2026年のXトライアルは、気が早いことに2025年10月4日に開幕している。2025年中にすでに5戦が開催されて、2026年最初のイベントが、1月24日にイギリスのリーズ(LEEDS)で開催された。
2026年シーズンが、年が明けるのを待たずに2025年中から始まるのはXトライアルのあるあるで、それ自体はもうすっかりお馴染みになった。
ここまでの5戦、トニー・ボウは4勝を決めた。第3戦、フランスのサン・ドニではハイメ・ブストが勝利してボウに一矢を報いたが、ランキングポイントではボウがトップ(ダントツ)、2位にガブリエル・マルセリとなっていて、ブストはファイナルに進めなかったラウンドが1回あって、マルセリに7ポイント差でランキング3位となっている。
今シーズンの注目のまず一つ目は、このブストだった。ガスガスのオフィシャルライダーだったブストだが、KTM/ガスガスは、2026年にはオフィシャルレース活動をしないという発表をした。さてブストの2026年はどうなるのか。注目のシリーズとなった。
Xトライアルは2025年10月から2026年のアウトドアシーズン開幕前までが2026年シーズンとなるが、ライダーの契約は12月31日いっぱいで切り替わることが多い。過去、Xトライアルに出場しながらメーカーが変わるライダーも何人かいた。12月いっぱいは前の契約のメーカーのマシンに乗り、1月になったら新しい契約のマシンに乗る、という、1シーズンの間にマシンをスイッチするやり方だ。一方中には、契約主と相談の上、Xトライアルのシーズンインとともに次の契約のマシンに乗るライダーもいた。ブストは、2025年中はガスガスに乗り続けた。マシンもウェアも、2025年のアウトドアシーズンのまま、ガスガスが発表した活動中止は2026年からだから、2025年のうちはブストの活動をサポートする義務があった、ということかもしれない。

2026年が明けて、ブストはなにに乗ってくるのか。それは、ある意味斜め上を行った結論だった。ピンクのS3ウェアに身を包んだブストが乗るは、ガスガスだった。しかし2026年のガスガスは、2025年のそれとはちがうガスガスだった。ブストが乗って現れたのは、KTMがフレームを作り替える以前の旧形ガスガスで、S3とスペインの大手トライアルショップNON STOPのロゴはあるが、ガスガスのロゴのないプライベート仕様だ。
実はブストは、公式戦たるXトライアルを前にノンタイトル戦に出場していて、ボウを破って優勝もしている。旧型でも(ブストが乗れば)世界トップの性能を発揮できるのだと、実証済みだった。

世界トップのプライベートライダー、ハイメ・ブスト。ファクトリーとの縁は築けなかったが、ブストを支える輪は、これから広がっていくのかもしれない。
もう一つのトピックは、ハリー・ヘミングウェイだ。ご存知、2022年T3チャンピオンにして、2026年T2チャンピオン。ランプキン家と並ぶ、イギリスのトライアル名家の出身にして、弟のジョージと二人で3年にわたってT3タイトルを奪い続けたイギリスの期待の星。この2026年シーズンのXトライアルには、2025年T2チャンピオンとして、全戦に参加することになっている。今回は地元イギリスとあって、弟のジョージと兄弟揃って参加となった。2024年T2チャンピオンのジャック・ピースと、8名参加のうち3名がイギリス人となった。

クォリファイで、ハリーは4番手、ジョージは6番手だった。ジョージがデビュー戦で6位というのもすごいことだが、ここまでの6戦中3戦で4位になっているハリーの、もうひとがんばりにも期待したいクォリファイとなった。ルーキーのハリーが、2回に1回ファイナルに進んでいる、ということだ。
敗者復活戦はたった一人だけが勝ち残れる。マテオ・グラタローラ、ジャック・ピース、アルナウ・ファレ、そして弟のジョージの4人が敗者復活でのライバルとなる。そしてハリーは、4人に勝って敗者復活の一番時計を叩き出した。このシーズン、4回目のファイナル進出となった。
ここまでの3回、ファイナルでは3回とも最下位となって4位となっていたハリーだが、今回はちがった。ボウ、マルセリ、ブストを相手に堂々たる戦い。しかも今回のハリーは乗れっぷりが際立っていた。マルセリ20点、ブスト17点に対し、ハリーはたったの11点。優勝は安定のボウだったが、ボウの減点が11点。なんと、初勝利までたったの1点という、素晴らしい結果だった。初優勝は逃しはしたもの、まだまだハリーには無限の未来がある。ドギー・ランプキン以降、覇権から遠ざかっていたイギリスのトライアルだが、再び流れはイギリスに向いたのか?

ハリー・ヘミングウェイ2位、トニー・ボウ優勝、ハイメ・ブスト3位。いろいろと、2026年バージョン。
