雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

アポロ11号とメヒカリの唐揚げ

映画「ファースト・マン」を見てきた。映画を見るといっても、片道1時間強かけてでかけていかなければいけないから、覚悟が必要なのだ。

1903イモンモール

この映画は、この数年、すっかりお世話になったり一緒に遊んだりしている、会津大学のてらきん先生(本名は寺薗淳也さんというんだけど、向井千秋さんはじめ、宇宙開発方面では寺薗を寺菌とわざわざ読みまちがっててらきんさんと呼ぶのがふつうらしい)にお勧めされたもので、アポロ11号で人類初めて月に足跡を残したニール・アームストロングさんの物語だ。

アポロ11号は、ぼくが小学校の時に月に着陸した。ちょうど修学旅行で日光だかにいっているとき、宿に入ったらそんなニュースが届いていて、けっこう興奮したのを覚えている。あの時代、ぼくらは米ソ冷戦構造など知ることもなく、人類が宇宙に進出することに大喜びで注目していた。てらきん先生はJAXAの広報を務めていたこともある宇宙人(宇宙関係の人という意味で使ったのだけど、一緒に遊んでると、いろいろ宇宙人だと思うところもある)だけど、今宇宙開発に従事している人は、さぞ子どもの頃にアポロ計画に胸を躍らせた人なんだろうなと思いきや、今の世代のみんなは宇宙戦艦ヤマトとかガンダムだそうだ。考えてみたら、アポロ計画で宇宙に夢を描いた世代は、もう定年を迎えちゃっているものね。

ジェミニ計画やアポロ計画の初期段階で殉職者が出たことも、小学生の頃の知識で、なんとなく知っていた。今気がついたけれど、ぼくは宇宙計画に戦争、モータースポーツと、人が突然死んでしまう世界に魅かれてしまったのかもしれない。人が死ぬのが好きなんじゃない。緊張感の魅力だ。できれば戦争にも行ってみたかったけど、根性がなくて行けなかった。死なないと約束してくれるなら行きたかったけど、できればロバート・キャパが最期の取材に行く前に語ったらしい「これが最後のおもしろい戦争だ」の、インドシナ戦争以前に行ってみたい。行かないけど。

その後、レースとかかわる中で、友人や知り合いが亡くなっていって、そのつどへいきな顔をしつつも、ショックがあった。村に住むようになったいまは、友人や知り合いが(こちらは年相応に)亡くなっていく。人が死ぬのは、しょうがないとはいえ、まだ納得できていない。家族が乗り越えているのに、ぼくが勝手に人知れず思い悩んでいてもしょうがないのだけど、人が死ぬのはやっぱり苦手だ。

主人公が「犠牲を払っても宇宙へ行くのか」のような問いかけを上司から受けることがある。それに彼は「いまさらなにを」と答える。これまでに払われた犠牲のためにも、計画は続けなければいけない。そしてそれゆえ、やめる勇気はそうとうに大きい必要がある。

1930ファースト・マン

実際の顛末がわかっているから、主人公が死なないのもわかっていて、その点は安心して見ていられる。でも劇中の家族には顛末がわからない。宇宙へ飛び出す夫を持った家族の気持ちの揺れが、なんともいえない重みを持っている。

というような人の生き死にについてはともかく、コンピュータの処理能力も今よりはるかに低いあの時代に、人類はよくも月へ行ったものだと思う。アポロ11号が月へ行った1967年はホンダモンキーにまだリヤショックがついていなかったし、CB750Fourもまだ世に出ていなくて、ホンダの第一期グランプリレース挑戦(2輪)の最終期にあたる。

根拠なしに言えば、あの時代は、犠牲を省みずに目標にまい進して努力すれば、夢がかなったのかもしれない。今の時代に人類が月に行かないのは、人類がそれだけ大人になってきたからじゃないか。小学生の頃、ぼくは人類が月に行くのをわくわくしながら見守っていた。今は大人になっちゃって、巨額の費用と犠牲を払ってまで宇宙開発が必要なのかと、ちょっと思っている。もちろん知らない宇宙をもっと知りたいという欲求も、よくわかる。人類と月の関係は、今後どうなっていくのだろう。

さてさて、そんなわけで映画を見に小名浜まで行ってきたのだけど、上映は午後9時からの1回きり。用事を済ませて晩飯を済ませてから映画館に向かうことになった。

で、どこでなにを食べようかなと3分悩んで決めたのが、小名浜の回らないお寿司屋さん。貧乏なので、ネタ的にもお値段的においしいそうなのがおじゃました決め手だった。回らないお寿司屋さんというよりはさばけた感じで、お店はきれい。あとで知ったのだけど、このお店「金時」は津波の直撃を受けたそうだ。

1903金時のにぎり

お寿司とちらし寿司(海鮮丼)と、それにメヒカリの唐揚げと、あともうひとつ握ってもらった。

1903金時の海鮮丼

お寿司も海鮮丼もお上品でおいしかったけど、びっくりしたのがメヒカリの唐揚げだった。メヒカリはいわき市の魚として大売り出し中なので、ぼくも何度となくいただいているけど、今までのメヒカリはなんだったんだろうというくらいにうまい。

1903金時のメヒカリ

また今度、メヒカリを食べに来よう。