雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

モンペリ再開

2011モンペリの雑誌

 先週から、モンペリがお店を開けている。モンペリは、かわうちの湯の前のコンビニ。うちの村にはコンビニが2軒しかないから、モンペリの再開は大ニュースだ。ただ、本格的再開には、まだまだ前途多難なのだった。でも動き始めれば、必ず道は開けていくだろう。
 まずは、お店の片づけから始めているだという。在庫も、311以前にあるものばかり。ふと雑誌棚を見るとこんな感じ。いまどき、村の外の本屋さんには、どこの店にも地震の特集号が並んでいる。ここの雑誌は、地震のことをひとつも報じていない。そりゃそうだ。ここは311で時間が止まっているのだから。なのに、なんとなく新鮮。
 雑誌もテレビも地震一色。どうでもいいバラエティ番組を見ていても、がんばろう日本なんてしらじらしいキャンペーンをやっている。それに比べるとこの雑誌棚は、正真正銘の、いつもどおりの日本があった。

2011モンペリの棚

 あの日、お店の中はがちゃがちゃになった。そこまでは、この際なんということはない。ガラスがひとつも割れなかったのが不幸中の幸いだった。危険度も高いし、ガラスは高いから。
 余震が続くから、ビン類などちゃんと並べなおさないで、床に並べておいてお店を片づけている頃、富岡町を中心とした浜の町から避難してきた人が川内村にやってきた。
 このあたりには、かわうちの湯をはじめ、小学校とかコミュニティセンターとか、大規模の避難所が多い。炊き出しの食事では間に合わない。着の身着のまま町を出てこなければいけなかったみんなは、モンペリに殺到した。ものはあっという間になくなった。トイレに立つ間もなくレジを打ち続けていたという。ふと気がつけば、自分の身も危なくなっていた。小学生の子どもがいるから、あちこちを転々としながら、最終的には埼玉県に逃げた。子どもたちは向こうの学校に通い始めて、一段落したのを見計らって、村に帰ってお店を開けてみたという。
 仕入れが来てくれるかどうかはわからない。30km圏内は汚染された地域として、配達が来ない可能性だってある。とりあえず、お店にはすぐに食べられるものはなにもなかった。麺つゆとかカレールーとかはあるけど、こういうのは避難してきた人には縁がないものばかりだ。
 ただ、村では郵便が復活していて、宅配便も復活し始めている。きっともう少しで、モンペリも完全復活するにちがいない。原発に時間を止められてしまったこの村は、地震や津波の被害はないから復旧の必要はほとんどないんだが、復興はいま、ようやく始まったばかりだ。
 ちなみに、この2枚の写真は、どちらも311から1ヶ月半以上たった4月25日に撮ったものです。念のため。