11月17日、MFJ国内規律裁定委員会が控訴の結果を公示した。
この案件は、10月26日の全日本第7戦和歌山・湯浅大会にてパンチミスがあり、これによって正しい順位が結果に反映されていない、という主張に対して、裁定の場で判断がされたということだ。
詳細は結果公示のPDFに記載されている。黒山健一のSS1の減点1が減点0とパンチされ、黒山はそのままSS2をトライ。この結果、武田呼人が本来3位であるべきものが4位になったとして、武田側から控訴がされたものだ。
裁定委員会は11月7日に行なわれて、結果としては控訴は棄却となった。リザルトは黒山3位、武田4位と暫定結果に出ている通りで決まることになるのだろう(今現在は、控訴人に上告なりの道が残っている)。
この件については、すでにわかる範囲の状況をお伝えしているが、今回の裁定結果を見ながら、あらためてこの案件について検証してみたい。
控訴人の主張を棄却ということは、訴えが認められなかった、ということだ。
ここで問題となっているのは、なにが正しかったか、ではない。今回はSSが舞台ということでもあり、パンチミスそのものについてを目撃したものはいないものの、ライディングと暫定結果が異なるのはみんなの知るところだ。いわば、正しいのは黒山のSS1の減点は1点、である。ここが争点ではないのは明らかだ。パンチミスをしたオブザーバー(パンチ係)も主催者もライダーも、みんなこのパンチミスについては認めるところだからだ。
争点となるのは、規則で定められている次のセクションを走ったら、スコアカードにパンチされたその前までのセクションの減点を修正できない、というところで、正しいのがわかってるんだから修正すべき、という意見と、規則だから修正はできない、というその点にあった。その規則が、これまでどんな紆余曲折を経て、みんなの納得する規則になったかのかは、この案件が出てきたときに説明させてもらった通りだ。
結果として、武田側の控訴は棄却、トライアル委員会に規則の見直しと再発防止策の提出を求め、大会の競技団(運営団体ということか)と黒山に訓戒を行なうとした。
簡単に解釈すると、規則を尊重して控訴は棄却するけど、規則がおかしいからなおしなさい、その規則に則って、ちゃんと大会を運営しなかった(パンチミスをした)主催者側と、規則にあるスコアカードのパンチを確認しなかった黒山に訓戒処分を処する、ということだ。
ここからは、反則だけど自然山通信外野裁定委員会が意見してみる。
今回の件で最も責任が重大なのは、まちがいをまちがいと認めないルールを作って、それを運用してきたトライアル委員会だ。
主催者側は、パンチミスという運営ミスはした。しかしこれは故意ではなく、現状、主催スタッフのミス、特にパンチミスは、あってもしかたがないということになっている。だから、ライダーは自分のパンチが正しくされているかどうか確認しなさい、と規則に定められている。ここで訓戒処分を課せられても「ごめんなさい」は言えるけど、こんなことが二度とないように務めます、と約束はできないんじゃないだろうか。今回は舞台がIASのSSだけど、一人のオブザーバーが1日にするパンチって、湯浅の場合だと250回以上にもなる。しかもパンチカードにパンチするのは、やってみればわかるけど、そんなに簡単じゃないのだ。
トライアル委員会に対しては、ちゃんとした規則を作れよ、改善計画を出せよ、という命はあるけど、訓戒などの処分はない。主催者、ちょっとかわいそう。

かわいそうといえば、一番かわいそうなのは黒山だと思う。これは自然山通信のまったくの勘ぐりだけど、裁定委員会は可能な限りケンカ両成敗にしたかったのではないか、それで関係者のつっこみどころを探したら、日常茶飯事(であってほしくはないけど)のパンチミスをした主催者はつっこめる。パンチミスをされた黒山はといえば、規則書を探るとこんなのがある。
12 結果の記録(スコアガード、パンチカード、記録カード)
12-4 セクションでのパンチの点数は、その場でライダーが確認しなければならない。
ということで、確認しなかったところをつっこませていただいた、というところじゃないだろうか。
実際のところ、黒山がどういう状況だったのかというと
1.クリーンだと思い込んでいて、クリーンのパンチを確認して先へ進んだ
2.パンチの確認をまったく怠った、もしくはちらりと見ただけで先へ進んだ
3.1点のところをクリーンとパンチされたのを確認した
のうちどれかだと思われる。1はまったくあり得ないではないかもしれないけど、現実的にはちょっと考えにくい。ということは2か3ということになる。3の場合だったら、お、1点得したぞ、黙ってればお得だぞと思ったかもしれない(思わなかったかもしれない)。しかし仮に得したと思ってそのままにしていたとしても、黒山のやったことはなんら規則に反しない。裁定委員会は確認を怠ったとして訓戒処分にしたけど、1点のところクリーンとパンチされているのを確認したかもしれない。そこで正直にまちがってますよ、と申告しなかったことを責める人はいるかもしれないけど、残念ながら逆に1点2点不本意に減点されることは、黒山ならずともよくある。ここで1点くらい得をしたって、バチは当たるまいと考える方がふつうだし、それによっておとがめを受けることはない。パンチミスはライダーの責任だよ、という通達は第3戦の公式通知で確認され(新たに作られたものではない)、黒山は第4戦のミーティングで、このルールの主旨と運用方法について、しっかり確認もしている。
黒山がなにか規則違反をした事実は限りなくゼロに近いと思われるが、お気の毒。パンチを確認してないライダーは、もちろん黒山だけじゃなく、けっこうたくさんいると思われる。前例としてこの訓戒処分は、今後もパンチを確認しなかった人にみんな下されるのか、それとも問題が起きたときだけ、責められることになるのか。ちょっと解せない。そしてパンチカードについて規則書を見ると、ライダーは点数を確認しなければいけないとは書いてあるけど、正しくないのをそのままにした場合のペナルティはない。正しくないパンチは、1点がクリーンになることもあるけど、クリーンが5点になることもある。パンチする場所をまちがえられたりすると、10点もらっちゃったりする。そんな大損したうえに訓戒処分を受けたら、穴がなくても穴に入りたくなってしまうにちがいない。
もちろん、控訴をした武田側に瑕疵があると思ってもいけない。武田は、自分は3位になるべきであり、正しい結果がリザルトに反映されるのが正しいと信じて、それを訴えただけだ。
自然山裁定委員会としては黒山も武田も、二人とも3位にして、トライアル委員会は猛反省して、すぐに2026年規則書を作り始めなさい、という裁定を出したかった。3位が二人いるリザルトは永久に残るから、それを見るたびに、規則は大事だけど、へんてこな規則を作ってしまうと、結果がおかしくなってしまうという教訓に気がつける。
今回の騒動が、そのまま忘れ去られることがないように、2026年はいいシーズンとなりますように。

