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07SSDT/3日目

 水曜日になりました。参加者に聞くと、水曜日とか木曜日とかが、一番体力的精神的にきつい日程だそうです。半分をすぎちゃうとずいぶん楽になるし、実は金曜日は比較的簡単(あくまでも比較的)な設定となっていることもあって、水曜、木曜を乗りきれば、という感じはあります。
 といっても、満身創痍でぼろぼろになっていたらいつリタイヤに追い込まれてもおかしくないわけで、6日間を完走するというのは、やはりそれなりのノウハウが必要なのでしょう。
 3日目になって、この人が出てきました。グラハム・ジャービスです。


 トライアルからエンデューロに転向していったジャービスですが、SSDTは欠かさず出場。もともとエンデューロはSSDTから派生していったものでもあるしエンデューロのトレーニングとしても、自身のトライアル心をキープするという点でも、SSDT出場は意味があるんでしょう。こんな経験ができるイベントは、世界のどこを探してもここしかないし(と、これを書いているニシマキはSSDT経験はありません。見たことはあるけど、見るとやるとでは大ちがいが経験上明らか。見ているだけでも、充分すごかった)。
 水曜日のジャービスの減点はたったの1点。ジェイムス・ダビルは4点で立派なスコアだけど、ジャービスには脱帽。SSDTは年を取れば、年をとったなりの経験が生きてきます。総合では、ダビルが12点でジャービスが20点。これはこの先、優勝争いがおもしろくなるかもしれませんぞ。もっとも総合2位タイにはマイケル・ブラウン、ガリー・マクドナルドも並んでいる。ミスター・スコティッシュ、ジャービスか、次世代のイギリスを担うダビルか、さらにその次の世代のブラウンか、あるいは地元のマクドナルドか。おもしろい!
 この日の3位はリー・サンプソン。ユースクラスで頭角を現しはじめている若いライダー。パドックでも「あいつはいいやつだ」という話をよく聞きます。いいやつかどうかはともかくとして、日本の新進気鋭の16歳もためしにSSDTにいってごらんよ。ぶっ飛んじゃうから。
 まったく関係なくて不謹慎な話になるかもしれないけどごめんなさい。第二次世界大戦で尊い命を失った十代の若者は、みんなたくましかった。直接会ったことはないけど、戦争に行く前の手記とか、山奥の民宿に辞世にやってきて一言書き留めていったものを読ませてもらったこともある。たいへん重たくて、立派なメッセージだった。当時の若者の倍も年を重ねて、ぼくはいまだに彼らの境地には追いつけない。戦争なんてまっぴらゴメンだけど、戦争という極限の環境が、十代の彼らの人間を形成したという裏の一面もあるんじゃないかと、少し思ったりするわけなんだけど、ひるがえってイギリスには徴兵制度がある。徴兵というのは、うんと誤解を恐れずにいえば戦争ごっこであるから、彼らはほんの少しだけど、戦争体験をしているといってもいいのかもしれない。そしてさらにSSDTだ。これは、まるでジャングルを進軍する丸腰の日本軍に等しい体験にちがいない。SSDTに出ないとトライアルライダーとして大成しないなんてことはないと思うけど、出ると出ないとでは、人生に大きなちがいが現れるような気がする。日本の若者よ、戦争には行かなくていいから、ぜひSSDTにはいってください(財力のある大人の方が出かけるのは止めませんけど、ぜひ初出場は40歳までに。最近の杉谷は40歳以前に初出場した貯金で、細々と走ってます)。
 すいません。話がそれました。
 マルク・コロメもこの日は5点で総合10位に躍り出ました。ジョルディ・パスケットとシャウン・モリスがコロメの1点上にいます。このへんは大物たちの大接戦ですね。この日12点をとって少し後退したのがアレックス・ウイグ。でもまだ7位につけていますから、ものすごい好成績を維持しているということになる。まだ18歳にならない子どもなんですよ!
 きのうまで、書くのを忘れていた大物がひとりいました。トンミ・アーバラ。ジョルディ・タレスを破って世界チャンピオンになったフィンランド人です(Wikipeiaではスペイン人になってますね。まちがってる。誰かなおしておいてください)。アーバラはこの日18点でトータル54点、18位。平均してこの位置にいるって感じ。それでも、上述リー・サンプソンより総合順位は上なのだから、経験は大事ってところでしょうか。
 小川毅士は31位。1点のタイムオーバーがありました。今のSSDTでは、ゴールする前にピットに帰って、チームクルーが整備をすることが認められているんで、ずいぶん楽になった。でも整備がどたばたして、車両保管に持っていくのが遅くなると、それもタイムオーバーとカウントされてしまう。この日の彼の1点のタイムオーバーはそんな遅刻じゃないかと思うんだけど、どうかな?
 小川毅士の前、30位にはロス・ダンビーがいました。日本GPには来るのかな? 眉毛が濃い印象的な表情のイギリス人。若くて、ユースクラスを走ってる。そんなのに負けちゃいかんではないかと毅士を責めるのが正解か、イギリス人というのは、どろどろの荒野に対して特別の才能を持っているとあらためて感心するのが正解か。SSDTを聞きかじると、正解は後者のような気がします。ダンビーは、ウイグに続いてニューカマークラス(新人戦)2位につけています。
 成田匠は45位まで上がってきた。この日の減点は26点。トータルでは95点。少し調子が上向きですが、今までの成績を越えられるかどうかは微妙(21位くらい)。ちょっとむずかしい感じもします。でも、追い上げているというのは、応援のしがいがあります。
 イリス・クラマーは140位。杉谷が若かった頃(笑)、イリスと杉谷は、ともに100位を目標としていました。今の杉谷は現状維持が精いっぱいだけど、イリスもそんな感じになってきたんだろうか。それだけ、まわりが上がってきたということなんだろうと思うけど。でもともあれ、この成績でSSDTを走っているということが、まずはとんでもなくすごいことなんだけどね。
 そしてなんと、141位にはドンナ・フォックス。この日の成績はイリスより1点少ない。そして総合ではイリスに1点負けている。この争いもし烈だなぁ。スコルパに移籍したばかりのイリスにもがんばってもらいたいし、気のいいドンナにはイリスを破ってみてほしい。これも、おもしろい!
 おっと、たいへん。見落としがありました。そのイリスの少し前、138位にケティ・サンターがいた。ケティはたいへんうまいし美人なんだけど(関係ないか)、イギリスのTDN代表に選ばれるほどの技術はない。世界選手権だったら、イリスに勝つなんてありえない。ところがSSDTでは、こういうことが起きるんですね。ケティの活躍はすごいと思うけど、これがSSDTでもある。次元はちがうと思うけど、ドギーや藤波が走ったからといって、彼らがトップ争いをするとは限らないということです(これはきのう書いた)。
 伊藤美夫さんは、水曜日も走っていない様子。伊藤さんと同じ「リタイヤライダー」の表には、イリスの親父さんのウイリーさんもいた。きのうのリザルトで見落としたけど、火曜日に事件があったみたいですね。この日も前半のセクションを飛ばしたうえ14分のタイムオーバー、620点減点で、トータル1822点だって。彼の場合は、それでも走り続けることに意義があると思ったのでしょう、走り続けてます。
 今のところ、完走扱いの最下位はトータル509点。1日平均150点ちょっとだから、オール5点で、さらにタイムオーバーがあるという計算ですね。それでも、完走すればえらいと思います。
 ちなみに、タイムオーバーはいくらでもしていいわけじゃなくて、たったの1時間です。なにかトラブルがあったら、あっという間に使い果たしてしまう。セクションも、ひとつミスをするのは50点だけど、いくつかのセクションがまとまっているヒルと呼ばれる集合をまるごと見落とすと、失格となります。完走だけをねらって走るというのも、なかなかむずかしい。
 

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