雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

レンズを分解しました

1504タクマー50mm

レンズの分解掃除をしてみました。

お仕事としてカメラに接していると、カメラを分解するなんてとんでもない。でも、なおらなくてもいいやと思うと、やってみる気になります。問題は、いつやるか、なんだけど、ぼくは流行語は大きらいなのでなかなか手がつかなかった。でもやってみました。今さっき。

1504タクマー50mm外観

忙しい忙しいといっていると、いっているだけでおかしくなっちゃうので、おれはヒマなのだと思いこんだので、それで作業にかかれました。杉谷などは、おもいきり集中して仕事をしていたと思ったら、数時間机を開けて釣りに行ったりすることができる。ぼくはそういうことができない。イタリアくんだりまで出かけて、マリオ・カンデローネの家でぐずぐず仕事をしていたら「おまえも日本人だなぁ」と言われたことがあるけど、日本人が勤勉だというのは実は嘘っぱちで、机に座って仕事してるふりをするのが好きなんじゃないかと思ったりします。少なくともぼくはそう。好きなんじゃないけど、まぁ、ぐずなんです。

そういう話じゃない。分解したレンズは、スーパータクマー50mmF1.4。このレンズは前に紹介したけど、放射性トリウムを使っていて、線量計をレンズに近づけると10μSv/h弱の数値が表示されます。それが見てみたくて、オークションで買ったんだけど、少しカビに冒されていた。ものの本を読むと(いや、インターネットだ)、カビは中性洗剤でけっこう落ちると書いてある。それでばらして、台所で洗ってみました。でもちょっと、水あかみたいなのがついちゃったかもしれない。経年変化かもしれないけど、このへんは、素人の分解修理だから、うるさいことは言わない。

トリウムレンズは、たぶん放射能を出してるからだと思うんだけど、レンズが黄色く変色してます。それで、その前後のレンズも変色させちゃっている。一番黄色いレンズがトリウムを含んでるんだと思うんだけど、線量計を近づけても3μSv/hくらいにしかならない。いや、放射能が高くていいことはなにもないんで、それならそれでいいですけど。組み上げたレンズをもう一度測ってみたら、7μSv/hと数字が出ました。カメラの後ろ側、人間の顔があるあたりでは0.4μSv/hくらい。1970年代、このレンズを使っていた人はそれくらい被曝していたわけで、それでもフィルムが感光するなんてこともなかったわけなんで、原発の是非はともかく、今のヒステリックな放射能アレルギーはどうなのよと思ったりするのだけど、それは今回の話とは関係ないです。

1504タクマー50mmのレンズ

さてさて、そんなこんなで一度組んだら、ピントがまるで合わなくて、どうしたものかと青くなったら、作業バットにレンズが1枚あった。組み忘れていたらしい。なんか致命的な失敗をしたかと思ったけど(致命的だろう!)よかった。

もう一度組んだら、またもピントが合わない。あれぇと思って、もう一度文献(インターネットだった)を引っ張り出してきてレンズ構成と比べてみたら、かのトリウムレンズを前後反対に組んでいた。前後反対でもネジがあっちゃって組めちゃうというところがすごい。

ピストンなんかも前後逆に組めば、組めるのかな? 吸気側と排気側では晒される熱がちがうから、焼き付いちゃうかもしれないですね。その前に動かないかもしれないけど。焼き付いちゃうのに比べれば、レンズは組まちがえると、ピントがまるで来ないからすぐわかって便利です。いや、組んだ時にメモとかしておいて、その通りに組めばいいんですけどね。次はそうします。

で、できあがり。しかしこの50mmF1.4。開放時のボケっぷりたるや、すごい。ちなみにウサギの写真を2枚お見せしちゃっていますが、1枚はてきとうに絞ったもので、1枚は開放です。開放の方は、ピントが合ってるのかぶれてるのか、もしかしたらぶれてるのかもしれないけど、高感度にものを言わせて撮ったから、あんまりぶれてはいないんだと思うんだけど、自信がなくなってくるようなボケ味です。

この時代のレンズ、なにからなにまで、ガラスと金属でできてるんですね。ずっしり重たい。その重厚さと、女の子でも撮ってみたくなるボケ味のコントラストが、たいへん魅力的。このへんには女の子といっても50年くらい前に女の子だった人たちしかいないけど、ちょっとレンズの前に立たせてみるかな? ウサギじゃなくて。

1504タクマー50mmとウサギ