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藤波また勝った!/ポーランドGP
ヨーロッパ3連戦の最後の1戦、ポーランドGPは7月9日に開催された。
藤波貴久は絶好調。前回イタリアに続いて2連勝を飾って、ランキングも今シーズンはじめて2位まで復活した。
ランキングトップのアダム・ラガは3戦ぶりに表彰台に乗ってまずまず。
残り3戦。藤波が3戦とも勝利し、ラガが3戦ともに3位なら藤波チャンピオン、3戦とも2位ならラガがチャンピオンという戦況。あいかわらず藤波には苦しい展開だが、少なからず望みも出てきた。
旧共産圏、東ヨーロッパで世界選手権が開催されるのは、久々のことだ。といってもポーランドは、ここ数年、ヨーロッパ選手権は毎年開催されている。そしていまや世界のポイントランカー、タデウス・ブラズシアクもいる。ちょっと遠いけど、日本やアメリカに遠征するよりも、センターヨーロッパに近い。
この大会、セクションはどろどろのコンディションが特徴的だった。これまでの例でいけば、ドギー・ランプキンが得意とするコンディションだった。はたしてこの大会もランプキンの独壇場となるのか。
試合が始まって、すぐに好調が伝えられたのはカベスタニーだった。フレイシャがばたばたの3点で抜けた以外、他のみんながすべて5点となった第3セクションを、ひとりクリーンした。これでカベスタニーの好調ぶりは、みんなに強い印象を与えたのだった。
その後、第6セクションでは事件が起こった。一見、それほどむずかしくもなく、あぶなそうでもなかったのだが、下り坂から川に降りるポイントで、藤波が一気に川に向かって転落。体中を強打してしばらく動けないというアクシデントが発生した。リヤが横滑りして落ちてしまったと目撃者は語るが、いずれ、どろどろコンディションがもたらした事件だった。
ところが藤波は、そこから復活した。1ラップ目にはカベスタニーと同点で27点、わずかに遅れて31点のラガ。ランプキンは4位につけたが、点差はちょっと離れて36点。38点でブラズシアク、フレイシャ、ボウの3人が同点で並んでいる。ブラズシアクは地元での初めての世界選手権だから、がんばりようも格別だ。
2ラップ目、トップライダーのほとんどが調子を上げてきた。どのライダーも同じような好調ぶりだから、勝負はし烈だ。ただひとり、この争いから脱落していった者がいる。ランプキンだ。ランプキンは得意なはずのマディなコンディションで、らしくないミスを連発して、どんどん勝利のチャンスから遠ざかっていった。
2ラップ目、特に調子を上げてきたのが、ラガだった。そしてついに、競技が終わる頃には、トップ3人はほとんど同点に並んだのだった。
点数の集計がされると、はたしてトップは藤波。ラガとカベスタニーは同点で、ふたりは藤波に1点差だった。同点のふたりはクリーン数で、ラガが上位につけることになった。
しかしこれだけでは終わらなかった。藤波のスコアに対して、ラガ陣営が執拗な抗議。藤波の減点数が1点多いのではないかという者だった。藤波の減点が1点増えれば、トップ3人が同点となり、クリーン数の差で優勝はラガ、藤波は一気に3位となってしまう。
抗議は理不尽なものだったので、藤波の勝利は変わらずだったが、ラガにここまで執拗な抗議をさせたのは、それだけ藤波が驚異の存在になってきたということだ。
残り3戦。二人のポイント差は15点まで縮まった。日本GPが終わったときには31点もあった両者のポイント差は、たった3戦ののちに16点も縮まっている。残り試合は3戦。藤波とラガがこの勢いで試合を進めれば、藤波の逆転チャンピオンも充分可能性のあることだ。
ここまで、ラガの勝利はアメリカ大会での2勝。藤波は、ポーランド大会での勝利で今シーズン3勝の最多勝利者となった。残り3戦は、両者の争いが、いつになく興味深いものとなってきている。
なお藤波は、骨折や体調不良などがあったが、どうやらここへきて、それらの障碍はほぼ克服してきている模様だ。
●世界選手権●
Pos. | Rider | Lap1 | Lap2 | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|---|---|
1 | 藤波貴久 | 27+1 | 16 | 44 | 14 | 134 |
2 | アダム・ラガ | 31 | 14 | 45 | 16 | 149 |
3 | アルベルト・カベスタニー | 27 | 18 | 45 | 15 | 125 |
4 | ドギー・ランプキン | 36 | 23 | 59 | 13 | 133 |
5 | マルク・フレイシャ | 38+2 | 28 | 68 | 11 | 77 |
6 | ジェロニ・ファハルド | 43+1 | 25 | 69 | 10 | 100 |
13 | 小川毅士 | 64 | 60 | 124 | 1 | 18 |
●ジュニアクラス●
Pos. | Rider | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|
1 | ダニエル・オリベラス | 21 | 21 | 157 |
2 | ダニエル・ジベール | 22 | 19 | 157 |
3 | マイケル・ブラウン | 34 | 17 | 154 |
●ユースクラス●
Pos. | Rider | Point | Clean | Ranking |
---|---|---|---|---|
1 | アレックス・ウィグ | 1 | 29 | 121 |
2 | ロリス・グビアン | 2 | 29 | 147 |
3 | マティオ・グラッタローラ | 8 | 23 | 127 |