暑さ・台風・大雨なんかには負けないぞ。でもとりあえず大岩には登ってみたい。

同い年のトプコール

東京光学
REオートトプコール135mmF3.5

これ、東京光学のレンズで、REオートトプコール135mmF3.5です。REって、いまどきじゃ、すっかりお返事のReplyの意味になっちゃったけど、トプコンのカメラのブランドであります。

2202トプコール135mmF3.5

いつ買ったのかも忘れてしまったけど、調べてみたらちょうど1年前にオークションで買ったものだった。なんでこれがほしかったのかは覚えていない。東京光学というブランドに興味があったのと、最も美しい(鏡銅の)レンズ、みたいな評価をどこかで見たからだったと思う。あとで知ったのだけど、このレンズは、ぼくの生まれ年に生産されたものだった。自分の生まれ年のライカを買うというおしゃれがはやりかけたこともあったみたいだけど、ライカはお高いので、そういうおしゃれにはつきあえずに指をくわえていた。今回、たまたま生まれ年のレンズを手に入れてしまった。そういう買い物がいいのかどうかかは、わからない。

2202トプコールで撮った朝陽

鏡銅はアルミ合金製。内蔵のレンズフードは2段階に延びるギミックがおもしろい。美しいけど撮影に影響がない曇りがあるというふれこみでちょっと安く出ていたものに手を出したのだと思う。

しかして届いてみたら、なかなかしっかりした曇りで、撮影に影響が出ないわけがない。逆光で撮った日には、フレアで真っ白な写真が撮れてしまう。しかたないので、ばらして曇りをとるべくレンズを掃除してみることにした。便利なことに、いまどきは検索すればたいていのレンズのばらし方が出てくる。

ばらすにはたいへん細かいねじ回しが必要で、これを別に手に入れなければいけなくなって、ぐずぐずしている間にあっという間に半年がたったりしたのだけど、ともあれ無事にばらして、なんとかレンズの曇りを(いいかげんながら)とることができた。

ところがもともと、このレンズの光学性能に興味があって手に入れたものではなくて、外観を眺めていればよいという目的だったので、まぁそういう意味では曇っていて写りがぼんやりしていても困ることはないのだが、曇りはとった。そうして最後に組み上げる段階で、ふとお手本にした分解情報サイトを見ると、1枚、レンズの裏表をまちがえて組んでしまったら、妙なソフトフォーカスレンズになってしまった、とある。これがおもしろいと思えてしまって、つい裏表を逆にして組んでしまった。これで本来の性能でない、オートトプコールのできあがりだ。

2202トプコールで撮った電線

トプコンの一眼レフカメラは、エキザクタマウントってのを使っている。ドイツのカメラメーカーが作ったマウントだけど、口径38mm、フランジバック44.7mmとある。一眼レフでない、ライカの旧型ねじ込みマウントでも口径39mm(フランジバック28.8mm)あるし、キヤノンEOSの口径は54mm(フランジバック44mm)、最新のニコンZマウントは55mm(フランジバック16mm)もある。いかにエキザクタマウントの口径が小さいかということなんだけど、当時は口径が小さいことでの拡張性のなさなんて問われてなかっただろうし、これを読んでいる(無理やり読まされている)ほとんどの方も、そんなものに意味があるとは思わないだろう。90年前にはそれがデメリットだと思う人はいなかったんだろうけど、今、ニコンやキヤノンは大きな口径のマウントを声高らかに自慢している。

2202トプコールで撮ったつぼみ

ということで、エクザクタマウントをマウントアダプターでライカMマウント口径40mm(フランジバック27.8mm)に変換して、これをさらにソニーEマウント口径46.1mm(フランジバック18mm)に変換して、ぼくのソニーα7にくっつけた。ライカMからソニーEへのマウントアダプターにはヘリコイドもついているから、近接撮影の苦手な昔のレンズでも、けっこう近くまで寄ることができる。

2202トプコールで撮った道

と、そういう話はともかく、ここにあるのは、レンズの設計図通りじゃなくて、1枚のレンズが裏表になって、にじむし、端っこはぼけちゃうし、本来のレンズ性能はぜんぜん発揮されていない。逆光で撮ると、太陽の光で虹色のお化けみたいなのが現れて、すごいことになる。なにがどんなふうに写るのかわからないというのは、なかなか楽しい。

2202トプコールで撮った川

この写り方、おもしろい、とは思ったんだけど、どこにピントが合ってるのかわからなくて写真撮るのもたいへんだということに気がついた。いや、最初っからわかってたんだけどね。ピントが合わないのがいけないというより、最初はおもしろいけど、撮った写真の使い道がわかんないから、飽きが早い。

ということで、これを書いたら、もう一回ばらして、元通り、設計図通りにしてやろうと思う。ということで、東京光学の設計の皆さんにおわびをこめて、ここに記録しておきます。写真、クリックして大きくしてみると、いろいろ破綻しているのがわかると思いますので、へんてこな写りをお楽しみください。

2202トプコールで撮った雪原2