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SSDTやぶにらみ日記
●6日目(土曜日)最後のどんでん返し?
●5日目(金曜日)ジャービス独走
●4日目(木曜日)ジャービスオールクリーン
●3日目(水曜日)ジャービス、単独トップに
●2日目(火曜日)マイケル・ブラウントップに
●1日目(月曜日)マクドナルド、ソープ、ジャービスの3人が1点。
SSDTの6日間の激戦の模様をお伝えします。
といっても、現地の杉谷真は出場ライダーであり、まともな情報は入ってきません。
刻々と届けられる結果表を元に、留守番ニシマキが知っている限りのスコットランド情報をお届けします。
ページを開くと、新しい日付から読めます。
なお膨大なリザルトはSSDTオフィシャルページにあります。http://ssdt.org/をご参照ください。
<最終日>
SSDT終わりました。
なにがあるかわからないというのは枕詞みたいなもんで、あんまり本気で思ってるわけじゃないんだけど、それでもなにかは起きかけた。なんと最終日になって、ジャービスが10点減点です。ここまでの減点が平均1日1点だから、なんと10倍の減点。トータルは14点になりました。それでも2位に10点差をつけて、トップを守りました。10点の減点の内訳は5点がひとつとタイムオーバーの5点。ジャービスがタイムオーバー? すげートラブルとかあったのだろうか? トラブルだとしたら、優勝どころか完走さえ危うい可能性もあったわけで、ほんとに最後の最後まで、なにがあるかわかんないです。
ぜんぜん関係ないけど、最後までなにがあるかわからないのがトライアルというかスポーツの常で、野球中継が途中で終わるっていう感覚がどうしても理解できない。ゲームをきちんと楽しめない環境を発信するから、野球もつまんなくなっちゃうんじゃないだろうか。そういえばトライアルも、競技終盤は大忙しで、ふつうの人には競技展開なんてさっぱりわからない。中継中止の野球とおんなじようなことが起きてるかもしれないなぁ。
脱線しました。
2位はベン・ヘミングウェイ。この日4点でトータル24点。ランプキンのマインダーとしてはいまいち評価が高くなかったヘミングウェイですが(1年目からちゃんとした仕事を要求されるのはかわいそう。要求する気持ちもわかるけど)ライダーとしてはちゃんと結果を残しています。
3位は、ついに読み方もわからぬまま、イアン・Austermuhleさんが入りました。大金星。でもきっと、ぼくが名前を知らないだけで、すごいライダーなのかな。こういう人、SSDTにいくとたくさんいます。
ルーキー賞獲得のシャウン・モリスは4位。トータル37点。モリスは日本にやって来るらしいけど、スペイン大会ポルトガル大会は欠場しました。世界選手権ライダーは、世界選手権を半ば引退すると、SSDTでさらに強くなるという法則でもあるのかな。
5位はパスケットが入った。また勝てなかったというべきか、この人、あんまり勝負に対する執着心がないみたい。これはこれでトライアルに取り組む姿勢なのだと思います。
6位はジェームス・ダビル。なんと14分のタイムオーバーがあって、2位をのがしています。なにがあったのかな。というより、やっぱりSSDTってのはそういうところなんですね。最終日だからもう大丈夫だと油断したところに、どかんときつい一発が待っている。でも、このへんの連中にとっちゃ、それもなんでもないはずなんだけど、やっぱりなにかがあったとしか思えない。
7位ソープ、8位コナー。昨年の優勝者コナーも今年は低迷していたけど、最後にはそれなりにかっこがつく順位にあげてきました。
9位はマルク・コロメ。コロメはこの日のベストスコアで1点でした。トータルは43点でした。
期待の若手マイケル・ブラウンも、15分のタイムオーバーを食って10位に後退しました。11位はスコットランドのマクドナルド。
成田匠は、うーん、21位でした。まず素晴らしい成績でした。完成したマシンでのデビューというか、おそらく耐久テストみたいな感じで、いろんなトラブルを出しながら走り続けるのが、今回の成田に与えられた任務だったはず。だから完走したというのが大きな金星なんだけど、外野としては、またしても服部聖輝の記録が破れなかったか、なんて思ってしまう。まぁ、それだけ服部という男の存在が偉大だったということです。みなさん、過去、SSDTで最上位をとったマシンは、TLR200Rなんですよ。これもすごいよねー。
成田のすぐ後ろ、22位はジェイムス・ランプキン。31位にはハリー・ランプキン。ランプキン関係ばっかりだけど、SSDTっていうのはランプキン関係者がすごく多い。それだけランプキン家がイギリストライアルに与えた影響が大きかったということなのかもしれません。ヘミングウェイ兄弟も、ランプキン家の遠縁です。確か。
フランスの若手のホープ、ロリス・グビアンはハリーの後ろ32位。ミショー親分は35位でした。
アモス・ビルバオとライア・サンツは、そろってリタイヤライダーの欄に入ってました。おそらく、きのうのライアの交通事故の影響でしょう。ふたりとも、この日は走っていない模様です。杉谷報告によるとライアのケガはたいしたことはないということだけど、ほんとに大丈夫なのかな?
こんな中、イリス・クラマーが最後に思いきりがんばっちゃった。この日63点はそんなに驚かないけど、トータル139位まで躍進してきました。ヨーロッパ的なライダーだなぁとあらためて感服しました。
イリスに勝っちゃえばいいのに、なんて書きましたが、クリスティ・ウイリアムスはタイムオーバー5点を含んでこの日98点。160位。きのうと変わらず。
ケティ・サンターが、クリスティを追い越して159位でゴールしました。ケティにはタイムオーバーはありませんでした。すごい。
クラマーお父さんが、そのすぐうしろの166位に入ってます。
杉谷真は、最後にちょっとだけ順位を上げて176位でゴール。下痢と腰痛と、それときのう書き忘れたけど、ひざのお皿を強打して足を引きずりながら歩いてるらしい。こんなんで走れるかなぁと弱音を吐いていたけど、走れたみたいですね。人差し指が折れて世界選手権で優勝する人もいるんだから、そのつもりでがんばればなんとかなるということでしょうけど、でもSSDTはその距離膨大だから、からだの不調はうんとうんとこたえると思います。お疲れさまでした。
猪倉さんは最終日に4分のタイムオーバーがあったけど、無事完走です。234位。トータル853点。うしろに、864点のライバルがいて、その人が完走最下位のようです。
ベンジャマンとアリエスのスコルパ4ストロークのふたりは、その最下位の後ろに並んでます。きのうリタイヤしてますから、賞典外なんですけど、ベンジャマンはこの日は42点で無事に走っている模様です。アリエスは後半のセクションをぶっ飛ばしている。せっせとトラブルを出しつくしておいてください、てな感じでしょうか。
成田匠号が走れなくなるほどにならなかったのはラッキーだったという評価もあると思うけど、きっと走り方がていねいなんでしょうね。そういえば、かつて木村治男さんはデビュー前のTYZをSSDTで走らせて、フレームが折れたり、やっぱりいろんなことが起こったそうです。それを解消させて生産を開始しました。
ヨーロッパのメーカーの場合は、発表しちゃってからトラブルを洗い出すんだから、すごい。これから大特急で、お客さん向けのマシンを完成させることになるんでしょう。ベンジャマンは、疲れたなんて言っている場合じゃないわけです。早くフランスに帰って、125ロングライドを発送して、250Fを仕上げてくださいね。
さて40歳クラスの結果を見ると、杉谷はちょうど50位だった。40歳以上といっても、イギリスでだってそんなにじじいクラスじゃないんですね、今や。
ということで、ともあれ6日間は終了しました。
だらだらと書いてしまいましたが、おつきあいくださったみなさん、ありがとうございました。
<5日目>
グラハム・ジャービスの勢いは止まらない〜。5日目は例年、フォートウイリアムスから西に飛びだした半島を一周してくるコースをとります。舗装路が多くて、6日間の中では比較的(あくまでも、比較的)楽な一日ですが、タイムオーバーをする人もやっぱりいるし、一桁減点で回ってきたライダーも、そうは多くない。そんな中、2日続けてオールクリーンだから、やっぱりおそるべしです。最終日を残して2位に16点というのは、ジャービスにしたら充分な余裕を持ったと思っていいんじゃないかと思います。16点といったら、5点4つとったらひっくり返ってしまうけれども、この人たちはまず5点なんかとらないんですね。まぁ、なにがあるかわかんないけど。
2位はジェームス・ダビル。本日9点でトータル20点。1日平均4点というのはすごい成績だけど、それでもジャービスの4倍も減点をくらっていることになります。
ダビルと同点に追いついてきたのがベン・ヘミングウェイ。本日4点は、この日はジャービスに次ぐ好成績です。
12点減点してトータル26点で4位になったのがマイケル・ブラウン。5点ひとつ3点ふたつ1点ひとつ。マイケルが5点をとったり3点をとったりするのだから、SSDTのセクションも甘くないという言い方もできるけれども、別の見方をすれば、SSDTのセクションはほんのちょっと油断をすると、簡単に減点ができる構造になっているんです。ちなみにマイケルが5点をとった22セクションは、杉谷は3点で抜けていました。
スペイン人、ジョルディ・パスケットはこの日8点で、マイケルと同点のトータル26点。まだ2位争いの一角をになっているといえるでしょう。
この日8点で27点。6位まで駒を進めてきたのがイアン・Austermuhle。読めないもんだからこの人だけ横文字だけどごめんなさい。オースタームール? なんとなくおいしそうな名前です。知らない人だから、こんなことしか書けない。
シャウン・モリスはこの日11点取ってトータル28点。7位に落っこちている。以下、ソープ、コナー、マクドナルドと続いて、11位にはコロメが浮上。マクドナルドが20点も減点したのに対して、コロメはたったの5点。ジャービス以下の順位は、こんなことがあるから、最後の最後まで、まだわかりません。
成田匠は、ちょっとずつ順位を上げて21位まできました。服部聖輝の日本人最高順位まであと一歩。ただし杉谷報告によると、ときどきエンジン不調の兆候が出て、それが原因の失点は解消されていないらしいです。それでもタイムオーバーもなく、この日は5点もひとつもない。ニューマシンのデビュー戦としては、善戦してるといっていいでしょう。
成田のひとつ下、22位にはジェイムス・ランプキン。ライダーとしては成田よりはるかに格下だけど、SSDTならもうちょっと上にいてもいい人。今年はもうひとつって感じでしょうか。成田とは1点差のトータル64点です。
ハリー・ランプキンはトータル99点で31位。この日の減点は19点でした。
トータル101点。ハリーに続いたのはこの日17点でちょっと追い上げてきたロリス・グビアン。きのうからざっと10位近くポジションアップしました。
チームフランスの親分、ティエリー・ミショーさんはこの日16点で105点。リザルトの1枚目に浮上しています。
リザルトの2枚目、アモス・ビルバオが53位に沈んできました。セクションでの減点は11点なんだけど、100分のタイムオーバーが痛いです。もちろんアモスのことだから、ムーアにひっかかって引っ張り出すのに時間がかかったとか、そんな杉谷みたいな理由ではないと思います。ライアのアクシデントと関係ありそうな気もするけど、真相は不明。100分のタイムオーバーだと、競技からは失格扱いを受けることになるのかなぁ。
でそのライア・サンツ。リザルト的には減点124トータル183で73位です。杉谷からのメールによると、なんと彼女は舗装路で乗用車と衝突してケガを負ったとのこと。負傷自体はたいしたことないらしいけど、いったいどうしちゃったというのでしょう。減点124のうち、100点は最後のふたつのセクションでとったものです。SSDTでは、セクションを飛ばすと50点です。トライアルしにきたんだから、セクションを見落とすなんて論外だ。10点や20点じゃ減点したりない。50点くらい減点されてみろ、このやろー、みたいなところでしょうか。昔は申告5点てのも認められてなかったから、おそろしくストイックなトライアル大会だったわけです。
さてリザルト4枚目にいきましょう。イリス・クラマーが150位ちょうど。この日の減点は54点でした。トータルは325点。ライバル、カナダのクリスティ・ウイリアムスは、減点82をとってトータル354点、160位。クリスティも順位は上げたんだけど、それ以上にイリスががんばったという構図ですね。ぼくはひそかにクリスティを応援してたんだけど(美人だし)あと1日を残して30点差はちょっときついですね。イリスさん、あなたはやっぱり強かった。それにしても、イリスがようやく150位に届いたところだから、杉谷が150位以内に入るには、よっぽどがんばらないといけませんねー。
そうこうしているうちに、4人目の女性ライダー(今回は5人の女性が出場。5番目の人はよく知らないひとでした)ケティ・サンターも順位を上げてきています。本日68点はクリスティより好成績。トータル379点で172位。
本日の杉谷真さんは、減点81、トータル396点。180位。ちょっとずつ順位を上げてきているけど、そろそろ落ちつく位置が見えてきた感じ。でもまぁ、後1日、とにかくがんばって完走してください。本日の杉谷の報告。
「本日もムーアうんちせずに間に合った。帰ってすぐにトイレ直行、お尻を出して便座に座ると同時に大爆発飛び散り状態で、セーフ。夜中にももよおすし、朝起きてからは2回出し切ってスタートするんだ」
と、セクションについての報告はなくて、心配事はもっぱらうんちのようだ。大事なことである。
猪倉さんはこの日2分のタイムオーバーで減点140トータル減点は719点。241位です。どうやら、無事に完走できそうな感じになってきました。あと1日、がんばってください。
ちょっと残念なお知らせ。ミケーレ・ボシがどうやらリタイヤの模様。15セクションから先を走っていません。今日のところは減点806トータル959で244位という成績があるけど、明日はリタイヤ扱いになってるんだろうなぁ。
もうひとつ、さらに残念なお知らせ。成田匠のチームメイトであるグレゴリー・エリエスが、どうやらリタイヤとなった。セクションを5つ終えたところで、どうにもエンジンが不調で走り続けられないと判断した模様。不調の原因はわからない。こういうことがあると、できたてのマシンのテストとしてSSDTは素晴らしいフィールドだなぁと思います。SY250Fの完成度について心配する人もいると思うけど、できたてのマシンは、こんなものでしょう。最初からトラブルがほとんど出ないなんて、日本の基準でテストを重ねたマシンくらいじゃないでしょうか。
もうひとつ、スコルパのベンジャミンが走ってないなんて書いちゃったけど、うそでした。ちゃんと走ってました。走ってたんだけど、この日はスタート前の整備(修理?)に手間取っちゃって、スタートできないと判断したらしい。じっくり修理を完了させて、最終日は走るということでした。
あらためてベンジャミンのリザルトを見てみたら、4日目の時点で減点160、93位でした。すごい。エリエスと大差ない成績ではないですか。重ね重ね、ごめんなさい(ちなみに全日本の会場でフランス人についての名前について情報収集したところ、ベンジャマンとアリエスって読むらしい)。
さぁてSSDTもあと1日。みなさん、がんばってちょうだいね。
<4日目>
グラハム・ジャービスが、この大会ふたりめのオールクリーンを達成した。トータル減点は4点。過去の実積からして、このままジャービスがトップを守りきりそうな気配も出てきた。
4日目の木曜日は、いつもコースが一番長くて、タイムオーバーをおかすライダーが多く出る日。しかし今年は朝から天気がよくて暖かったという杉谷の報告。だから例年に比べると比較的楽だったのだが、とはいっても、いつも通りの行程で距離はたっぷりあった。そんな中でのこの成績だから、ジャービスおそるべし、である。
2位に浮上したのはジェームス・ダビル。この日1点。トータル11点。つまり今の時点で減点一桁出回っているのは、ジャービスたったひとりということだ。4日目を終えて減点11というのも、杉谷あたりからしたら信じられない点数なのだが(杉谷どころか、おととし出場した成田亮や日下達也も、トップライダーの減点数は“ありえない”という評価だった)、ジャービスあたりはさらにどんどん経験を積んできているから、手ごわい。SSDTは、世界選手権を引退してから強くなっていくのかもしれない。そういえば、世界選手権引退間近のスティーブ・コリーが、現役ばりばりのジャービスをあっさり下していた時代もあった。SSDTは、いろいろ理解しにくいことがあるものだけど、SSDT民族にいわせると、世界選手権のほうが理解しにくいのかもしれませぬ。
3位はマイケル・ブラウン。減点6トータル14点。なんだか上位陣、5位まではさまざまなクラスの世界選手権級イギリス人に圧倒されてきた感じ。ブラウンもとてもがんばっていると思うけど、ジャービスと10点差は相手がジャービスだけに、勝利は厳しい感じがする。まだ彼にはあり余る将来があるけれども。
4位はヘミングウェイ(弟)。ブラウンと同じく減点6トータル16点。ヘミングウェイは、デ・ナシオン代表選手になったこともあるも、今ならシャウン・モリス、ダビルと、後進の追い上げが急だから、たぶん出る幕もないと思われるのだけど、そんな彼がSSDTでは後進とまったく互角に戦っているのはおもしろい。こういう異世代による真剣勝負が、日本で唯一おこなわれているのが、OITT(隠岐アイランド・トラディショナル・トライアル)あたりになるんだろうけど、伝統と参加規模・台数がちがって、SSDTと同一視するのはむずかしい。残念。
5位はそのモリス。第2セクションでいきなり5点をとっている。寝ぼけていたか、油断したかかなぁ。女性陣も3点で抜けているし(杉谷は5点だったけど)、モリスにとってむずかしいわけがないのだけど、こういうことが起きるのもSSDTだ。モリスはこの5点を含めてこの日の減点は7点。トータルは17点になった。トップライダーの優勝争いでは、たったひとつの5点がかなり痛い。5点ひとつといったって、6日間毎日30セクションだから、180個のセクションのうちのたったひとつですよ。毎日100km〜200kmの荒野をぶっ飛ばしながら180個のセクションをていねいに攻めていかなければいけない。この集中力は、やっぱり“ありえない”のかもしれません。
6位に、ようやくイギリス人以外のライダーが現れた。ジョルディ・パスケット、スペイン人。パスケットにも5点がひとつあった。このセクションは、ちょっとむずかし目の感じだったけど、それでもパスケットがいけないところのわけはない。5点ひとつでこの日の減点6点、トータルは18点。優勝争いはともかく、2位争いの一員にはひっかかっているといえましょう。
そういえば、SSDTでは賞典については、昔ながらの呼び方を守っている。優勝じゃなくてベスト・パフォーマンスという。他人に対して勝った負けたではないのだぞという意味合いだろうか。2位はランナー・アップ。杉谷は日本人向けには100位以内とか150位以内とかいっているけど、スペシャル・ファーストクラスを目指しますとかファーストクラスに入りたいというのがSSDT的言い方。全出場者の上位何パーセントがスペシャルファースト、次の何パーセントがファーストクラス、それ以下の完走者がセカンドクラスということになってます。でも今はリザルトも、1位からきちんと順位が振られているし、SSDTにも時代の流れは押し寄せてきているのかもしれません。
スコットランドのエース、マクドナルドは9位トータル減点19。10位にサム・コナー、同じく19点。
11位はアモス・ビルバオだけど、この日の減点は2点ながら、トータルはいきなり29点。14位につけているマルク・コロメはこの日6点で37点。調子のいい日と悪い日があると、SSDTの勝利はむずかしいわけです。
成田匠は、この日の減点は11点でトータル48点。24位。杉谷からはトラブル情報もあったけれど、この日は快調に走ったとのこと。
どんどんダメージが広がっていくトラブルでなかったら、今のSSDTでは持ち時間内だったらゴール後にけっこうな整備ができますから、復活も可能です。致命的なトラブルがあったら、タイムオーバーを覚悟でゴールしないでマシン修復にかけるという手もあります。整備にとまどって、タイムオーバーが1時間をすぎたら失格になっちゃうけど。そういえば杉谷も、フライホイールがぶっ飛んだ件についてはなんにも言ってないので、無事に修復ができたものと思われます。
成田の後ろも、興味深い名前が並んでます。27位はジェームス・ランプキン(トータル51点)。ちょっと落ちてきちゃったかな。28位にライア・サンツ(トータル59点)。38位にハリー・ランプキン(トータル80点)。ロリス・グビアンが41位(トータル84点)につけてます。
参加者が270名もいるから、リザルトは何ページにもわたって印刷されてるんだけど、42位までが1ページ目に印刷されてる。最近のSSDTではファーとクラスとかセカンドクラスという言い方ではなくて「おれは5枚目だが、あなたは? 3枚目ですか、それはまいりました」なんてあいさつが一般的になってきている(少し本当)。
さて、2枚目のトップは43位、ティエリー・ミショー。トータル89点ですが、まだまだグビアンを射程距離においてます。フランス人トップは、もっとも若手のチャンピオン候補と往年の名手の対決になってますね。
SY250Fのエリエスはトータル133点で72位。タイムオーバー以外の減点5をとってます。なんだろう。イエローカードなんてシステムはSSDTにないと思ったけど、もしかしたらスタンドがなくなったとか、そういうペナルティがあったかもしれません。ちょっと詳細不明。
ミケーレ・ボシは153点83位。日本人でミケーレを知っている人はごく一部だと思われるけど、ご紹介。彼はたぶん、ダビルのマインダーとして日本にもやってきます。
リザルト4枚目の下のほうには、イリス・クラマーとクリスティ・ウィリアムスのレディースのし烈な争い。イリスが163位、クリスティが164位です。ゼッケンは97番と248番だから、競技中はまったく顔を合わさないと思うんだけど、今日はイリスがクリスティより3点よいスコアを出して、271点と272点で並んでます。すごい勝負だなぁ。クリスティは4点のタイムオーバーをくらってるのがもったいなかった。たったの4分。でも間に合わなかったんでしょうね。
杉谷はこの日79点トータル315点、185位。タイムオーバーが1点あります。1分くらい、最後に少し急げばなんとかなったんじゃないかと思うんだけど、あわてて走ってエンジン焼きついたりしたらもっと悲惨な結果になるし、間に合わないと気がついてから急いでも間に合わないということでしょう。禅問答みたいだけど。
杉谷は腰痛と下痢に悩まされているそうです。ムーアの中でもよおしたらどうしたらいいかが、当面の杉谷の悩み。止まっているライダーがいたら「どうしたっ、だいじょうぶかぁ」と声をかけていくのがライダー同士のお約束だから、うんちしているところも目撃されてしまう可能性が大きいわけです。やれやれ。
このポジションを維持していれば、150位も夢じゃないなとは思ってたけど、なかなか杉谷のポジションは上がりません。杉谷ももう出場7回目のベテランだけど、まわりはもっとベテランなのでしょう。杉谷は5枚目の真ん中にいます。
おっと、きのう書き忘れたけど、4人目の女性ライダー、ケティ・サンターが、ふたたび杉谷の上にきました。なんとタイムオーバーなし、減点58、トータル311点、182位。最初はイリスをライバルに見立てていた杉谷だけど、とりあえずケティを相手にがんばってください。
さて6枚目の後ろのほうには、猪倉さん。本日155点トータル579点、247位です。この日は21分のタイムオーバーがありました。でも50点減点はひとつもないし、3点も4つくらいあります(あとは全部5点)。猪倉さんが、健全に完走している最下位という感じ。
ここまで紹介してなかったけど、猪倉さんのちょっと上に、ボイタ・クレッカというスウェーデン人がいます。けっこうな高齢。杉谷がトライアルジャーナルの若き特派員だった頃からSSDTを走っていて、職業はジャーナリスト。その職業柄、なんと世界選手権にもためしにでてみたことがあるという人です(あっという間にリタイヤしてふつうの取材に切り替えたらしい)。淡々と完走するというタイプの人だったけど、この人、この日はとうとうタイムオーバーが70分を超えちゃった。タイムオーバーは1時間をすぎると失格なんですね。残念です。明日以降、ボイタは走るのかな?
<3日目>
だんだん、上位がSSDTのスペシャリストや世界選手権のトップライダーでかたまってきました。まぐれじゃ、1日でも好成績を出すわけにはいかないでしょうが、さらに6日間をコンスタントに好成績でまとめるとなると、これまた神業級になります。
トップはグラハム・ジャービス。水曜日は2点で、トータルが4点。はじめて単独のトップに出ました。このまま突っ走ってしまうのかなぁ。ジャービスだったら充分にその可能性はあるし、でも、ジャービスといえども、ぽろぽろっと何点かつく可能性もなくはない。いやはや、SSDTを毎日1点とか2点で回ってくるすごさをもっときちんと伝えたいのだけど、こればっかりは、いって見ていただかないとピンとこないし、出場した人に言わせると、100万回見たってわかんない、出てみなけりゃ、SSDTはわかんない、ってことになります。
トータル8点は二人。マイケル・ブラウンとダン・ソープ。きのうオールクリーンだったブラウンはこの日は6点の“大量減点”をくらってしまいました。10セクション11セクションと続けて3点をとってのこの結果。10セクションはむずかしかったんだけど、11はクリーンをとっている人は少なくないので、一瞬気持ちが萎えちゃったような気がします。若人よ、ジャービスに負けないようにがんばってください。
ソープはこの日5点。1点ばかり5つです。ソープは年齢的にはそれなりだし、上位のライダーの中では一枚格下だから、がんばっています。
トータルで10点のライダーが3人並びました。シャウン・モリス、ベン・ヘミングウェイ、ジェームス・ダビル。モリスとダビルはジュニアチャンピオン経験者、ヘミングウェイはデ・ナシオン代表経験者。いずれも劣らぬイギリスのトップライダーたち。中では、今回が初出場のモリスががんばってるといえるでしょう。
この日6点でトータル12点、7位につけているのがジョルディ・パスケット。イギリス人以外ではトップです。
8位はスコットランドのギャリー・マクドナルド。今日は5点でトータル14点。もしかすると勝てるだけの実力もあるんだけど、勝つには余力が足りないんじゃないかという感じかな。この後、さてどうなるでしょう。
9位はIan Austemuhle、10位にトム・サガール、11位にウェイン・ブレイブロック。そして12位にアモス・ビルバオ。アモスはトータル25点。この日だけで19点減点はちょっと痛いなぁ。減点内容を見ると、ブラウンが減点した10、11のあたりでばたばたと3点や5点をとっています。きっと有名な難セクションなのでしょうけど、毎年出ていると「あそこは滑ってむずかしいんだよー」なんて会話が成立するんでしょう。ブラック・ウォーターとかアカラダの滝とか、SSDTのセクションには魅力的な名前がつけられています。
兄ヘミングウェイはこの日14点でトータル29点、17位に後退。元世界チャンピオン、マルク・コロメもこの日16点でトータル31点、19位に後退してます。後退といってもこの順位ですから、まだまだ先はわかりません。
このあとジェイムス・ランプキン、サム・ハスラム、ジョン・シャート、セルジオ・レオンと続いて、成田匠が25位につけます。安定してこのポジションです。この日の減点は18点、トータルは40点。この調子だと、日本人最上位(服部聖輝の19位)を更新することも可能かもしれません。
ただし杉谷情報によると(たった今メールが届いた)成田号は排気系のトラブルに見舞われていていくつかある5点はそのトラブルに起因するものだという。この日はエリエスのエンジントラブルの修理を手伝ったり、成田のSSDTもなかなか平穏ではない。
成田を急追していたライア・サンツはこの日は24点を失ってトータル45点で29位。といってもまだ成田に5点差。ほんとにすごいライアです。
31位はハリー・ランプキン。そういえばこの弟は、SSDTには出てくるけど、兄貴のマインダーをやろうとか、そういう動きはまったくないですね。去年、ジェイムスが一時マインダー稼業から引退した時、ドギーはマインダーを探して苦労していたけど(今年も、ジェイムスが復帰するまではたいへんだった)ここに弟の名前は挙がらない。弟には弟独自のスタンスがあるようです。
ロリス・グビアンはトータル62点で39位。ちょっとだけ順位を上げました。ミショーさんは63点で41位。若人に逆転されています。
もう1台のSY250F、グリゴリー・エリエスは57位。この日はタイムオーバー減点はありませんでした。ただ、エンジンがトラブったりして、てこずってはいるらしい。まぁ、昨年デビューしたシェルコの4ストロークはあっという間に全車リタイヤしているから、デビュー間もなくで走り続けているのは、とりあえず立派だと思います。できたてというのはそんなものだし、SSDTを走るというのは、ある意味、世界選手権を走るよりマシンにとっては何万倍もハードですから。
ミケーレ・ボシはトータル113点で84位。この人、ちょっとずつだけど、確実に順位を上げてきます。イタリア人だけど、この人もSSDT向きのライダーだったのかな? 実は。
さて、女性クラス二番手争いがたいへんにし烈になってきました。クリスティ・ウイリアムスはこの日69点でトータル212点168位。対してイリス・クラマーはこの日67点でトータル214点169位。うーむ、全日本の神経戦のような点差だけど、この大量減点でこの接戦というのがすごい。
イリスがすごいのはもう周知だけど、今年はクリスティのがんばりにエールを送りたいと思います。クリスティがイリスを破って女性クラス2位になれば、イリスもまた発奮材料ができて、お互いにいいんじゃないかな。なんせイリスは、ライアには離され、3位以下はまだついてこないで、ずっと孤独な世界2位のライダーをやってますから。
杉谷は、ちょっと順位を落として185位。この日の減点は81点トータル236点です。以下、届いたばかり(現地時間夜の12時)の杉谷メール。
「水曜日。半分終わった。いまのところ毎日雨続き。本日もスタートから雨で、一日ほとんど降られっぱなしだった。増水で、セクションの水量はお見事。最後のきついムーアの中でエンジンの異音が出始めたので、様子見ながら走っていたら、ガッチャーンと大きな音がしてストップ。イギリス仕様の増設されたフライホイールのネジがゆるんでケースの中で踊ってしまっていた。取り外そうにもフライホイール固定ボルトが抜けずに30分ほどもがいて、なんとか取り外せたんだけど、タイムオーバーしていると思う。本日は、距離が短いと予想してたけど、とんでもなかった。ムーアさん、とことんやってくれました」
リザルトを見たら、杉谷にタイムオーバーはなかった。なんとか間に合ったみたいです。イギリス仕様のフライホイールというのは、実は知る人ぞ知る、ベータのイギリス仕様は、スペイン的なトライアルとは正反対の仕様になっていて、そのひとつが重たいフライホイールです。日本仕様にはこのフライホイールはないから、日本から出かけていってイギリス仕様のマシンを受け取った日本のかたがたは「こんなものはないほうが乗り慣れていていいんじゃないか」と考えます。ところが実際は、日本のみなさんはスコットランドそのものにまったく慣れていないので、フライホイールがどうこうの問題ではない。それより、つるつる滑るコンディションで、フライホイールに助けられて進んだほうが、よっぽどよいということになります。
今は日本でも買えるようになったけど、ベータ200という排気量も、もともとはイギリスの専用仕様でした。さらにイギリス人たちは、最終減速比を少し速くして、SSDTを走っているようです。
猪倉さんはこの日は16分のタイムオーバーをくってしまいました。しかしセクション飛ばしの50点もなく、まぁじゅんちょうといえるでしょう。この日の減点は154点。トータル424点。257位。猪倉さんの下は、失格となった賞典外が並んでます。256位は391点。届かないこともないかもしれないけど、猪倉さんには堂々たる最下位をねらってほしいものです。
さぁてあと3日。3日をすぎると、慣れちゃってだいぶ楽になるといいます。このへんが一番苦しいところ。とはいっても、ケガをしたりマシンを壊したりしていると、傷を癒している時間はないから、苦しい闘いは最後まで続いちゃうわけですが、杉谷のフライホイールが緩んだのは、たぶん完璧に修復ができるだろうし、もし修復不能だったらフライホイールなしでも走れるから、そういう意味では今後には影響がないと思います。減点が何点か、順位がどうなのかは、とりあえず完走してから気にすることで、走っている最中はきちんと進んでいくことだけに集中する。100年前のSSDTの精神は、今もまったく変わっていません。
<2日目>
すいません。きのうのリザルト、2点のマイケル・ブラウンを忘れていました。マイケルは今シーズンジュニアカップに参戦中のイギリス人。去年から才能は明らかだったんだけど、去年はスポット参戦で結果が残せなかった。今年はジェームス・ダビルに続いてジュニアチャンピオンを目指しています。チームも同じくトップトライアルチーム。日本にもやってきます。かわいいやつだから、みんなファンになってください。
このマイケルが、2日目をオールクリーンで帰ってきました。トータル2点は同点ながらのトップ。SSDTは経験がものをいうとよく言われるけど、マイケルみたいなのがSSDTを制すことにでもなったら、また時代が変わります。もしかしたらマイケル・ブラウンという男、思っている以上にすごいのかもしれない。
マイケルと同点、きのう1点、今日1点はジャービス。この人は毎日1点ずつ、トータル6点で6日間を終えるなんて走り方ができるから、引き続き優勝争いの最右翼です。
きのうジャービスと同点だった地元のマクドナルドは、この日は8点取って、11位に後退してます。なかなかし烈です。
もうひとりの初日1点組、ソープは、本日は2点でトータル3点。このへんは、まだまだあなどれない。
4位以下は、パスケット、ベン・ヘミングウェイ(弟)、ビルバオ、モリス、ダビル、サガール、Ian Austemuhle(ドイツ人みたいな名前だけど、イギリス人だった)、マクドナルドとつづきます。ここまでが2日間トータルで減点一桁組。全日本選手権や世界選手権を一桁減点で回ってくるのも驚きますが、SSDTを走ったことがある人は、みなこの大会を一桁減点で回るライダーが存在することにびっくり仰天します。こっちのほうがびっくりだと、みんな口をそろえます。つるつる滑るセクション、へろへろになるまで走らされるコース、1日30セクション、それを6日間。世の中には、すごい人がいるもんです。
コロメは本日6点取ってトータル15点。ダン・ヘミングウェイ(兄)は1日目の2点から、2日目は13点もとっちゃって16位。17位にはジェイムス・ランプキン。この日は6点で、ちょっと追い上げられました。18位にはサム・コナー、以下、サム・ハスラム、ジョン・シャートとつづきます。一流マインダー、元世界ランカー、イギリスの若手、往年の世界ランカーと、バラエティに並んでますね。
23位は成田匠。本日は7点でトータル21点。減点半減ですから、ちょっとマシンとのコンビネーションができてきたのか。今後に期待です。
しかし匠さんもうかうかしてはいられない。24位、トータル21点で同店に着けているのが、ライア・サンツです。すごいなぁ。最近、ジュニアカップなんかを見ていると、上達が止まっちゃったかな、なんて不遜なことを思うんだけど、セクションの傾向によって、ちょっとだけそういうふうに見えるだけで、彼女はどんどんうまくなってますね。この日の減点は6点だから、成田匠を上回ってます。アモスにも迫る勢いだ。
ミショーさんは減点9トータル30で31位。32位はハリー・ランプキン(ドギーの弟)。元世界チャンピオンと元世界チャンピオンの弟がおんなじような成績で闘っているというのは、なんともおもしろい。SSDTは、こういうところが楽しいです。
今年のユースのチャンピオンになるはずのロリス・グビアンは、ちょっと順位を落として減点20トータル41、44位です。この人、世界選手権でみる時には125ccに乗っているけど、SSDTではちゃんと大きいのに乗ってるんでしょうね。今ヨーロッパの若い連中は、大きいのと小さいの、平気で両方とも乗りこなします。大きいので荒技を練習し、小さいので小技を練習し、世界選手権は小さいのが本番車となるというパターン。こういうのが育ってきたら、ほんとに日本人は出る幕が無くなっちゃいますよ。お願いしますよ、ほんとに。125クラス、日本でも始めないと、やばいと思うけどなぁ。すいません。SSDTと関係ない話でした。
成田匠のチームメイト、エリエスは減点24、トータル47で53位。この点数で走っているということは、SY250Fは無事に走っているということだと思うけど、ちょっと気になるのは、タイムオーバー減点を5点くらっていること。なんかあったかな?
ミケーレ・ボシ(トップトライアルチーム・マネージャー)は減点31トータル79で92位。ちょっと順位を上げてきました。きっと鼻高々で本日の活躍を語っていることでしょう。
イリス・クラマーは減点74トータル147で170位。きのうと1点しかちがわない。安定しているといえば安定してます。
ところが、なんとイリスのちょっと上に、カナダのクリスティがいました。減点68トータル143、164位です。この人、女性デ・ナシオンが始まる前からヨーロッパにトライアルをしにきていて、当時はイリスとかともかなり僅差のライダーだったんだけど、ヨーロッパで世界選手権が始まって、アメリカ大陸から年に1度来る感覚では、どんどん遅れをとってきた印象があった。ヨーロッパの連中は、どんどん切磋琢磨を繰りかえしてうまくなってくんですね。だから最近では、世界選手権でもカナダのクリスティとケリーの姉妹(クリスティがお姉さん)は、イリスたちよりはひとつ格下の感じになってるんだけど、つまりそれは、どんどんレベルの上がったむずかしいところでの格下で、SSDTのような基本テクニックと精神力で勝負するようなところは、またちがう結果になるという、男の子で実証されていることが、ここでも証明されているのかもしれません。ややこしい話してごめんなさい。でもまぁ、この二人の争いも、まだまだまったくわかりません。
そして杉谷真さん。おぉ、減点70トータル155点180位。きのうより、ちょっとよくなりました。2日目に限ってはイリスより点数がいいから、杉谷はちょっと自慢していいです。素晴らしい。本日は杉谷からは連絡がありません。今回、杉谷のゼッケンは7番。これは、初日に7番目のスタートをしたということです。その後はどうなるかというと、2日目はたぶんお昼近くのスタートになってるんじゃないでしょうか。なんせ250人からの参加者がいるので、1分間隔でスタートしても、全員がスタートするのに250分かかる。4時間以上です。この時期のヨーロッパは日が長くなっているからできる芸当ですね。日本でお昼にスタートして、丸一日荒野を走らせたら、きっと遭難者がでる(知らないだけで、SSDTにも遭難者はいたりして? でも明るいから、そんなに大事件にはならずに回収されるんだと思う)
イリスのお父さんは本日84点でトータル163点193位です。お父さんもイリスとどっこいで走るテクニシャンだけど、さすがに疲れが出るかな?(杉谷と年齢的に大差なかったりして)
イギリス女性ケティ・サンターは84点トータル163で193位。この人、世界選手権とかを見ていると、イリスにこんなに僅差で走るような人じゃないんですが、SSDTとなるとちがいますね。イリスやクリスティに遅れをとっているからといって、あなどってはいけません。失礼ながら、萩原真理子さんに小林由利子さんがくいついているようなものかもしれない(思いきり誤解を恐れずに語ってます。聞き流してください)。
200位を越えると、ぼちぼちタイムオーバー減点をする人が増えてきます。きのう完走できなくて、賞典外扱いになっている人もいる。かつてのSSDTは1日失格になったらもう前途無効でしたが、今は賞典外で最後まで走ることができます。ただ、日本から大和魂を引っさげて参加した人を見ていると、失格になったらテンションが下がっちゃって、なかなかその後に走り続けるというのもむずかしそうです。
杉谷はマシントラブルでリタイヤしたことがあって、そのときもマシンをなおして翌日から賞典外で走ることができたんだけど、いきなりモードが変わっちゃって「あんてひどいところは走りたくない」気分になっちゃったそうです。杉谷がトライアルできなかったおかげで、SY125Fデビューのビデオ撮影ができて、自然山通信的には万歳でしたけども。
猪倉さんは、本日135点トータル270点。おぉ、きのうと同じ点数ですね。で、263位。タイムオーバーなしというのがすごいです。この調子で、走りきってくれるといいなぁ。
猪倉さんのまわりはタイムオーバーを大量にとっている人がいっぱいいて、275位、最下位の人はトータル1566点。もちろん賞典外だけど、黒山健一が一生かかってもとれないくらいの減点を、この人なんかはたった2日間でとってしまっています。すごい。
ニューカマーはあいかわらずモリスがトップ。
そうそう、藤波貴久の骨折の主治医さんというのがトライアルライダーで、SSDTにも出場しているという話なんだけど、同じ名字の人がふたりいて、どっちもモンテッサ4RTに乗っている。しかもどっちも、聞いていた名前とちがうんで、よくわかんなくなってます。どっちにしても、杉谷より上のポジションにいます。スペイン人もイギリス人も、マインダーとかお医者さんとか、ライダー以外の人もうまかったりするわけですね。
それでは、またあした。
<1日目>
SSDT2006が、5月1日月曜日からはじまっている。
セクションは連日30セクション。1日目は12のゾーン(SSDTではヒルという呼び方をする)にセクションがまとめられている。
初日のトップは、スコットランド出身の若手ライダー、ギャリー・マクドナルドが1点で終えている。なによりも現地を走る経験が者をいうとされているSSDTのこと。地元出身は大きな強みになっているにちがいない。優勝戦線に加わったことも、すでに何度となくあるSSDT有力ライダーだ。
マクドナルドと同点は、ほかにふたり。ダン・ソープとグラハム・ジャービス。ソープは父親が往年のトップライダー(プレ65に出場している)。ダンも世界選手権参戦経験はあるが、ポイント獲得にはいたっていない。それでもさすがにSSDTでは強さを発揮する。
グラハム・ジャービスは、ご存知世界選手権のトップライダーだが、今年はエンデューロに転向している。SSDTはジャービスの数少ないトライアル参戦となるが、SSDTはトライアル離れしたところがあるから、エンデューロライダーとなったジャービスにもぴったりのフィールドなのだろう。
その1点差、減点2で1日目を終えたライダーは4人いる。イギリス人以外ではトップ、優勝経験もあるアモス・ビルバオがそのうちのひとり。そしてベン・ヘミングウェイとダン・ヘミングウェイ。ベンは世界選手権参戦経験もあるしデ・ナシオンイギリス代表の経験もある。2005年はドギー・ランプキンのマインダーも務めていた。ダンはベンのお兄さんで、ベンがメジャー大会に出場する際はマインダーを務めるが、彼もまたイギリスのトップライダーだ。
もうひとりの減点2は、W.Braybrookさん。聞いたことはあるような気がするけど、どういう人だったか忘れてしまいました。でもきっと、ただものじゃないにちがいないです。
減点3はトム・サガール。確かこれもイギリス人。2004年にジュニアランキング10位という成績を残していますが、たぶん世界選手権ではまったく目立たない存在ですが、SSDTではこういう連中が強者であなどれない。
減点4、10位はまた3人います。これはみなさんもおなじみ。ジョルディ・パスケット、ジェームス・ダビル、シャウン・モリス。パスケットは過去にも優勝争いをしたことがあって、最後の最後で勝利をのがした経験がある。トップグループの中ではビルバオに次ぐスペイン人。世界選手権のランキング的にはともかく、この3人の争いもなかなかし烈そう。モリスは初出場で、ニューカマークラスのトップに付けている。
9点で18位にはマルク・コロメがいます。もちろん元世界チャンピオン。
つづく10点にはガスガスのイギリス輸入元ジョン・シャート(世界選手権も走っていた)、ユース125でがんばっているサム・ハスラム、ランプキンのマインダーを務めるジェームス・ランプキン、スペインのシルジオ・レオンと、多彩な顔ぶれが並んでいる。こういうさまざまなメンバーが僅差で接戦するのも、SSDTの魅力。おもしろいのは、ランプキンのマインダーをするジェームスが、ここではベータに乗っていることだ。
減点13、28位にはサム・コナー。昨年のSSDT優勝者だ。サムも今年は世界選手権から引退しているが、昨年の勝利者はどんなスタンスでスコットランドの大地を走っているのだろう。まだ挽回の可能性もあるが、1日目からこの減点をとっていると、6日間を勝利するのは、ちょっとむずかしそうだ。
減点14、31位には成田匠。スコルパSY250Fを走らせてのこの成績だ。杉谷が2点で通過した第1セクションで5点になったりしているが、この大会はそういう細かい成績はほとんど最終結果に関係ない。6日後に、さてどうなっているだろうか?
その成田を追いつめるように、減点15で34位につけるのがライア・サンツ。どんどん技量を上げているライアだが、成田匠もあやうしのところまで届いてしまった。すごい。
そのライアに1点差で負けちゃっているのが、ハリー・ランプキン。ドギーの実弟である。ハリーは、モンテッサ4ストロークに乗っている。
21点、39位にはフランス人のロリス・グビアン。今年は(たぶん)ユースクラスのチャンピオンになるロリスだが、SSDT参戦経験は今後のトライアルに、大きな意義を持ってくるにちがいない。そのロリスと同点に、ティエリー・ミショーさん。コロメに続いて「世界チャンピオンクラス」2位ということになります。そんなクラスないけど。
成田とともにSY250Fを走らせるエリエスは減点23で46位。ぼちぼちの結果といえましょう。写真の写真で、スコルパ4ストロークに乗る3人組と紹介したベンジャミンは、1日目のリザルトにはいない。もしかしたらサポートを兼ねて髄走しているだけかもしれないし、リタイヤしたのかもしれない。
それからずーっと下って減点48、104位にミケーレ・ボシってのがいます。タレス時代からベータのチーフメカニックをしているリカルド・ボシの息子で、世界選手権やジュニアカップに参戦していたこともあったが、最近ではジェームス・ダビルのマインダーとしての活躍が光っている。子どもの頃には、黒山健一にもよく遊んでもらっていたものだけど、いまやけっこう口が達者な若者になっている。
そんでまたずーっと下って減点73、163位はイリス・クラマー。ライアに続いて女性クラス2位。ジュニアカップやユースへの参戦はちょっと敷き居が高かった印象のイリスだが(女性は、年齢制限とは関係なくこれらのクラスに参戦できる)SSDTはイリスにぴったりのフィールドといえるかもしれない。
そのイリスにわずかに遅れて75点で168位はクリスティ・ウィリアムス、カナダ人。女性世界選手権などではイリスに大きく差をつけられてしまうが、SSDTでこの差はないに等しい。イリスもうかうかしていられない。
79点186位はウイリー・クラマー。イリスのお父さん。SSDTにはイリスと二人で走っているから、ご記憶の方もいらっしゃると思います。
83点199位はケティ・サンター。イギリスの女性ライダーだが、彼女は女性世界選手権ではあまり成績的には目立っていない。イギリス人は男女問わず、こういうパターンのライダーが多いみたいだ。
そんで85点、208位は我らが杉谷真。初出場のときには100位以内が目標だったんだけど、加齢は待ってくれず、いまや200位が大きな境界となってしまった。でもまぁ、まだ先は長い。以下、杉谷の現地からの報告。
「フォートウィリアムは雨。山に登ると雪でした。こんなに雪に降られたことは初めて。杉谷はゼッケン7番なので、朝いちばんのスタート。スタートが早いとセクションイン待ちがないのでどんどんペースを上げられるんだけど、セクションにラインができてないしコケが超ツルンツルン。去年思い切り跳ね返された「スクールフォール」は上がるには上がったけど、頂上で万歳をしてマシンを前に投げて5点。今まで3点以内で抜けられなかった「ブラックウォーター」の最後の登りは、今年は3点で上れたのが嬉しかった。あとは、根性なしであっさり5点になることが多かった。ま、現実的に今年の目標は150位以内くらいという感じかな」。
もうひとりの日本人、猪倉さんは135点277位。ブービー賞だが、タイムオーバーもなし、セクション飛ばしの50点減点もなし。順調といえば順調だ。