自然山通信のトライアル百科シリーズ。今回は、昨年全日本チャンピオンを獲得、ますます多忙を極めている小川友幸選手にご指導をお願いしました。
トライアル百科シリーズは、ポイントを絞って講義していただくシリーズです。初心者から上級者まで、すべての方に役立つハウツーを、とは言うは易し、たいへんむずかしいものです。なので、テクニックはピンポイントで、ときにはライダーのレベルも絞らせていただいています。
たとえばフロントアップができない人に、1メートルの大岩を攻略する方法は教えてあげられません。その際にフロントアップから教えてあげていると、すべてのハウツーDVDは、すべてとてつもない超大作になってしまう恐れがあります。
トライアル百科は、対象を絞ることで、知りたいことを確実に知りたい人へお届けしたいと思っています。
今回のテーマの下り坂は、テクニックとしては地味なテーマですが、トライアルを始めたばかりの初心者の方から上級者の方まで、なんとなく降りている人が多いのではないでしょうか。
トライアル百科をつくるにあたっては、ざっとテーマをお願いして、あとは現場でいろいろとお話をさせてもらいながら、取材を進めていきます。ときには、話の流れが思わぬ方向に進んでいって、想定していたテーマとは別のものになりかけることもあります。そういう場合は、また新たなテーマが誕生したりします。トライアルの場面は多種多様ですから、百科にもいろんなテーマがあっていいと思うのです。
下りについて教えてください、とお願いすると、小川選手は、下り坂を攻略する初歩の初歩から教えてくれました。
スクールへ出かけたり、上手な人に教えてもらう場合、講師の方は生徒さんのテクニックを見抜いて、足りない部分、できていないところを指摘していってくれます。なのでなかなか、ここまで初歩の下りを教えてもらうことはないのではないかと思います。
しかし自然山撮影陣(3人しかいなかったけど)は、小川選手のアクションの一つ一つ、解説してくれることばのひとつひとつに、目から鱗が落ちることたびたび。このくらいのことはできるぞという自信と、なぜできるのか、どういう技術を使っているのかは、まったく別のことなのだと思い知らされます。
「なんということはないから、目をつぶって降りてみろ」
のように教えてもらって、えいやと坂道を下っていくうちに、下りに対する恐怖心を克服して、経験からテクニックを身につけていく人は多いと思いますが、ここでひとつ、ゼロからテクニックを見直して、しっかりした技術を身につけてみるのはいかがでしょう。
小川先生の講義は、やるべきこと、ライディングの基礎をていねいに教えてくれつつ、少しずつ坂の難度を高めていきます。より斜度のきつい坂、途中に段差がある下り、ヒューム管からの下りと、恐怖が先にたつような教材も現れます。
この場合も、恐怖はなにによってもたらされるのか、その恐怖を解消するには、どんなテクニックが必要なのか。44分の中に、ヒントは無数にちりばめられています。
最後は、3メートル近い崖っぷちからの飛び降りも披露してくれました。こんな下り、国際B級や国際A級のツワモノだってそうそうやりたくないと思いますが、基本を積み重ねていけば、いつかは必ず(いますぐやろうと思わないでください)小川選手のように、華麗な飛び降りができる日が来るのではないでしょうか。
44分間の下り坂トレーニング、ぜひどうぞ。
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