雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

4台目のαが来た

α7(無印)を買ったのは2014年の6月だった。そして2018年の6月、4台目のαになるα7IIIが届いた。今、ざっとセットアップをして、買っておいた安物のストラップをカメラに通したところだ。

2台目はα7Sで、α7の5ヶ月後に買っている。その後、α7IIが出たりしたけど、それはパスして、α9が出てきたときにがまんができず2017年7月にこれを購入。そんで今回、やっぱりがまんできずにα7IIIを買っちゃった。

無印7を買ったときには半信半疑。仕事に使えるなら使うし、でも使い物にならないかもしれない、使えなかったらマウントアダプターをそろえて昔のレンズをつけて遊ぼうと思って、15万円捨てたつもりで買ってみた。そしたら、それまで10年ほどニコンを使っていてどうにも写らなくて苦労していたのがうそみたいにちゃんと写った。

ニコンが大好きな人には申し訳ないけど、ぼくにはニコンが合わなかったみたいなのと、最近のデジタル一眼レフはとにかく重くて、昔ならいざ知らず、ご老体となった今となっては持ってるだけで疲れ果ててしまう。それにグリップ部も太くて、手が回りきらない。写真撮ろうと思って握っているだけで右手がひくひくしてくる。このあたりはニコンに限らず、たぶんキヤノンでもなんでもおんなじなんだろうけど、そんなこんなで、ぼくのカメラ遍歴はついにソニーに行き着いてしまった。

カメラはカメラ屋さんのカメラに限る、家電屋さんのカメラなんて信用できないと言っていたのは、ほんの数年前のぼくだ。まぁへそ曲がりなので、キヤノンを一式盗難で失ったとき(1993年ごろ)、キヤノンを買わずにコンタックスを買ったりしたこともあったけど、コンタックスもそうとうに使いにくくて、デジタルカメラを買うことになったときにはやっぱりキヤノンを買った(2000年ごろ)だけどキヤノンの色がどうにも気に入らなくて(その頃はRAWをいじり倒すという発想はあんまりなかった。今でもあんまりないけど)ニコンD70という安物カメラを買ったらこれが素晴らしかった(2005年ごろ)。それからD200、D800とニコンを使ったけど、どんどんでかくなるボディに手が足りなくなって、ソニーα7を持ってみたらおー、この小ささは素晴らしいと一目ぼれしてしまったという顛末であります。

2018_3台のα3台しかないのは、1台でこれを撮っているからです。

実はα7のデビュー直後(2013年秋らしい)に、ヨドバシカメラでいかがですかと声をかけられα7を持たされたことがあったけど、当時は電子ファインダーなんかで写真が撮れるかと思っていて、ちょっとさわっただけで、こんなんで写真を撮る気にはなれないですとお返しした覚えがあるんだけど、それから半年後にはお気に入りになっているのだから、なんといいかげんなやつだろう。

7Sを買ったのは、2台目が必要だったからだ。いわゆるミラーレスというカメラはクィックリターンミラーがなく常日ごろはシャッターが開いている仕様で、レンズ交換をするとゴミが入りやすい。というか、埃だらけの仕事場ゆえ、ほとんどレンズ交換の度に、ゴミが入ってしまう。だからレンズを2本使いたければ、ボディも2台ないといけないということになった。7無印をもう1台でもよかったのだけど、レンズマウントがどうもひよわな感じで心配なのと、7Sにあるシャッター音なしの撮影モードが魅力だったからからだ。

とはいえ、写真を撮るのに音がしないなんて気持ちが悪いから、無音の撮影モードは特別な場合にだけ使っていた。近所のじいちゃんやばあちゃんにカメラを向けると、おれなんか撮るなと言われるし、ましてばしゃばしゃやたらと連写したりすると、そんなに撮ってどうするんだ、カメラが減るぞとよけいな心配ばかりされるから、せめて無音なら彼らの抵抗もだいぶ少ないってもんだ。

2015年のLEICA最初に買ったα7と1万円のレンズ。意外にお気に入り。ライカですか?と声をかけられると、恥ずかしい。

そんなこんなでサイレントシャッター(電子シャッター)を使っているうち、最近じゃ音の出るシャッターはほとんど使わなくなってしまった。物理的動作をするフォーカルプレーンシャッターは消耗するけど、電子シャッターは消耗部品がないし、喧騒の中で撮っているときには自分のシャッター音なんて聞こえないんだから、わざわざ音がある必要はそんなにない。このあたり、オートバイの排気音に対する思いとも共通するような気がする。

さてこの7と7Sの2台、写りについてはまったく不満はなかったけれど、どうしようもない部分もいくつかあった。オートフォーカスが、とにかくタコで、迷いまくって合焦しない。防水性能もタコで、濡れるとどんな動きをするかわかんなくなる。致命的なのが、レンズにストラップをつけてぶら下げていると、知らない間にボディがはずれて落っこちてしまうことだ。α7のマウントはひ弱な感じで、7Sはちょっとましになっていたのだけど、どっちのカメラでも同じことが起こった。レンズの着脱ボタンを知らずに押してしまうか(押しやすい位置にあるのか)、たとえそうであってもレンズがくるくる回るようにゆるくなければ、ボディからレンズがはずれるなんてことはないはずなんだけど、これは困ったもんだった。気をつけて持つようになってからその後は発生していないけど、この不信感はまだまだぬぐえていない。

連写は最高秒間5コマとなっているけど、これだと液晶表示が遅くて、ファインダーを見ないで撮ってるのも同じ感じになってしまう。ちゃんとファインダーを確認するとなると秒間2.5コマになっちゃって、さすがに動きものを撮るのにこれは遅い。ちょっと残念なりだった。あと、なんでもかんでも電気的に処理するカメラの宿命だけど、電池がみるみるなくなるのにはまいった。おかげで電池は山のように用意するようになった。

α7シリーズにはもう1台、α7Rという高画素バージョンがあったけど、これはにまったく食指が動かず。そんな高画素は無用だし、速写性能はさらに劣っていて使い物になりそうにない。kakaku.comを見ると、いまやこの7R無印が最も安価になっている。さもありなん。その後、シャッターの位置が悪い、手ブレ補正がほしいという世間の声に押されたか、1年後にはα7IIがデビューした。でも連写スピードは5コマが最高で、AFもちょっとよくなっているという程度だというし、もちろん金もなかったから7IIシリーズの導入は見送った。いろいろ使いにくいα7シリーズだけど、その撮影スタイルが、昔々の撮影スタイルを思い出させてくれたりしたのも確かで、今でもお気に入りのカメラだ(ほんとは外観スタイルそのままの新型がほしい)。

と、そんなこんなで一応満足していたところに、α9というとんでもないカメラが登場した。秒間20コマ、AFがうんと速くなって、電池もでっかい。ずいぶんまともな仕様になった。しばらくのち、がまんできなくなって、えいやと(24回月賦で)買ってしまった。これはなかなか素晴らしかった。鬼のような連写スピードとかは、それに対応しているレンズを持ってないのであんまり恩恵はないんだが、それでもα7シリーズよりはすべてにおいて倍以上、3倍くらい進化していた。電子シャッターで、画面に歪みが出ないのは、かなり変態的仕様のメモリ内蔵センサーを使っているかららしい。

2018歪んだ軽トラックカメラを振り回して電子シャッターで撮ると、7IIIではこうなる。機械シャッターもしくはα9では(あんまり)ならない。

これを使っちゃうと、おんなじカメラがもう1台ほしくなる。レンズ交換したくないという、α7Sを買ったのとおんなじ理由でだ。でもこんなに高いカメラは、そうそう買えない。そしたら、1年弱たって、α7IIIというスタンダードモデルと称する新型が出た。いくばくか見劣りするスペックはあるけど、たいていの仕様はα9に匹敵して、それでいてお値段はデビュー当時のα7よりちょっとだけ高い程度。大バーゲン。これもやっぱり2ヶ月くらいがまんしたのち、導入することにした。α9と共通に使ってもそんなに違和感がないと思われる仕様も魅力的。安いのに、α9が持ってない機能も備わっている。ちょっとずるい。

1806開封の儀届いたα7III。α9で撮ったのだけど、油断したので蛍光灯のフリッカーが出ている。

ソニーストアから送られてきた梱包は、あいかわらずそっけない(問題があるとは思えないけど、がっかりする人はいるみたいだ)。箱から出して、液晶の保護ガラスを貼って、α9用のスペア電池を入れて(送られてきた電池は、ほぼ空っぽだった)まずはメニューとカスタムボタンの設定をする。自分のセッティングにしないと使い勝手がまるでちがうから。

ソニーは、機種が新しくなるごとに、惜しげもなく新技術を導入する。登場はα9、α7RIII、α7IIIの順だけど、α9にないものがα7RIIIにはあり、さらに7IIIにはより新しい技術が入っている。素晴らしいけど、先に高いカメラを買ったユーザーにとっては、なんか肩透かしな感じもする。ハードウェアの問題ならしょうがないけど、ソフトウェアのアップデートでなんとか対応してくれないものかな。

7IIIでおいしいのは、フリッカーレスのオプション。7RIII以前のαは、蛍光灯下で高速シャッターを使うとへんな色むらができるんだけど、これがきれいになくなった(ただし電子シャッター使用時には使えない)。これは全機種に装備してほしいなぁ。センサー自体にフリッカーを検出する機能が必要らしいから、ソフトウェアのアップデートでは間に合わないのかもしれないけど、ぜひぜひほしい。

2018フリッカーα9や電子シャッターで撮るとこうなる。

ソニーは本気でカメラを作り始めてからまだ日が浅くて、いろんな人の意見を聞いて仕様変更をしているけど、それで使い勝手がばらばらになっているという印象もちょっとある。4台のαのメニュー画面を開くと、どれも微妙に異なっていて、4台を同じ使い勝手にはできない悲しい現実もある。こっちのメニューでは全角カタカナが使われていたのにこっちは半角カタカナだったりというどうでもいい不整合もある。

多少使いにくくても慣れちゃうんだから、早いところ使い勝手の仕様を決めて、それで統一してくれたほうがいいなぁ。α9には左肩に連写ドライブやAFセットのダイヤルがついているけど、α7シリーズは一貫してここがのっぺらぼうで、設定はメニュー画面を開いてやるうになっている。ダイヤルでやるほうが直感的だけど、メニュー画面でやる仕様だったらリモコンでもセットを変えられる。ダイヤルでの設計変更は、カメラを直接操作しないといけない。どっちがいいかはともかくとして、操作性は致命的にちがってしまっている。

こっちはフリッカーなしで撮影ができる、こっちは高速シャッターで歪みがない写真が撮れる、こっちはコンパクトで軽くてサイレント撮影ができる、こっちはなんの特色もないけど、軽くて写りそのものは最新型とも遜色ないと、4台それぞれ使う用途と特徴が異なっていて、どれを持ち出すか、そのつど悩んでしまいそうだ。どれか1台を持っていって後悔する気もして、出かけるときは4台持っていかなきゃいけないかもしれない。

そうそう、ソニーαに対して抱いている大きな不信感、レンズがはずれる件については、α9でも起きた。これはソニーの設計が根本的におかしいか、ぼくの使い方が決定的にまちがっているかどっちかだ(ニコンでもキヤノンでもコンタックスでも、レンズがはずれたことはないんだけどね)。今度のα7IIIではどうなるかな? ちなみに、α9がきたときにはレンズマウントがしっかりしていてガタがないのに感激したけど、今となってはやっぱりガタが出ている。1年間で減ってしまうカメラなんだというのも、現状のソニーの現実みたい(マウントが減るなんて、ニコンやキヤノンや、コンタックスでも感じたことはなかった)。

きっと、ソニーのカメラはまだまだ進化の過程なんだろう。早く使い勝手が落ち着いてほしいと思う一方、どんどん進化をしてほしいとも思う。ブランドにはとんと興味がないので、ソニーでもキヤノンでもペトリでもいいのだけど、このカメラとのおつきあいが本格的に始まった感じがする今日この頃でした。