雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

復興地域振興券

1409復興地域振興券

6月から、川内村では復興地域振興券というのを配っている。旧緊急時避難準備区域の住民で、村に帰還をした人、新たに住みはじめた人が対象で、ひとりに10万円配布される。配布から3ヶ月経って、ようやくいただいてきた。1年の期限付きだけど、10万円のお小遣いもらいました。

10万円ももらえるのに、なんで3ヶ月ももらうのさぼってたかというと、条件に合わないような気がしてたからだ。当初村が提示していたのは完全帰村をした避難者と、定住する意思を示した移住者ということだった。定住する意思というのはよくわかんないけど、こっちは該当しないから、条件に合うか合わないかは前者の方。

完全帰村というのは、完全に避難をやめる、ということで、今避難をしているなら、避難先を引き払って、365日村での生活を再開するという意味以外にはない。でもぼくは、まだ郡山にアパートを借りている。というか、県に借りてもらっている。

2011年、いろいろな判断をして、早々に4月に村に帰ってきたけれど、村役場(郡山にあった仮設の)にいくと、避難住宅は借りないのか、なんでもよければすぐあるぞ、と窓口で言われて、その足で借り上げ住宅を借りることになった。当時、仮設住宅の建設は進んでいたけど、まだ総理大臣だった菅直人が「8月までに全員に避難住宅に入ってもらうように」と指示を出したからだと思うんだけど、県は仮設住宅では足りない分を借り上げ住宅として民間から借り上げて避難者に貸し出した。ぼくが借りたときには仮設住宅はいっぱいだったので、その借り上げ住宅をお借りすることになった。契約は村の仮役場でやって、不動産屋さんに書類を持っていったら、それで契約が成立した。

当初は、郡山に飲みにでも行ったときに便利に使えるかなと思ったけど、そういう使い方をしたのは3年間で3回くらいしかない。郡山という都会が新鮮な人たちもいるだろうけど、ずっと東京暮らしのぼくは、いまさら郡山あたりに住むのもたいしておもしろくないので、借りているだけの状態。前に住民懇談会で「仮設住宅や借り上げ住宅は適切に使っていただいて……」と話し始めて、別の課長に話をさえぎられるというシーンがあった。川内村の人たちは仮設住宅を別荘代わりにしてまともに住んでない、というよそさまからの苦情もあったんだろうと思う。でもそれは村の課長に諭される話じゃないので、そんなことを言い出したらまた住民から火の粉が飛んでくることになるにちがいない。お役所のときだから、返すべきときには、しかるべき文書が配付されたそれに準じて返すことになるはずで、今はまだその時期じゃないってことになっている。

あるいは、こう考える人もいる。原発はまだまだ安定していない。次に事故があった時に逃げる場所を確保しておくために、借り上げ住宅、仮設住宅は借り続けたいと。それもまぁ一理あるかも知れない。でも次になにかあったときは、郡山あたりじゃ逃げたりないんじゃないかなぁ。

じゃなんでおまえは借り上げ住宅を借り続けているんだと言われると、すいません、なんとなく荷物を片づけてなくて返しそびれているのだ。で、これを借り続けているから、復興券の配付の権利はないんじゃないかと思っていたのですね。

でも、もらえるんだそうだ。誰が査定するんだか、生活の拠点が村に戻っている人には、配布されるんだと。ということで、このシステムが始まって3ヶ月後、無事にいただいて参りました。10万円。

1409ますさんとひょっとこ

振興券だから、村のお店でしか使えない(なぜか、村に1軒あるコンビニのファミリーマートでは使えないらしい。たぶん、川内村商工会に所属してないからでしょうね)、金券などには使えないなどの制約はあるけど、まぁそれなりにお金として使える。村でしか使えないのだから、戻ってない人にも配れば、それをきっかけに戻ってくるんじゃないかと思ってみたりしたけど、そんなことしたら、避難者は在住者に振興券を売りつけておしまい、ということになるんでしょうね。

ともあれしかし、この振興券は、震災の後に村に移住してきた人たちにとって、目に見えるカタチでは初めてといっていいアメダマだ。人口を増やさなければとは誰でも言うのだけど、移住者にはほぼなんの恩恵もない。先代の移住者たちが残していった売り物件はそこそこいいお値段がついているし、それ以外の空き家はたいていが住めないような廃虚で、そんなところに住もうという人は貴重なんだけど、今の政策は逃げた人をもとの居住地に返そういう動き以外は、とんと遅れている。

というような愚痴はともかく、当面の問題は、有効期限1年間の間に、10万円分の振興券を使いきれるか、ということだ。まぁそれなりにお店はあるから買い物はできるんだけど、高価なものを売ってるところはないしね、いよいよになったら、村の文房具屋さんにカメラとかコンピュータでも注文してみるかしらね。

2枚目の写真は、今回のテーマとはなんの関係もなく、勝手に振興しているある日の宵の口。