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女性世界選手権
9月29日、女性世界選手権が開催。今年はアンドラ、ベルギーに続いて、3戦目の戦いとなる。
ライア・サンツは予定通り3連勝を飾って、すでにベルギーで決めていた7度目のチャンピオンに華を添えた。
ただし彼女の実力からするとセクションがやさしいのに対し、ライアもときどきはミスをするから、その内容はあんまり楽勝でもなく、ミス次第では勝ち続けるのも簡単ではなさそうだ。
萩原真理子は5位、西村亜弥は11位、高橋摩耶は25位だった。
ライアの勝利はともかく、今回の興味はランキング2位争い。ドイツの(トライアル会の女帝という感じの)イリス・クラマーとイギリスの新鋭、ベッキー・クックがこの第1戦、第2戦を2位、3位でわけあっている。今回上位につけたものがランキング2位になるわけだが、ライアにタイトルを譲って以来、ずっと(ケガで不出場のときはあったが)2位を守ってきたイリスにすれば、ここは負けられない1戦。
セクションは彼女らにしても簡単な設定で、マシンをホッピングさせた瞬間の足つきなど、微妙な減点が結果を左右する展開となった。はたして1ラップ目は両者7点で同点だった。
2ラップ目、イリスは1点の足つきごとに声を上げてくやしがるシーンが難度も目撃された。一方、淡々とトライを進めるベッキー。しかし結果は、4点差でイリスのものとなった。かつての王者、いまだ健在。
されど、ベッキーの成長は著しい。この1年の間に、さらに大きく進化した。イリスも強いが、来年はまた、この争いが再現されるにちがいない。そして次には、ちがう結果が出るような予感である。
ライアは、1ラップ目に1点をとり、2ラップ目に痛恨の5点をとった。1ラップ目の1点も彼女にすれば屈辱の1点だった。だから2ラップにバランスを崩したときも、足を出さずに耐えてやろうと必要以上に粘ったところ、あっという間にフロントを救われて転倒してしまったという。イリスには3点差で勝利したが、こんなミスがあとひとつあったら、結果は変わってくる。トライアルはおそろしい。
萩原真理子は、今年はちょっと調子よく走れたようだ。ちょろちょろと足を出すのは完全にはなおっていないが、去年よりはトライアル的なよいバランスを取りもどした。それでも1ラップ目は西村亜弥と同点だったが、2ラップ目に点数を減らしてきた。
イリスやベッキー、その他女性陣の多くは、セクションをスムーズに走り足を出さないテクニックは身につけているが、技術的な走破力という点では、真理子の比ではない。技術的に、ライアを脅かすことができるのは真理子だけというのは、MFJ男子チーム監督の小谷徹さんの観察。
西村亜弥は、今年は練習量が豊富なだけあって、去年より強力に走っている。ただし、39名という今までになく多い参加者、セクションでの渋滞の対処など、新たな課題も出てきて、まだまだ完全に本領を発揮するまでにはいたらず。本人曰くは、今年は最後かもしれない、とのことだけど、真理子とともに、本気で世界選手権を戦わせてみたい逸材のひとりだ。
高橋摩耶は、25位と前年の記録を落としてしまったが、参加者が増え、ライバルのレベルが上がった中では上々の結果といえる。今回の結果から見るとポイント獲得はむずかしそうだが、3戦の結果を見渡せば、全戦参加をすれば、あるいはどこかでポイント獲得も可能かと思われる力は持っていそうだ。
3人とも、それぞれ全戦参加ができる環境ならなぁとくやまれる。
その他、世界の女性ライダーたちの目覚ましい成長ぶりについては、また。