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国際免許

2016国際免許C

福島に来て、初めて経験したことがあった。国際免許をもらうのに、アルファベットの筆記体でサインをしろといわれることだ。

2016国際免許2

ここんところ、すっかり世界選手権には出かけていなくて、パスポートは切れているわ、いろんな手続きをやり直した。まぁ国際免許は有効期間が1年しかないので、1年に1回しか外国に行かないとしても、毎回交付してもらう必要がある。

パスポートと免許証を持って出かけていくと、地域の免許センターとか警察で発行してくれることになっている。福島に来てから、国際免許は3回とった。

福島で最初に国際免許をもらったとき、それは起こった。記載されている事項を確認させられて、いざ渡してくれる前に、サインをしろと言われる。これまで係員の目の前でサインをしたことなんかなかったから、ちょとびっくり。しかもアルファベットの筆記体でサインしろと言うではないか。ぽかんとしていたら、筆記体の書き方の見本を持ってきて、これで練習してサインしろと言う。ぼくの場合、サインといえばパスポートにもクレジットカードにも使っているサインしかありえない。

でもあの頃は素直だったので、しばらくサインをしていたんだけど、どうしても書けない。そういえば、高校卒業以来、筆記体で自分の名前なんか書いたことがない。しばらく練習していたけどどうしても書けないので、ちょっと聞いてみた。

「筆記体のサイン、ぼくにはとてもむずかしい。もし外国へ行ってこのサインができず、おまえは本当にこの免許の持ち主かと疑われたとき、あんたは責任を取ってくれるのか、説明しに来てくれるのか」

そしたら困っちゃって、しばらく問答した末に、めんどくさそうに、じゃ、サインはあとで筆記体で書いてください、と念を押して渡してくれた。もちろんぼくは自分の書き慣れたサインをした。

その時は深く考えないで、田舎はとんちんかんなことを言うもんだなぁと思っていた。2度目のときは、なぜかなにも言われずに国際免許を交付された。なので考え方を改めたのかと思って、そんなことをすっかり忘れて、今回になった。

そしたらまたおんなじことを言われたわけだ。机の下から、筆記体のお手本を出してこようとしたのを遮って、過去2回の経緯をお話しして、筆記体でのサインはできない旨お話しする。そしたら窓口の女性は、上司と話をしてくると裏に引っ込んだ。

出てきた上司は笑顔の温厚そうなお巡りさんみたいな人で、別室でお話をする。国際免許にしたサインと同じサインを求められることはまずないと思うんですけどね、と温厚上司は言うのだが、求められないという保証もできないわけだ。逆に、向こうのよりどころとしては、ジュネーブ条約でそう規定されているということらしい。

しばしお話したあげく、きちんとした解答にはなってないけど、そのままお持ち帰りください、と、サインをしていない国際免許を渡されることになった。こちらの言い分をすべて認めたわけではないが、この免許を使うのは日本の法律下ではないし、困るのはこいつだから、こいつの好きにさせておくか、というような判断だったんじゃないかと思う。お世話さまでした。

2016国際免許1公安委員長さんのサインが、ガタピシたどたどしい。ロボットだってもう少し流ちょうなサインをしますね

ぼくもそう思ってたけど、おそらく向こうも、つまんないところにこだわってやがるなぁと思っていたにちがいない。でも今回は、もうちょっと調べてみることにした。ジュネーブ条約ってやつを。

附属書十に、それはあった。「記入事項は、ラテン文字又はいわゆる英国風の筆記体文字で記載する」ってやつだ。

1608ジュネーブ条約

これ、国際運転免許証の様式という項目の条文で、要はジュネーブ条約が条約の加盟国に「この免許証はいろんな国で使うもんだから、みんながわかる文字を使って書類を作成するのだよ」と教えてくれているもので、免許証を発給される側のサインの書式に言及したもんじゃないんじゃないか(手に入るジュネーブ条約は、英文の部分がほとんど読めなかった)。

1608ジュネーブ条約英文

法律文書ってのはむずかしいから、ぼくの解釈がまちがってるのかもしれないけど、全世界的(ジュネーブ条約は全世界に通じるものではなくて、なんとドイツがジュネーブ条約には加盟していないらしい)に使うSignatureの書き方をその場で決めさせられるなんて、あり得ない話じゃなかろうか。

サインをするという文化がない日本にジュネーブ条約がやってきて、サインとはなんじゃいな? 困ったな、と悩んだ公安委員会が「サインとはどうやらアルファベットの筆記体で書くものらしいぞ」と下々のものに教えてくださり、その習慣が今に至ってもそのまんま残っているのではないかと思うのだけど、さて。

ジュネーブ条約の条文を持って国際免許を取りに行かなきゃいけないか、めんどくさいから読めないような筆記体で書いてみるか、それとも聞こえなかったふりをして自分のサインをしてしまうか、今から次に国際免許を取る時のことを考えて悩みが多い。

公安委員会が、ジュネーブ条約の条文をもう一度きちんと読んでくれれば済むような気がするんだけどね。

どこかよその国で、よその国の受付の方を相手に日本の証明書を取ろうとしたとして、ちゃんとした印鑑を持ってるっちゅうのに、そのへんの三文判の中から選んで捺印しろ、それが日本の法律だ、と言われているみたいな小一時間なのでありました。

(この件、法律に詳しい人のご意見も聴きたいところ)

○この件について参考にさせていただいたブログなど
訪チャイ雑記:国際運転免許証のサイン
ホワイトボイス:意外に便利、国際運転免許証 15thハワイ 準備編
ニュージーランドから日本へ:サイン 名前 署名 Sign Signature