うさぎが不調なので、病院に行ってきました、というご報告。重篤ではないと思うんだけど、なんせうさぎなので、さっぱりわからない。
うさぎって、健康状態を見るのはけっこうむずかしい動物です。なんせ食物連鎖の最下層にいるので、すぐに食われるのが彼らの使命。病気になって生きてるのもやっとです、みたいなそぶりを見せたら、上空で見張っていた鷹や鷲が急降下してきて持ち去られてしまう。なので死にそうになっても、虚勢を張って元気なふりをするということです。
うさぎのこういう虚勢は、飼い主にとっても問題だけど、お医者さんにとっても問題です。たいていの動物病院は犬と猫がお客さんの大半を占めていて、うさぎはあんまりメジャーではない。うさぎをあんまり見たことがないお医者さんがうさぎを診断すると、まぁ様子を見てみましょう、なんていわれて、様子を見ているうちに死んでしまう、ということがままあるらしい。30年くらい前にうさぎをひとつ亡くしたことがあるけど、あれも誤診ゆえだったかもしれない。当時はそんな知識がなかったから、そこらの動物病院へ連れていったから。
で、うちではうさぎ仲間に評判を聞いて、片道1時間20分かけて郡山市の病院まで出かけることにしてます。でも遠いし、本人も自動車に乗るのが好きじゃないというので、めったには連れていかない。
今回は、メシを食わない、という症状です。一般論として、うさぎは2日間飯を食わずおしっこをしなかったら、もう先がないといわれています。栄養が足りなくなるとかという問題よりも、ものを食う気もなくなったうさぎは、他に重大なトラブルを抱えている、ということのような気がします。獣医さんじゃないからわかんないけど。
でもね、こいつはときどき、ハンストをする。最初のハンストは、うちに来たその日から1週間。新しい家に来たときは、自分のケージでじっくり環境に慣らしなさいなんだけど、つい外に出しちゃったら、そのままどこかに隠れて発見もできない。壁の後ろで死んでるのかと思ったら、1週間後にのそのそ出てきた。その間、おしっこをした形跡もない(発見できないだけで、どこかでしてるんだろうけど)。音も立てなかった。1週間後に出てきたら、それからはぼくんちを我が家のように歩き回り、メシを食い、水を飲み、好き勝手に遊び回るようになった。めでたしめでたし。
しかしその後も、時々ハンストをする。1週間なんて重症ではないけど、おもしろくないことがあると(人間が所要で忙しくてかまってもらえない、クルマでどこかに連れていかれた、数日間ケージに閉じこめられた、あたりかしら。それくらい許せよ、というレベルではないかと、飼い主は思う)メシを食わず、柱とかじゅうたんとか畳とか、食わないでくれよというものをがしがしかじってぼろぼろにする。かたわらの薪ストーブ用の薪ならいくらかじってくれてもいいのだけれど、それは食べない。いやがらせとしか思えない。
柱や畳がペットフードの代わりになるのかどうかは知らんが、とりあえずひとしきりいやがらせをしたうさぎは、やがて(少しは)平和ないつものうさぎに戻る。ハンストするうさぎなんかいるのかいなと思うけれど、前例があるから気をつけながらもそういうもんだと思うことにしている。
しかし今回は、1週間くらい食わない。こりゃさすがに、どこかおかしいんではないかと心配になる。獣医じゃないけど、そこそこつきあいは長いので、目の輝きとか、いたずらの度合いとか、ひざの上で歯をかちかちいわせていたり(歯をかちかちはおおむねうれしいときのしぐさ)とか、これで死んだら詐欺うさぎだよなとは思いつつ、まぁしょうがない。
お医者さんに行ったのは、鼠径ヘルニアと去勢の手術をしてから、ざっと半年ぶり。待合室にはつらそうな顔をしたパグとかがいて、ここで放したらどうなるかなと興味はあったけど、食われてもいやだし、相手に危害を加えてもめんどくさいのでぐわしと抱っこしたまま診察室へ。
体重を計られて、この先生はまず口の中を見る。うさぎの歯はほうっておいたらじゃんじゃん伸びるので、そういうのをチェックしてるんだろうと思うんだけど、今回は畳だけじゃなく薪も段ボールもかじかじしていたので、歯は問題ないというご診断だった。
食べないなら、この時期抜け毛が腸につまってるんでしょうねぇといいながらおなかをさすられ、試しに先生がお尻のあたりをつまんでみると、毛がごそっと抜けてきた。この時期はせっせとブラッシングしてあげてねといわれたけど、いやね、してるのよ。で、もうたいがい抜けなくなったの。なんで先生がやると、そんなにごっそり抜けるんだよ。この人たち、ブラッシングさぼってるんだぜと先生にちくってるみたい。いやなやつ。
それでこの日は、腸の動きを活発にするべく、注射を2本打って薬をもらって帰ることになった。目をふさいで、お尻をかかえるようにしてあげると、うさぎは安心しておとなしくなるってのは、このお医者さんに教えてもらった。だけども、まだ飼い主は獣医さんほどうさぎを懐柔できていない。獣医さん(と動物介護士さん)、さすがだ。
1本目の注射は、なんだかわかんないうちに打たれてしまったらしい。2本目はちょっとびくっとしていた。びっくりして、めんたまが飛び出そうになっていた。
薬は朝晩1回。シロップみたいなのを、1回2ccずつ飲ませる。飲めといっても飲まないから、針のない注射器に2cc入れて、口にねじ込んで強制的に液体を送り込むと、運がよければぺちゃぺちゃ飲み込んでくれる。運が悪いと跳ね飛んでいく。もうちょいと、上手にうさぎをがんじがらめにできる技を身につけると、この作業も楽になるにちがいない。
ということで、現在のところ、まだ特に改善の兆候が見られない。改善の方向に向かったら報告しようと思ってたんだけど、そのまま忘れちゃいそうだから、書いておきます。
なんだか、よくわかんない、うちのうさぎです。彼は自分のことを、この家の王様だと思っている。
追伸:これを書いてから2日後、やつは突然回復したらしく、ご飯をバクバク食って、大きなうんこをぼこぼこするようになりました。回復してみると、からだのバネ感とかいやいやするときの反発とか目の輝きとか、やっぱり元気度がちがう気はする。ともあれ、めでたし。