
スタート前日のパレードで、亡くなったディエゴ・ボシスを偲ぶジェイムス・ダビル Photo:G2F
5日目になって、ドギー・ランプキンのトップは変わらず。しかしドギーも、そんなに安泰ではなくなっている。トップ3人が1点差ずつで並んでいるからだ。あと1日だけど、1日で5点くらいだったらほんの少しの気持ちの変化ですぐついてしまうから、まだまだ戦況はわからない。

同じくパレードでのマイケル・ブラウン。フォートウイリアムの古い町並みとマイケルの笑顔のコントラストがステキ Photo:G2F
ドギーの減点は、この日は5点で、トータルが12点になった。5日で12点だから、1日3点までいかないということだ。1セクション平均3点だってたいへんなことだと思うんだけど、すごいやつらはいるもんだ。これ、単にセクションを走るだけなら、SSDTのセクションをオールクリーンする日本人ライダーはいっぱいいると思う。少なくともIAライダーならそれくらいはやってくれると思うんだけど、SSDTというところはそうじゃない。100kmとか200kmを走って、時間に追われて、それでセクションを走る。こんな状況で実力通りのパフォーマンスが発揮できたら、すごいことなのだ。イギリス人トライアルライダーは、子どもの時からSSDTにあこがれて育っている。今回最年少は17歳。こんなガキが、30年、40年と出場し続けておっさんになっていくのだから、日本からぽっとやってきた並のおっさんがきりきり舞いとなるのも当然なのだった。
このドギーに続いて、5日目にして2位に進出してきたのが、これまで2回SSDTで勝利しているジェイムス・ダビルだった。この日はオールクリーン。一気にトータル13点でドギーに1点差だ。
毎年、金曜日はペニンシュラの日。ペニンシュラは半島という意味だけど、フォートウイリアムの西南側に位置する半島部分を一回りするという設定。そのほかの5日間がすべて北東側の荒野だから、景色もちがうし、そうそう、半島に渡るのにコランフェリーというのに乗っていくんだけど、ノルマンディ上陸作戦みたいな船にトライアルバイクが乗っている写真を見たことがある人も少なくないんじゃないだろうか。あれが、SSDTの金曜日のハイライトだ。半島だから、地続きでいけないことはないんだけど、おそろしい遠回りになるので、みんなフェリーに乗って対岸へ渡る。
で、SSDT通によると金曜日は休息日なんて言われ方をする。なんでも、この日はちょっと簡単、ということなんだろうけど、日本人参加者に聞けば、休息なんてとてもじゃない。SSDTはSSDT、ということになる。どっちがほんとなのか、自分で走ってみないとわかんない。きっと日本人のみんながいっていることの方がほんとだと思う。イギリス人は、だいたいサディスティックですからね。
それでダビルが2位に浮上。3位はマイケル・ブラウン。マイケルはきのうの10点から今日は4点取って14点。ダビルに抜かれて3位となった。休息日といったって、ドギーが5点、マイケルが4点取ってしまうところだから、地形の難易度やコースの長さ、過酷さとは別に、精神的な厳しさはあんまり変わらないということだ。
マイケルに続くは、ジョルディ・パスケットが21点。ちょっと離されてしまった。最終日1日で9点を挽回するのはなかなかむずかしい。前半3日間をオールクリーンしたパスケットだけど、どうも今年もやっぱり勝てないらしい。4日目に足をつき始めて、ガタガタっときちゃったかな。木曜日にはじめて減点したと思ったら13点。次の日に8点。3日間オールクリーンしなくてもいいから、毎日2点ずつついていれば、今でもトップなんだけど、それは荒野から遠いところから思いをはせている無責任な外野だけが思っていることかもしれない。
5日目になって、一桁減点で帰ってくるライダーはごく少なくなった。5日分の疲労かもしれないし、集中力がどこかへいってしまったからかもしれない。この日の一桁減点は全部で10人くらいしかいないんだけど、その中で、ジャック・チャロナーが6点で回ってきた。それでもトータルは42点で、優勝争いからは完全に脱落しているけど、優勝うんぬんでなく、SSDTとトライアルは最後まであきらめてはいけない。気を抜いてると、もっととんでもないことに(成績が落ちるということじゃなく、泥沼に落ちて抜け出せなくなったり)するかもしれない。
女子の争いは、オッサのワークスライダーとなって2年目のエマ・ブリストがトップを守っている。この日は47点でトータル188点。オーバーオールで64位だから、たいしたものだ。日本のIAクラスが出場すると、だいたいこのへんに入ってくる。いいペースで走れると30位前後に入ることもあるけど、SSDTに限っては、エマは日本のIA並の実力を持っているといっていい。
女子2位はベッキー・クック。彼女は世界ランク2位で、ライア・サンツに次ぐ実力者なんだが、最近はエマにやられることが多くなってきた。現在229点でオーバーオール90位。
日本勢はふたりはタイムオーバーで失格となっていて、4日目は走ったけど、5日目は記録がない。やっぱり失格宣告をされると気持ちが萎えるから、1日休養して最終日にまた走ろうかな、なんて作戦を立ててしまうものらしい。少なくとも、今までの経験者はそういう人が多かった。

伊藤さんのセクショントライ。Photo:G2F
ボイタさんのことを紹介したけど、日本のお二人はそのボイタさんと仲良しの成績だ。ボイタはこの日137点でトータル666点。一方杉浦さんはこの日173点でトータル710点。タイムオーバーが33点あります。60分までは失格にならないから、タイムオーバーも上手に使う作戦が必要になるのかもしれません。もちろんタイムオーバーなしで帰ってこれればそれがいいんだけど。伊藤さんは杉浦さんのすぐうしろの234位。この日の減点164点でトータル716点。この日のタイムオーバーが36点。あと1日になったから、ぜひこのまま完走していただきたいものです。
ちなみにSSDTは、かつてはこれでもかというくらいにストイックで、整備も自分でやらなきゃいけないし、セクションを飛ばしたら50点。申告エスケープは認めない、なんてなってたんだけど、今はサポートがタイヤ交換とかをやってくれるようになった。セクションを飛ばしたら50点は変わらないけど、すいません、5点くださいというのはありになった。もっともSSDTのセクションはコースの途中にあるものが多くて、申告5点をもらってもそこから抜け出すのに結局セクションを通らなきゃいけないので、それでうんと楽になるかというと、そんなこともないんですが。
さぁあと1日です。スコットランドを思いながら、あしたは全日本の九州大会もあります。