雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

α7というカメラ

1409杉の子

ソニーα7を使いはじめて3ヶ月ちょっとになります。どんなカメラなのか、感想が聞きたいというお声がごくまれになるので、ご要望に応じて書いてみます。

6月に買って、トライアルの全日本競技や地域のお祭りやらうさぎなど、いろんな撮影をしてみました。美女はまだ撮ったことがないような気がする。

ついでにマウントアダプター遊びもやってます。たいへんおたくな遊びだけど、これも楽しい。

さてこのカメラ、今まで使っていたニコンのD200(APS-Cサイズ)とかD800(35mmフルサイズ)に比べると、とにかく小さくて軽い。こんなのはカタログを見ればわかりますね。実際に使ってみると、この軽さと小ささは絶大です。若いときにはキヤノンニューF1にモータードライブつけたのを2台持って、500mmだのの望遠レンズくっつけて歩き回っていたものだけど、いまじゃとてもじゃないけどそんなことはできません。軽いカメラは、ご老体の必然です。

このカメラ、なにがどう写るのかはともかくとして、まずは磨くのが楽しいカメラです。といっても、ぼくの場合、ぴかぴかに磨き倒すなんて、カメラを持ってから45年間にもなるけど、やったことがありません。でもこの10年くらいは、カメラは泥だらけにならないと掃除しないもの、になっちゃった。日常的に、服の裾でこすってみたりティッシュで拭いたり、きれいになるとも思えない掃除方法だけど、こんなふうにお掃除して楽しいカメラは、ぼくの場合、キヤノンF1、キヤノンニューF1以来です。

キヤノンはその後、タンクと呼ばれるT90を経てEOSになっていくんだけど、その頃からカメラを掃除するのが楽しくなくなった。曲線が多用されたデザインの問題かもしれないんだけど、とにかく、愛着というものがなくなっちゃった。ただ、写真はしっかり写った。

いま、ソニーの純正レンズは2本しか持ってません。APS-C用の16mmF2.8というまるっきり評価が低いオマケみたいなレンズと、70-200mmF4のズームレンズの2本です。共通するのは、どちらも強烈なコントラストで写るということです。ちょっと鼻につくこともあるので、設定でコントラストを減らしてみたこともあるけど、コントラストはないよりあった方が美しく見えるのは確かです。

今持っている2本はソニー製のレンズで、このカメラの純正レンズにはカール・ツァイス製もあるんだけど、そっちの写りはどうなのか、おいそれと買えるお値段ではないので、まだ未検証です。ただ、手持ちのツァイスレンズをマウントアダプター経由でつけてみて思うのは、このコントラストの高さは、ツァイスレンズのコントラストに通じるものがあるのかもしれません。

このカメラについて検索すると、マウントがぐにゃぐにゃするという指摘があります。大きなレンズをつけて、ボディとレンズを別々の方向に引っ張ると、マウントがたわむような気がするというような指摘です。これ、事実です。マウントのリングは金属製だけど、爪が樹脂製なのも関係しているのかもしれません。最近では爪が樹脂製のカメラは少なくないから、まぁそれがイコールダメということはないんだけど、ちょっと気になる点ではあります。

でもそんなことより、レンズを交換するたびに、センサーが汚れるんじゃないかという不安のほうがぼくには大きい。レンズを外すと、べろんと受光センサーが見えてしまう。そこでよだれたらしたりしたら、一発だ。レンズ外すのがおっかないから、レンズ交換しなくてもいいように、もう1台ボディがほしくなったくらいです。

光学ファインダーがなくて、液晶ファインダーだけで写真を撮るのがこの手のカメラのお約束だけど、当初は、それがとてもいやで、カメラ店で見ても、光学ファインダーじゃないというだけでさわる気がしなかった。でもフィルムからデジタルに移行したみたいに、これも時代だと思って使ってみると、液晶ファインダーも、だいたい問題なく使える。ピントを見るときに自由に拡大したり、APS-C画角のレンズをつけると自動的にその部分だけが画面いっぱいに表示されたり、便利な点も多い。問題なのは、あらゆる動作が電池を使うから、ものすごい勢いで電池を消耗するということだ。Wi-Fi経由でインターネットに接続する機能とかもあるんだけど、電池が長持ちするほうがうれしいから、そういうのはオフにして使っている。

1409杉の子

ファインダーは明るくして使うと電池を食うので、暗くしている。すると見にくい。連続撮影では画像が止まっちゃうし、ろくなもんじゃない。だけど、大昔のライカはピント合わせとフレーミングでのぞく窓がちがったし、潜望鏡をのぞくみたいな使いにくいファインダーだった。それでも名作品は生まれるのだから、このファインダーも、あるいはこれでいいのかもしれないと思ってます。

液晶ファインダーで最大の問題となるのは、ただし秒間5コマとかの連続撮影をすると、ファインダーの画像がついてこれずに止まっちゃうことです。連続撮影をしているんだから、コンマ何秒か画像が遅れて表示されると、なにがなんだかわかんなくなる。最初はびっくりして撮れなかった。慣れれば少し撮れるようになるけど、スポーツ写真を撮るのにチューニングされたニコンやキヤノンの一眼レフに比べると、ノミで刺し身を切っている気になる(切ったことないけど)。

オートフォーカスは、まだまだ慣れない。シャッターを押しただけだと、手前のものにピントを合わせたがるので苦労する。使い方の問題もあるかもしれない。オートフォーカスはニコンでもずいぶん苦労しました。ただソニーのオートフォーカスは0点もあれば100点もあります。ニコンで悩んでいるときは全部が70点で、要するに全部ピンボケだったこともあります。こういう機能については、なんの苦労もなく使えるキヤノンに一日の長があると思います。静かで速いのは、評判通り。でも迷いはじめると、手でピントを合わせたほうが早いこともある。

というわけで、ニコンやキヤノンの使いやすさは圧倒的で、まだまだソニーα7の勝ち目はほとんどありません。だけど少なくともぼくの場合、キヤノンやニコンには触っていて楽しい感覚を感じないので、この一点でソニーα7のほうがいい写真が撮れると思ってしまいます。

ニコン、キヤノンは仕事道具で、ソニーα7は仕事であってもうきうきできる。ほんとうの道具というのは、こういうもんじゃないといけないのですけどね。ぼくの場合、キヤノンもニコンも、どうも使っているうちに楽しくなくなっちゃって、写る写真もとほほなものになっちゃっていた。仕事は楽しく、はどんな場合でも原則なのだと思います。

趣味としてのこのカメラは、マウントアダプター遊びのベースマシンとして存在価値があります。こういう遊びは、とてもとてもお仕事には使えないと思っていたけど、結局お仕事でも使ってます。マウントアダプター遊びをすると、eBayとかで中国製の怪しいアダプターとか、諸外国に眠っている昔のレンズなどがほしくなってきて、どんどん楽しくなってしまう。

さて、ソニーにはソニー・タイマーというしかけがあるらしい。保証期間がすぎるとぱったりこわれるという恐ろしい機能です。それについてはまだ1年経ってないからわからない。ぼくもおっかないから、お値段は割高だったけどソニーの直販で、3年保証をつけておいた。ほんとうに1年でこわれるのかどうなのかは、もう少し使わないとわかんない。ただニコンやキヤノンのような堅牢な作りでないのは確かのようです。

最近のニュースを見ると、ソニータイマー以前に、ソニーという会社の経営状態が健全でいられるのか、そっちのほうが気になっちゃったりしている今日この頃ですけどね。アベノミクス、ぜんぜん頼りにならないけど、まぁがんばってください。

ちなみに写真は、郡山市のキッチン杉の子。かわいいスペイン料理屋さん。レンズはフォクトレンダースナップショットスコパー25mmF4

●キッチン杉の子
 郡山市桑野3丁目11-16 岡部ビル1F TEL・FAX/024-925-2886
 営業時間/11時30分〜14時(ラストオーダー)・17時30分〜22時(ラストオーダー)
 定休日/火曜日・駐車場/有り