トニー・ボウが、2012年Xトライアルのチャンピオンを決めた。第6戦ミラノ。ここまで全勝を続けているボウは、ぎりぎりではあったが、アダム・ラガを下して6勝目を挙げ、自身6度目のインドア世界チャンピオンとなった。Xトライアルは、残るはあと1戦、フランスはパリでの最終戦を残している。
藤波貴久は、今回はセミファイナル敗退で5位。ジェロニ・ファハルドが、ベータに移籍して初めてのファイナルを走っている。また、オッサのダニ・オリベラスがXトライアルを走って7位となっている。

Xトライアル第6戦はミラノ。ミラノはイタリアの北東部の工業都市で、ここから1、2時間走ると、ベルガモという町がある。ベルガモはデエゴ・ボシスが生まれた町。今回はボシスが急逝してから初めてのイタリアでの世界選手権ということで、セミファイナルに先立って(お客さんを入れての最初のタイミング)ボシス追悼のセレモニーがあった。6名の参加者がボシスをプリントしたTシャツを着て現れた。ライダーに囲まれたおじさんは、ボシスのお父さんだ。
あらためて、偉大なイタリアのトライアルチャンピオンに、合掌。
今回はリザルト上は9名が参加。イタリアのジャコモ・サレーリとスペインのダニ・オリベラスが新しい顔ぶれだ。本当はこれにポル・タレスがいるはずだったのだが、ポルはクォリファイの第1セクションで大クラッシュ、前転して、手首骨折の負傷を負ってしまった。
今回、これまでノミネートライダーだったアルフレッド・ゴメスがメンバーから外れている。ゴメスはこれまで、エンデューロとトライアルの二足のわらじを履いていたが、どうやらトライアルでの活動環境が作れず、いよいよトライアルからの引退を決意した。それでゴメスの代わりにノミネートライダーとなったのが、若きポル・タレスだったのだが、さて負傷したポルの代わりは誰になるのか。2011年ジュニアランキング3位(2位がポル)のモレットになるのではという観測もあるが、さて?

オッサのダニ・オリベラス
ダニ・オリベラスは、今回だけのスポット参戦となるはずだが、オリベラスはなかなか走る。シェルコの4ストロークを預けられた時もいきなりポイントを獲得したし、新しいものをさっと乗る才能があるのではないか。どちらかというと天才型で、しかし努力型には思えないところがオリベラスの痛いところだ。
今回はあと数点スコアをまとめられれば、グビアンを出し抜いてセミファイナル進出をはたしたかもしれないところだった。しかし結果は、これまでの5戦と同じく、同じメンバーがセミファイナルに進出することになった。トニー・ボウ、アダム・ラガ、アルベルト・カベスタニー、藤波貴久、ジェロニ・ファハルド、ロリス・グビアンの6名だ。
さてセミファイナルでは、今シーズン初めて、藤波が5位となった。藤波に代わってファイナル進出をはたしたのはファハルド。ファハルドはベータに移籍して、昨シーズンより安定した上位獲得を目指していた。去年はオッサで、ときどきよい成績をあげるものの、初期トラブルなどで不本意な結果に終わることも多かったからだ。ところが開けてみると、Xトライアルでのファイナル進出もままならず、ランキングでも藤波に大差の5位につける。お気の毒な状態が続いている。
今回、明暗を分けたのはセミファイナルの第2セクション。丸太が縦においてあって、そこに飛び乗る設定だった。ボウもラガも、そこで落ちた。ファハルドは、丸太に乗って後ろに落ちるかという時になって、丸太のささくれのようなものがマシンのどこかに引っかかり、それで落ちずにこらえてしまった。なんともラッキー。ここで5点なら、やっぱり今回もセミファイナル敗退となっていたところだが、6戦目にして、ファイナル進出を得たファハルドだった。
もちろん、ファハルドがファイナル進出ということは誰かファイナルに残れないライダーが現れるということで、それが今回は藤波だった。藤波はファハルドと1点差で、今シーズン初めてセミファイナル敗退の涙をのんだ。
ファイナルでは、ボウとラガの一騎打ちの様相となった。セミファイナルまでの点差は2点。これをさらにボウが突き放して優勝かと思いきや、最終セクションでボウが失敗。後方に飛び降りた時(インドアではバックが可能なので、一度登り損ねても、後ろに飛び降りて再度挑戦しなおすことができる。そのかわり、セクションでの持ち時間が厳格だ)、マシンコントロールを失って背中からフロアに叩きつけられてしまった。5点。これでラガとの点差は一気につまって、同点になってしまった。
しばらく息ができずに苦しむボウ。しかしラガと同点となっている今、最後のタイブレイクを走らないと、不戦敗となってしまう。インドアではファイナルで同点となった場合は、クォリファイでの順位が上位のものの方が上位となる、という規則なのだが、優勝争いについてだけはこの限りにあらず。タイブレイクをおこなうことになっているのだ。
やがて、ようやく立ち上がってマシンにまたがるボウ。そしてラガとのタイブレイクは、やっぱりボウが勝利したのだった。
シーズン当初はもっと圧倒的大差をつけていたものだが、だんだん点差が少なくなってきて、とうとう同点まできてしまったが、それでも6戦6勝。全勝のまま、シリーズチャンピオンも決定したボウ。これでモンテッサして以来、インドア世界チャンピオンも6年連続ということになった。
残りは1戦。残るランキング争いはラガとカベスタニーによる2位争い。現在ふたりは同点となっている。藤波のランキング4位も決定。ファハルドとグビアンのランキング5位争いはまだ継続しているが、ここの逆転は事実上むずかしい。最終戦はフランスのパリで開催される。
6連勝6連覇を喜ぶトニー・ボウと、マインダーのデダック(スキンヘッドで日本のファンにもおなじみかと。ただし2011年は原発事故が怖くて日本GPには来日していない)、そして監督のミゲール・シレラ
