雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

再び引っ越の巻

川内第三小学校

つい最近引っ越してばかりだけど、導火線に火をつけておいたプロジェクトが急転直下ころころと進みはじめて、引っ越していかないわけにはいかなくなった。詳しくは落ち着いてから解説させていただきますが、とりあえず引っ越ししたぞという報告だけしておきたいと思います。

ネタのために引っ越してるわけでもないんですけどね。

今度の引っ越し先は、廃校になった小学校です。福島県。

廃校がほしいなぁと思いはじめたのはもう5年も10年も前だけど、話がつながっていよいよ自分が廃校に赴くことになるとは思わなかった。このへんの話は次回詳しく。

いよいよ活動が始まろうというときになってチェックしたら、学校は雨漏りがしていた。2年間放置しちゃったから(その2年間、ぼくらはせっせと学校利用についての提案をしていた)傷みも激しいわけだ。話は決まっているけど、具体的な貸借契約とかも結ばれていない(このへんの順序がひっくり返るのは、まぁ、田舎だからなんでしょう)。

それで、とりあえず空き家を探して、そこに荷物を入れて住みはじめることにした。学校を、ぼくらは「ひとの駅」と名づけた。福島県川内村ってところにあるので「ひとの駅川内」がフルネーム。駅だから、住むとなると宿直ってことになるわけで、となるとプライバシーは内。もともとぼくにプライバシーなんて(あんまり)ないけど、今後のことを考えると、駅(がっこう)とは別に住み家があってもいいのかなとは思ってもいた。

ツリーハウスとりゅうちゃん

このへんの段取りは、全部地元の遠藤さんがやってくれた。といっても、遠藤さんはいっぱいいる。この場合の遠藤さんは隆之さん。たいへん親切な人だが、それ以上に、たいへんなポテンシャルを持っている。隆之さんの他に、川内村村長さんも遠藤さん。川内村には、遠藤さんと秋元さんと井出さんが幅を利かせている。じゃ、ファーストネームで呼ぼうかと思ったら、ひとの駅の入り口にある鈴木商店の鈴木さんは孝幸さんだった。人の名前が覚えられないニシマキには、しばらくは苦行が続きそうです。

遠藤さんが借りてきてくれたのは、おばあさんが一人暮らしになったので村をでて常磐線沿いの町に引っ越したあとの空き家。写真を見せてもらったら、趣があって、ここにすみたいと思う人は少なくないんじゃないかと思われるようないい感じ。

ツリーハウス

両神の家は、例によって引っ越しするというのにぜんぜん片づいていない。富士宮で小説家になろうとしている前田くんを呼びつけて、ついでに東京からは弟(一応、ニシマキにも家族がいる)を呼びだし、さらに地元のKさんが仕事をさぼって手伝いに来てくれた。みなさんのおかげで、ニシマキは生かされています。

お昼に2トンのレンタカーを借りてきて、積み込みが完了したのは夕方5時だった。なかなかのウルトラC。実は、前回と同じく、今回も引っ越し屋さんに全部おまかせしようと思ったんだけど、荷造りを全部こっちがやって、トラックに来てもらうだけなのに前回と同じくらいの見積もりだった。高い。それでレンタカーを借りてきて、人力で作業することにした。忙しいさなかだから、綱渡りになっちゃった。いつもこんな調子だけど。

引っ越しトラック

積み込みが終わって、そのまま、ぼくと前田くんは福島に向かう。途中、有料道路の入り口を間違えて逆戻りしてしまうなど失態を演じながら、高速代をけちって武蔵・上州を縦断して東北道をめざし、途中から山越えをして川内村入りする道程。

途中から、遠藤さんに電話する。今日は家に着くだけついて、その家で寝てしまおうと思い、そういう予定であることをお話する。

「うーん、今日はうちの直売所の厨房に泊まりなよ」

電話の向こうの遠藤さんは、なんとなく含みがある言い方。家にいったらなにかまずいことがあるのかなぁと思いつつ、1年間は地元の人に全面的に従うというモットーなので、おことばに甘えて山菜直売所の厨房に寝かせてもらった。川内に到着したのは0時半。

遠藤さんの山菜直売所にはツリーハウスが建っている。朝、さっそくチェックに行く。前田くんは、ツリーハウスの中から天井を見上げて喜んでいる。家のど真ん中に、生きている樹木が通ってるのはなかなか乙なもんだ。

翌朝、さっそく家に向かう。電気屋さんが電気の配線を工事中。電気はもちろん止められていたので、新たに契約しなおさないといけない。その工事をしてくれているのだ。今日は東京電力の検査が来る日なんだそうだ。

電気屋さんが作業している横で、まずお家のチェックをする。がらがらと玄関を開け……、まぁ、開かない。家が歪んでますからね。えっちらおっちら開けないといけないのだった。

あがると、こたつがでている。え? ここって、誰かが住んでるんじゃないの? 押し入れを開けると、布団や着物も入ってる。

隆之さんがやってきた。これ、ほんとに空き家なんですか?

「そうそう。おばあちゃんがでていったままなの。部屋の中のものは、全部自由に使っていいそうだよ」

ちょっとと頭を抱えるニシマキ。前田くんは、横で大喜びをしている。しかも前田くんは、部屋の片隅の床が、今にも抜けそうだというのを発見して、また大喜びだ。

おばあちゃんの荷物をどうやって使わせていただくか、あるいは使わないのかはあとで考えることにして、とりあえず床がしっかりしていそうなところに荷物を運び込むことにした。余り荷物を優先的に運び込むと、人間が生活するスペースがなくなるから、バランスも考えないといけない。

ざっと40個〜50個の段ボールを降ろして一段落。たいして荷物を持ってないつもりなんだけど、写真とか本とかコーステープとか、へんなもので荷物がふくれている。シンプルな生活がしたいなぁ。

次は学校へ向かう。本棚や机は、学校で使うことのほうが多いだろうというのと、本棚に本を入れたら、いよいよ床が抜けそうだからだ。途中、遠回りをして佐藤校長先生の山小屋へ寄る。先生は小学校の最後から二人目の校長先生だった。今は引退して、子どもたち(と大人)相手の自然学校をやっている。ラジコン飛行機もやるしカヌーもやる。アマチュア無線もやるしサキソフォンも吹いている。パワフルなじいさんだ。

「このうえ山バイクも覚えなくちゃいけないから、たいへんだよ」と、ぼくが新しい趣味を持ち込んできたことにうれしい悲鳴を上げている。工作場は、木工工具がずらりと並んでいた。今回はごあいさつと、前田くんに佐藤先生の存在を見せてあげるのが主な目的だった。先生は、庭に窯を作っていた。パンやビザを焼くんだそうだ。

体育館にてのりゅうちゃん

そして学校へ。入り口の鈴木商店でご挨拶して、机ひとつと本棚3つを職員室に入れさせてもらう。前田くんは廊下に寝っ転がったり体育館に寝っ転がったりして写真を撮っていた。

荷物を全部下ろしたので、温泉に。かわうちの湯。正直なところ、両神の温泉のほうが、お湯はいい。両神の温泉はかけ流しで、いかにも温泉というかおりがたっぷり。かわうちのほうは循環だから消毒処理がしてあるんだ。ただサウナや露天風呂もあるから、楽しさはこっちのほうが勝っている。年間2万円払うと、1回100円になる。両神は町民が半額だった。いろいろシュミレーションすると、川内のほうがうんとお得だ。

これでミッションは完了したので、レンタカーを返しに秩父へ向かう。当初お昼までに返す予定だったけど、荷物を下ろし終わったら2時になっていた。レンタカー屋さんに延長の電話はしておいたけど、営業時間が翌8時までだから、それまでに帰りたい。お風呂に入ってご飯を食べたら、午後3時。ぎりぎり。

役場の前を通ったら、村長さんが執務をしているのが見えたので、お行儀悪く、窓の外からごあいさつする。村長さんは「あれ? 村営住宅に住むんじゃなかったっけ?」と、一応ぼくの動向を把握してくれている。村営住宅は、申し込みに来たんだけど、家族持ちに限るとかいろいろ条件があって、ぼくには権利がなかったのだ。だから素直にあきらめた。今日は荷物を運びに来ただけで、世界選手権のあと(実はそのあとも、少し予定がある)本格的にこっちへきますとあいさつして、川内を離れる。

帰りは常磐道から外環、関越道と高速道路の大盤振る舞いで帰る。燃料を入れてレンタカー屋さんには午後8時ぎりぎりに滑り込んだ。

杉谷からはどこに引っ越したのか教えろと連絡があったけど、さて、ぼくはどこに引っ越したのかな。住民票をどこに移すのか、などは、少し様子を見ながら考えます。

今回はカメラがどこにしまいこまれたかわかんないので、珍しく携帯電話のカメラで撮影したみた。

○写真1枚目:荷物運び完了。レンタカーの2トントラックと学校
○写真2枚目:隆之さんの趣味のツリーハウスをのぞかせてもらった。寝転がって天井を撮影する前田くん
○写真3枚目:ツリーハウスの外観はこんな感じ。このツリーハウスは樹木がストレスメンバーにはなっていない
○写真4枚目:2トンのトラックの中身はこんなことになっています。ぎっちり詰め込んだから、荷崩れはほとんどしていない。
○写真5枚目:体育館で、寝っ転がってステージをとる前田くん。