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藤波ついに返り咲き。イタリアGP
7月2日イタリアGP、強い藤波が、帰ってきた。タイムオーバーを喫しカベスタニーに追い上げられるも、同点クリーン差で第2戦ポルトガルGP以来の優勝を飾った。
ランキングトップのアダム・ラガは5位。いまだリードは大きいが、ちょっと失速。藤波はランキング4位は変わらないが、ランキング3位のボウに1点差まで迫った。藤波とラガとの点差は18点。
ジュニアクラスはダニエル・ジベールが勝利。ユースは地元イタリアのマテオ・グラッタローラが日本GPに続いてシーズン2勝目をあげた。
藤波は完全復活を立証した。イタリアGPでの優勝は、ポルトガルで勝って以来の長い不調を克服しての、堂々たる勝利だった。アメリカGPの前から続いている藤波の体調の異変は、いまだ完調ではないが、しかし日に日に回復していて、今ではもう、体調のことはほとんど考えることはないという。
藤波の復調は、先週のフランスGPから明らかだった。でも藤波は優勝戦線のまっただ中にいたが、先週は最後の最後で勝機に見放されていた。ランプキンと同点ながらクリーン差で2位に甘んじたのだ。
今回、勝負は再びクリーン差に持ち込まれた。今度の藤波のライバルはカベスタニーだった。そして藤波は、今週は勝負運も取りもどしていた。
今回のイタリア大会は、本当に暑かった。しかもぱさぱさに乾いていたから、ほこりっぽかった。セクションは第7と第8、ふたつの人工セクションをのぞいては、全部乾いた岩で構成されていた。岩々には、すべてうっすらとほこりが乗っているから、よく滑る。なかなかの難セクションだ。気温は30度を越えている。日陰はない。
参加ライダーは79名。これに声援を送るのは、灼熱の太陽の下に集まった9000人のギャラリーだった。
79名のうち、今回の大会が特別のトライアルだった選手がいる。ディエゴ・ボシスだ。ボシスはこの大会が、自身200大会目のトライアルとなる。今年39歳。すでにライバルたちはみな引退したが、ディエゴはこうしてときどき世界選手権に参戦する。驚くことに、ディエゴはいまだにトライアル・デ・ナシオンのイタリア代表のひとりなのだ。そしてこの大会、13位となった。14位のファビオ・レンツィ、15位の小川毅士は、ともにディエゴの率いるチームに属する。大ベテランに上位をとられて、ちょっと立場がない。
さて、今回の最終スタートはラガ。試合序盤、ミスが目立ったのはランプキンだった。第2、第3を続けて5点。さらに、ランプキンらしからぬなさけないミスは続いた。ランプキンは、1ラップが終わったところでは、なんとフレイシャよりも減点が多い7位につけていた。
藤波とファハルドはスムーズなライディングを続けていた。彼らの明暗を分けたのは、高い高い城壁登りが用意されていた第9セクションだった。ここを登ったのは、藤波とボウだけだった。ボウはここまでに大量減点をとっていたから、藤波の単独リードとなって試合が進むことになった。
1ラップが終わって、藤波の減点は15点。2位のカベスタニーには5点差。油断はできないが、まずまずの大量リードといっていい。ところが、藤波は自分にタイムオーバーがあることを知らなかった。これで、藤波はカベスタニーと同点になっていたのだが、藤波自身は5点リードをとったと思ったまま、試合を進めることになった。カベスタニーに続くはファハルドとボウの23点。ラガはなんと31点で、ランプキンはフレイシャに1点差の40点で7位。ラガ以下の大量減点は、今回の大会のなぞのひとつだ。
2ラップ目、戦況には、ほとんど変化は起きなかった。唯一、ランプキンがフレイシャをかわして6位にとなったのが変化らしい変化だった。これでも、ランプキンの6位は今シーズンもっとも下位のリザルトとなった。
もうひとり、今シーズン、最悪のリザルトを残したライダーがいた。ラガだ。ランプキンの6位よりはよかったが、日本大会まで優勝と2位しかなかった抜群の安定感はどこへやら、今回だけで、藤波に9点ランキングポイントを詰められたことになる。
しかしそれでも、ラガに運があるとしたら、今シーズンは、安定してポイントを稼げるライダーが誰もいないということだ。ランキング3位のボウには6位と7位があるし、藤波は6位が2回。この結果、シーズン当初の勢いは失速したが、ラガはチャンピオンシップを確実にリードしている。ここへきて、タイトルの行方も含めて、2006年シーズンはさらに混とんとしてきた印象だ。
ジュニアクラスは、ダニエル・ジベールがマイケル・ブラウンを破って勝利した。今シーズンのジュニアクラスはトップ3の戦いがとってもし烈だ。当初、ブラウンの圧勝かと思われたが、ジベールとオリベラス、ふたりのダニエルが猛追、ブラウンとオリベラスが3勝、ジベールが2勝ながら、ランキングトップはジベール。表彰台は、この3人以外はただの一人も立てたことがないという3人のための2006年シーズンが続いている。
ユースクラスは、マティオ・グラッタローラが日本GPの土曜日に続いて2勝目を挙げた。ユースクラスとはいえ、世界選手権イタリア大会でイタリア人が優勝するなんて、ビッグニュースだ。今、ランキングトップはフランス人、ロリス・グビアンで130ポイント、グラッタローラはランキング2位で112点となっているが、このクラスは有効得点制だから、勝負は最後までわからない。
なお、土曜日に開催されたヨーロッパ選手権では、ジェローム・ベシュンが勝利、2位にダニエレ・マウリノ、3位マイケル・ブラウンと続いた。125ccクラスではウィグが優勝、グラッタローラが2位となっている。
●世界選手権●
Pos. | Rider | Lap1 | Lap2 | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 藤波貴久 | 15+5 | 19 | 39 | 18 | 114 |
2 | アルベルト・カベスタニー | 20 | 19 | 39 | 17 | 110 |
3 | ジェロニ・ファハルド | 23 | 24 | 47 | 15 | 90 |
4 | トニー・ボウ | 23+4 | 19+2 | 48 | 16 | 115 |
5 | アダム・ラガ | 31 | 21 | 52 | 16 | 132 |
6 | ドギー・ランプキン | 40 | 27+3 | 70 | 11 | 120 |
●ジュニアクラス●
Pos. | Rider | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|
1 | ダニエル・ジベール | 28 | 15 | 140 |
2 | マイケル・ブラウン | 39 | 15 | 139 |
3 | ダニエル・オリベラス | 58 | 13 | 137 |
●ユースクラス●
Pos. | Rider | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|
1 | マティオ・グラッタローラ | 13 | 25 | 112 |
2 | アレックス・ウィグ | 14 | 24 | 101 |
3 | ロリス・グビアン | 17 | 20 | 130 |