雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

ダブルハピネスかわうち

川内村には、2016年にできた商業施設がある。そこに、この5月から汁なし坦坦麺が食べられる食堂が開店した。

2007ダブルハピネスお店

川内村ってところは、東西南北にけっこう広くて役場やこの商業施設はわりと村の真ん中にある。うちは北西の端っこにある。10年前まで、村のライフラインは東の海側の町にあったけど、原発事故で様子は変わっている(少しずつ、海側も復活しつつあるけど、それでも10年前と比べるとまだまだだ)。うちのあたりは、もともとライフラインを西側の町に頼っていたから、その点、事故前と事故後とに変化がない地域だった。そして、クルマで10分かかる村の中心部へは、用がなければでかけないという、非国民ならぬ非村民地域(地域丸ごと、おまえといっしょにするなという声が聞こえてくるけど)である。

というのが承前です。いや、もう少し承前が続くかもしれない。

ファミリーマートがメインの商業施設には、薬屋さんと洗濯屋さんとお寿司屋さんが入って始まった。洗濯屋さんはお店で洗うわけではないので、時間がかかる。急ぎなら、隣町まで走ったほうがいい。薬屋さんは、薬剤師資格を持っている人が村を離れちゃって、今は閉店している。お寿司屋さんは、村とは関係ないところでなにかがあったらしくて、出ていっちゃった。村には老舗のお寿司屋さんがあって、地元勢はやっぱしそっちのほうがおいしいという声が多かったけど、この商業施設はばっちり塩素消毒した安全な水を使っているから、そのハンディも大きかった気がする(じゃ、村の他の店はどんな水を使ってるんだという質問にはノーコメント)。お寿司屋さんが追い出されたあと、ラーメン屋さんが入った。ご祝儀に一度行ったけど、二度と行かなかった。絶望的にまずいわけではなかったけど、そこまで食うに困っていない。よそから来た人であそこで食べてきました、という人がいると、なんだか申し訳ない気になったものだ。そういう店でした。

そのラーメン屋さんがいなくなってからしばし、3軒目の正直が汁なし坦坦麺のお店「ダブルハピネスかわうち」だ。主は、1年ほど前に村に移住した方で、避難していなくなってしまった移住者の家を買い受けてお住まいだ。実は、先代のお寿司屋さんとラーメン屋さんは県外の人に紹介してきた人たちだったから、村人がお店を出したのはこれが初めてということになる。

森崎さんちのホームパーティには誘われてお邪魔したことがあるけど、魅力的な料理を堪能させていただいた。でもご本人は料理人ではなくて、ちゃんとした正業を持っておられる。以前は横浜にお住まいで、ダブルハピネスは横浜のお店らしい。森崎さんとは仲良しで、そのご縁で屋号を借り受けたのだそうだ。

2007ダブルハピネス坦坦麺

汁なし坦坦麺はおいしかった。でもこちらは坦坦麺のプロではないから、汁なしよりふつうの汁ありの方がいいなぁとひそかに思っていたら、次にいったら汁ありの黒胡麻坦坦麺がメニューに加わっていた。

当初、できるものしか作らない(作れない?)と宣言していて、メニューも少数精鋭だったのだけど、いくと必ずメニューが増えている。あれが食べたいの、ごはんが食べたいのと、なんだかんだと、お客さんのご要望があるんだそうだ。

2007ダブルハピネス・ジンギスカン

行くたびにメニューが増えるんで、ご紹介するにも、もうちょっと待ってたほうがいいかな、なんて思ってこういうご紹介が遅くなりました。メニューがかたまったわけじゃなくて、メニューが常に進化する可能性を含んでいるのが、このお店の魅力なのかもしれないと開き直ったわけです。

2007ダブルハピネスメニュー

メニューそのものが増えるばっかりじゃなくて、同じものを頼んでも、次のときにはちょっと進化していたりする。常においしくなり続けている、なんてよいしょするみたいなことを書くと、よっぽど最初のラベルが低かったんじゃないかと思われるかもしれないけど、そんなことはないです。けっして。ただ、ここのお料理は写真写りがあんまりよろしくない。料理屋さんって、味ももちろんだけど見た目のいい料理をつくるんだからたいしたもんだなぁと、逆説的に思ったりもするけど、この点もこの先進化し続けるにちがいないです。

2007ダブルハピネスおわび

平飼いタマゴの卵かけごはんなんてのもあって、こんなメニューもおもしろい。と思えば、調理の手抜きをしちゃったのが発覚したのでおわびします、なんて貼り紙もしてある。次に行った時もまだ貼ってあるから、いつまでおわびするんですか、と聞いたら、永久に反省します、とおっしゃる。反省しない、あやまらない、訂正しない、どこかの(どこもかしこもかもしれないけど)政治家もみならってほしい。

2007ダブルハピネスタマゴかけごはん

とまぁ、そんなこんなで、川内村には、3軒のラーメン屋さんができました。かわうちの湯でもラーメンが食べられますから、4種類の味が楽しめることになりました。めったに村の中心地に行かない身としては、どのラーメン屋さんに行くのか、悩ましいことになりました(うち一軒は、平日のお昼しかやってないんだけど)。

ちなみに、これまでに書いた商業施設について。ひどいこと書いてるよね。ごめんなさい(主に村関係の皆様へ)。

●2012年12月30日「お買い物狂想曲」
●2014年4月1日「村は人也」
●2016年3月5日「商業施設がやってくる?」