大きな災害が相次いでいます。災害支援にトライアルは最適。しっかり腕を磨きましょう。

35mmF0.95と10mmF8

誰もとどけてくれないので(本当はお二人ほどステキなお誕生日プレゼントを贈ってくれた方がいたのだけど、二人しか、と書くとかえって悲しい気がする)、自分で誕生日プレゼントを買ってみた。買ったのは、レンズを2本です。

この2本、合わせて3万円にならないんだけど(今のところ)たいそうお気に入り。素晴らしいお誕生日プレゼントになった気がする。その2本とは、SG Image 35mm F0.95とRockstar 10mm F8ってやつだ。たぶん、ほとんどの人にとって、聞いたことないメーカーのレンズだと思う。はい、中国製です。

本当は、ソニーαの最新型、α9IIIを買おうかとも思ったんだ。これは仕事道具。でも100万円くらいする。ソニーには、貧乏人のために金利なし60回割賦で売ってくれるコースがあるのだけど、5年先にぼくはなにをやっているだろうと、そろそろ先が見えなくなってきている。なのでもう大きな買い物はしなくていいかと思って、それで急転直下、3万円のコースになったのだった。


この2本は、APS-C用(約24mmx16mm)というやつで、ぼくが持っている135サイズ(36mmx24mm、いわゆる35mmフルサイズ)のカメラにくっつけると、周辺の暗くかげってしまう。カメラにはAPS-Cにサイズを落として撮影するモードもある。その場合、焦点距離を1.5倍すると、写る画角の相当焦点距離が計算できる。10mmは15mm、35mmは52.5mmというとなる。

焦点距離的には超広角レンズと標準レンズということになるけど、10mmのほうはF8と絶望的に暗いレンズながらも、超薄っぺらなのが特徴。35mmのほうは、F0.95というビックリするくらいに明るいのがすごいところだ。

0.95という明るさのレンズは、1961年にキヤノンが作ったのが世界初。確か、人間の目より明るい、というキャッチフレーズで売り出したはず。当時のお値段が57,000円(当時の価値では70万円くらいだったらしい)、今中古市場ではだいたい30万円以上するみたいだ。当時、群雄割拠だった日本のカメラメーカーが競って明るいレンズを開発する中、ジョーカーみたいに「これ以上強いものはなかろうと」キヤノンが出してきたのがこのレンズだったらしいす。今では、ライカも明るさ0.95のレンズを作っているみたいだけど、そのお値段は200万円だそうですよ、奥様。

さてしかし、これらの0.95レンズは35mm用で、ぼくの手元にある0.95はAPS-C用だから、同じ土俵で比べちゃいけません。レンズの明るさは絶対的なものだけど、最近のカメラおたくがこだわりたがるボケ味という点では、写る画面の大小も影響するので、APS-Cの35mmF0.95は135サイズの50mmちょっと、F1.4くらいに相当するみたい。50mmF1.4といえば、一眼レフカメラがあちこちから売られていたときの高級標準レンズのスペックだった。いま、そのスペックをAPS-Cで再現しようとしているのが、この手のスペック、ということかもしれない。1.4のレンズはぼくも持っているけど、どれも大昔のレンズを数千円で買ってきたか、誰かがくれたものばっかりです。

SG Image 35mm F0.95


0.95の話が長くなってるけど、もうちょっとごめん。今回、なぜこのレンズを買ったかというと、0.95という明るさを一度持ってみたかったのと、もうひとつ大きな理由があった。ブログを漁っていたら、このレンズ、なんとかフルサイズの画角をカバーしてるっぽいのだ。賞味期限は半年だけど、1年くらいだったら安全性にも問題なくおいしく食べられるよ、みたいなもんで、性能の保障はAPS-Cサイズまでだけど、いろいろ目をつぶってくれるなら135サイズでも使えちゃうかもよ、ということだ。

実はこの手の、APS-Cだけど135サイズでも使えちゃうかもしれない35mmF0.95はこのメーカーだけじゃなくて、いくつかあった。

最初に出会ったのはBrightin Starってとこのやつ。ところがレンズ構成図を見ると、7artisansもおんなじもののように見える。たぶんブランドがちがうだけで、同じ工場で作ってるんじゃないかな? しかしどちらも、3万円〜4万円する。

ここで紹介したのはamazonだけど、最近ちょっとはまっているのはaliexpressって通販サイトで、中国のサイトだから、すぐには届かないし、信頼性は日本の通販サイトとは比べられない。でも安い。それで検索してたら、SG Imageを見つけた。SGのそれはBrightin Starや7artisansとはちがって、また別のレンズ構成になってる。さぁどっちがいいか、ということになるんだけど、性能的にはどっちもたいして期待していないので、安い方を選んだ。それがSG Imageだった。

どんな写りをするのか、ほんとうに135サイズで(なんとか)使えるのか、これは買ってみなければわからない。買い物には、安心安全が求められるのは当然だけど、こういうスリルも悪くない。このお値段だしね。

ということでこの35mmF0.95を買おうとしたら、マクドナルドみたいに「ごいっしょにこれはいかがですか?」と出てきたのが10mmだった。検索始めたときには4万円覚悟だったのが、中国の通販サイトで買うことにしたら2万円を切ったので、だったらもうひとつ買ってもいいかと、本末転倒の考え方をしてしまって、10mmも買ってしまった、という顛末です。

先に届いたのは10mmだった。こちらはほぼ誕生日に届いた。APS-C用の対角魚眼というふれこみだけど、ほんとかな? ちなみに対角魚眼ってのは画面の対角線のこっちからこっちまでで、画角が180度になる、ということだ。135サイズにくっつけてそのまま撮ると、周辺が黒い。丸い筒の中から世界をのぞいたみたいに見える。なのでちょっと画面を切り取る設定をする(ソニーには全画素高解像ズームってのがあるので、これで画面を拡大する)。

APS-Cだと1.5倍なんだけど、1.3倍くらいすると、だいたいけられはなくなる。けられっての周辺が黒くなることね。1.3倍ということは、単純計算で13mm相当ということになる。こういう数字をそのまま信じてはいけないのが中国製のおもしろいところ。手持ちの中には、これまた中国製の10mm-18mmというズームレンズがある。中国製同士で比べてもしょうがないかもしれないけど、他にないのでこれで比べてみると、おおむね焦点距離と画角は合っているように思える。ただズームレンズは魚眼ではないから、おんなじ絵にはならない。このRockStarの10mmは、魚眼レンズというより、周辺が丸くなる歪曲収差を補正してない10mmってところかもしれない。

RockStar10mmはこんなに薄い

しかしこの10mm、とにかく薄いのが正義だ。ソニーのボディにはグリップがついているけど、そのグリップよりレンズの先端のほうが引っ込んでいる。ただ、注文するときには了解済みだったけど、こいつにはりっぱなレンズキャップが付属していた。これだけ薄いと、レンズにキャップシステムが内蔵されてるような、ボディキャップ兼用のレンズだったらもっとすばらしかったけど、それは承知済みだからしかたない。ボディキャップレンズはやっぱり1万円弱くらいでそこそこ存在するんだけど、なんだかそそられなかったんだよね。

RockStar10mmF8


このレンズ、久しぶりに持って歩きたいレンズになった。広角レンズはiPhoneにもついてるから、それでたいてい用が足りてしまうんだけど、このレンズは周辺がぐにゃりと歪む。それはiPhoneでは真似できない。

そしてさらに1週間後、35mmが届いた。いやぁ、待ってました。開封の儀とかどんと省略して、とにかく開ける。開けたらすぐボディにつけてみる。ほんとはもうちょっと慎重にやった方がいい。つけたが最後、二度とはずれない外れレンズとかが送られてくる可能性だって、なくはないからね。

さて件のレンズは、135フルサイズにつけてみたところ、全画面をもれなく包括しているとは言い難かった。ほんの少しだけど、明らかにけられる。だけど気にしなければ気にしないでいいレベル。絞るとはっきりけられが見えてくるけど、せっかく0.95なのでできるだけ開放方向で使いたいから、そうするとけられもぼやっとして、周辺光量の落ち込みと見分けがつかなくなる。

しかしこの35mmは、1.2倍して42mm相当にするより、そのまま35mmで撮った方がおもしろい。なんというか、周辺の光の落ち方も、端のほうのぼけぼけの具合も、なんだかいい感じ。端っこまでちゃんと写っていなければいけない写真を撮るときにはただのくそレンズになってしまうけど、使い道をまちがえなければおもしろい。それに、カメラにつけたときにいちいち1.2倍に設定するのは面倒。これが一番だ。

このレンズ、APS-Cの35mmだけど、フルサイズ換算52.5mmではなくて、52.5mm分の画角はそれなりにちゃんと写るけど、ついでにその周辺の35mm分の画角も写ってしまう、というおまけ付のレンズだと思うのが正しいのではないかと思った。こういう使い方ができるレンズはなかなかないから、これはおいしい。


ちなみにこれもやっぱり、けられが出なくなるまで拡大してみると、1.2倍でOKになった。計算すると、42mm相当になる。世の中には、APS-Cレンズはそこそこ出ているけど、そういうレンズをフルサイズで撮ったらどうなるかって検証は、意外に少ない。なんでかなぁ。需要が少ないのか、製品の正しい使い方以外では使うな、ネットに載せるな、というおふれでも回っているのかな?

残念なり、と思ったのは、35cmまでしか寄れないところ。35mmで35cmなら充分かもしれないけど、もうちょっとよれたらもっと楽しい。買ったのはソニー用のレンズだけど、もしライカMマウントを買っていたら、ヘリコイドアダプターを解してもっと寄れるんじゃないか、買い直すか、と思ったけど、ライカMマウントのラインナップはなかった。

ということで、ここでこのレンズをつけているのはソニーα7Cだけどこのボディはもともとここぞというときに超広角レンズを持ちだしたいときのための、3台目のボディとして持ち歩いてるものだ。その超広角レンズが最初の方で比較用に登場した10-18で、これも中国製だから、今回の2本を加えて、ついにこのボディ用のレンズは中国製ばかりずらりと並ぶことになった。

レンズ、左からLAOWA 10-18、カメラについてるのがSG Image 35mm F0.95、その上がRockStar 10mm、その右はSAMYANG 7.5mm M4/3用レンズをアダプター経由で使う


並べたくなって全部並べてみたけど、1本は韓国製だった。M4/3の対角魚眼レンズを135フルサイズにつけるとちょうど円周魚眼になるというお得なマジック。

この、AliExpressというサイト、中国からやって来るし、途中で通関という障壁もあるしで、届かなくてもしかたがないと、ある程度腹をくくっているんだけど(今まで届かなかったことはない。もともと遅い納期がさらに遅れて約束違反で払い戻しを受けたことはある)、今回は無事に届いたばかりではなく、想定外にいい買い物をしてしまった。貧乏人あるあるかもしれないけど、幸せはお値段の高い安いでは計れないのだと、あらためて思ったのでありました。

いまどきの日本製レンズは、性能は極限まで優秀になったけど、値段も極限以上に高くなった。一応写真を撮ってお金をいただいているぼくにとっても、カメラは兵器ではなくて楽しい絵を撮る道具なのだから、性能ばっかりが高いより、撮る気が盛り上がる道具の方がいいものが作れると信じているんだけど、メーカーの技術者はそうは考えないのかな? あるいは、そういう道具は、今の(日本の)カメラ業界を支えてくれているユーザーには受け入れられないのかもしれない。

とまぁ、世間はともかく、ぼく自身はたいへん幸せになったけど、ただし、このレンズがいつ活躍するのかというと、それはちょっと、よくわからない。