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ぎりぎりの表彰台。日本3位のTDN
2006年トライアル・デ・ナシオンが終了した。
スペインがぶっちぎりの優勝。イギリスはよくがんばったが大差の2位。
そして厳しかったのが3位争い。16点差の間に日本からフランスが並び、日本とイタリアはたった8点差だった。
3位が指定席と言われていた日本の順位だが、3人体制となった今年は、指定席が漫然と手に入るものではないことをあらためて思い知らせてくれた。
日本チーム危うしのシーンに遭遇してしまったので、がんばったライダーのみなさんにはたいへん申しわけないけど、追いつめられるとこういうことになってしまうという象徴として、3枚並べておきます。
野崎は微妙に高さが足りず、落ちてしまった。小川毅士は、ラインが手前にずれていて、ゲートマーカーを踏みつぶしてしまった。セクションによってはゲートマーカーが落ちても5点をとらないところもあったが、さすがにこれは本人も納得の5点。
ここは1ラップ目は毅士も3点ででていたところで、野崎と藤波はクリーンしていた。だから二人が揃って5点になった衝撃は大きかった。
そのショックは、藤波に個人にも影響した。藤波は、マインダーよろしくふたりに指示を出し、アドバイスを出しながら戦っていた。まったくプレイングマネージャーとしての振る舞いと活躍。日本チームに対して献身的な藤波の姿だったが、セクションを走り回って指示を出し、クリーンを出すのに忙しい藤波。そうこうしているうち、ふたりの(といっても、野崎は今回はたいへん素晴らしいライディングをした)失敗が自分の失敗のように感じてしまうようになっていた。
二人の失敗を見た藤波は、自分が続けて5点をとってしまったあとのトライのように集中力を失って、なんと毅士以上に大きくラインを乱して、ゲートマーカーのはるか手前に着岩、しかも乗りきれずに落ちていった。藤波にはありえない失敗。ライダーとしての仕事に集中できなければ、藤波だってこんな失敗があるのだ。
今回は、3人のぎりぎり体制で、なんとか3位を獲得した。いつもの3位とはちがって、この3位はたいへんに価値ある貴重な3位だ。しかし次も、3人で3位が取れるとは限らない。これまでの3位は、ベストメンバーで闘い、全力を出しきって獲得してきたものだ。勝てなかった結果の3位ではなく、勝ち取った3位なのだと、あらためて思い知らされたのが、2006年デ・ナシオン日本チームの、大きな教訓であり、収穫だった。