、下見なしでつっこんだのだが、なんとクリーンしちゃった。自分でもビックリしたしけど、オブザーバーもビックリで大喜びしてくれたし、観客も周囲のライダーもすごいすごいと喜んでくれたらしい。このクリーンがあってファーストクラスにひっかかれたと、本人はご満悦だ。
 ゴールして宿に戻った杉谷は、シャワーすら浴びる元気がなくて、そのままベッドに倒れ込んで2時間動けなかった。気を取り直してシャワーを浴びて、最後の力を振り絞って表彰式に出かけた杉谷だった。ただし、表彰式でいっしょに走っていた顔ぶれを見ると、6日間ずっと一緒に回っていたライダーのほとんどがトップ20以内のやつらばっかりだった。この連中とだいたい同じペースで回れたということが今年の収穫だと、杉谷は自己分析している。リザルトはたいしてよくなっていないしむしろ落ちているくらいだけど、やはり1年目よりは2年目、2年目より3年目と、つかんでいくものはある。
 6日間走った杉谷、1日目にピッタリサイズだったトライアルパンツが、6日目はゆるゆるになって少しずり落ち気味だった。中身がゲッソリ痩せちゃったからかもしれない。手首が痛いので、もうなにも考えずにゆっくり寝られるというのに、なかなか寝つけそうにない。本当に、ご苦労さまだ。
 女性ライダー3番手、イギリスのケティ・サンターはリザルト5枚目、189位。トータルで573点。ボイタさんは186位で、彼女の少し上位にいる。みんな、すごい。
 最終日のリザルトは、失格しながら走っている人は削除されちゃうから、急に人数が減ってしまう。完走は全部で223人。そして222位が、小林由利子さんだ。今日のタイムオーバーは44点、減点177点。6日間トータルでは878点。ちなみに最下位の人は、減点927点だった。

神部さんと宮川さん
神部さんと宮川さん。何日目かのゴールにて

 失格者の中では猪倉さんが、最終日まで走った。この日の減点は214点。タイムオーバーが94点もある。猪倉さんは、去年もコース上の写真を走りながら熱心に撮影していたから、最終日には、撮影しながら時間を気にせず走ったのかもしれない。でも、一生懸命走ったけど、疲れてしまっていてこれが精いっぱいだったのかもしれない。2年目の猪倉さんは、完走はならなかったけど、とにかく6日間走りきることができた。
 最後の2日間をお休みした神部さんは「実体験しないとわからないことだらけだった。想像以上にすごいセクションを目の当たりにしてしまい、初日から戦意がなくなっていたのかもしれない。でも、今回の経験によって具体的に見えてきたことがたくさんあった。このままでは自分自身がすまされないです」と、早くもこの地に帰ってくることを誓ってしまったようだ。
 宮川さんは「今は体の痛みや疲れがどっときていて、しばらくは落ち着いて考えられない状態です」とのこと。いずれも、表彰式あと、ビールをガバガバ飲みながらお話した際のやりとりでした。

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