大きな災害が相次いでいます。災害支援にトライアルは最適。しっかり腕を磨きましょう。

7回目のCTJで2025年全日本シーズンが終了

11月2日、連休の中日に、全日本選手権最終戦にして、7回目となるシティ・トライアル・ジャパン(CTJ)大会が開催された。優勝は黒山健一、2位に氏川政哉、3位小川毅士、4位野崎史高、5位久岡孝二、6位武田呼人という顔ぶれで最後の戦いは終了した。

天気は良好。 山の中での雨もつらいけど、過去の教訓から、意外に都市部で雨に降られるのもやっかいなのを痛感させられているから、まずはこの好天が天の助けだった。準備中には雨にも見舞われたということで、大木には水がしみ込んでいたし、表彰式が終わってから雨がぱらつくなどのおまけもあったが、トライアルはまずドライコンディションで行うことができた。


ランキングトップの黒山健一は、1日を通じてほぼ完璧な走りを見せた。最終セクションは見事なジャンプを見せて勝利。先週の裁定問題で、公式にMFJからはチャンピオンとして認められていない現状だが、文句なしチャンピオン決定だ(まったくあり得ないが、万が一仮に仮に、黒山が第7戦で無得点の裁定結果が出たとしても、氏川政哉を2ポイント差で上回る結果となる)。

決勝に残った3人は、黒山と氏川、そして小川毅士だった。小川は第7戦での優勝の勢いを最終戦にぶつけたいところだったが、2連勝はならず、しかし今シーズン3度目の表彰台となった。序盤中盤は表彰台のない戦いが続いたが、終盤3戦は目の覚める活躍だった。これでランキングは3位を確定している。


予選ラウンド

選ばれた10人、出走9人のうち、予選で6人が勝ち残り、準決勝で3人が勝ち残る。予選・準決勝・決勝と、すべて4セクションずつで勝負がつく。

通常、最初にトライするライダーはハンディが大きい。2番手以降は最初のライダーの走りを見て攻略法を検討することができる。ところが今回、セクションには最低限の人しかいれない方針が示されて(安全対策もあるし、お客さんに見えない、という問題も小さくないと思われる)、トライするライダー以外は待機場所とされた柵の中から出られないキマリになった(お客さん席へ移動すれば先行ライダーのトライを見られるも、見たいものが見られるかどうかはわからない)。これもCTJスタイルと思えばそれはそれかもしれないが、直前に示されたこのキマリに戸惑うライダーは多かった。


予選のスタート順はランキング順だが、第7戦和歌山・湯浅大会の結果がまだ出ていないので第6戦時点でのランキングでスタートが進行した。現実問題としては、ランキング3位の(はずの)小川毅士が4位の(はずの)野崎史高の前にトライすることになる。第7戦については提訴の場に持ち込まれたので、現場サイドとしてできることはもうあまりなく(もちろん証拠となる資料を提出する必要はあるだろうが)、結果が出るのを待つしかない、ということらしい。

第1から第4、いずれも難所だったが、5点の場合、リザルトにそれに続く通過ゲート数が示されている。この数字が大きい方が、より出口近くまで走ったという証になる。田中は残念ながらインで5点が3つ、ひとつ通過が1セクションのオール5点となった。田中がゲートを一つ通過したセクションを武井誠也は3点で抜け、柴田暁は1点で抜けた。


柴田は本来のペースにはほど遠かった。予選、持ち時間は5分。5分の間に4つのセクションを走りきる必要がある。ただXトライアルの予選とは異なり、セクションアウトしてから次のインまでは時計が止まって小休止をとることができる。それとは別に、マシンがトラブルが出た場合、メカニカルタイムを宣告することで、パドックで整備をしたり、スペアマシンに乗り換えたりすることができる。スペアマシンへの乗り換えはパドックで行うが、パドックは順に並んでいて、しかも一般の通行人の皆さんもいる。マシンを押して(もしかして、ホイールやサスがぶっ壊れて、かかえるしか方法がない場合もあるが、その場合も)パドックまで行って、交換する必要がある。なんとも不公平な感じだが、一番遠かった田中善弘の質問に対して、この件は真剣に議論されることがなかった。謎。

メカニカルタイムを使った場合など、トータル10分まではペナルティがなく、そこから1分ごとに減点、5分を過ぎると失格となる。この10分には、セクショントライの時間も含まれる、ということだ。

メカニカルタイムを使ったのは、柴田一人だった。第3セクションを1点で抜けた柴田だったが、このトライ中の着地で何本かの前輪スポークが折れてしまった。スペアマシン交換ではなく前輪交換を選んだのが、ちょっと時間がかかった理由だったろうか。それでも5分以内で帰ってきたのだが、修復したマシンでトライした第4セクションでまた5点となり、柴田のCTJは終わった。柴田のCTJは、セクショントライタイム3分1秒での終了となった。オール5点の田中善弘のトライタイムは、1分11秒だった。そういうものと思うしかないが、なかなかタイムコストが高い。

田中善弘20点、武井誠也18点、柴田暁16点に続く、残り6人の予選の争いは大接戦だった。減点数は10点が3人、11点が3人。4位、5位、6位は5点の場合の通過ゲートポイントの差によって順位がつき、2位と3位は通過ゲートポイント、1位と2位はセクション走破時間の差で決まっている。久岡孝二が大金星の予選2位獲得。3位が野崎だった。この3人は減点10で同点だ。ただしこの順位は、準決勝に進出する6人を決するためと、準決勝の出走順を決めるためで、最終結果に点数的な影響は与えない。

Pos.RiderSectionTotalCleanGateTime
1234
1黒山 健一050510213:25
2久岡 孝二050510213/45
3野崎 史高050510203:30
4氏川 政哉510511124:29
5小川 毅士051511113:13
6武田 呼人051511102:18
7柴田 暁551516013:01
8武井 誠也553518004:33
9田中 善弘555520011:11

準決勝ラウンド

準決勝、最初の二人は武田と小川。武田は予選で登った第1の入口で5点、万事休す。それを見て動揺があったという小川も同じポイントで5点となったが、武田がクリーンなしで準決勝を終えたのに対し、小川はクリーン2、第2を2点で抜けて計7点とまずまずの結果を得た。特に第4は予選で全員が5点となっていたから快挙だった。もちろんこのあと4人が走るので、決勝進出の行方まだ分からない。


次の二人は野崎と氏川。野﨑は第1をクリーンしたが、第2の丸太でラインを外して5点。第3を2点で抜けたものの第4でまた5点と、いまひとつだ。氏川は第1で失敗して戦況が心配されたが、そこから3連続クリーンを果たして面目躍如だった。


最後の二人、久岡孝二と黒山。久岡は第3でのクリーン以外5点と、予選での好調をキープすることができなかった。ただ武田には1点だけ上回っている。対して黒山は渾身の集中力を見せた。第1をクリーンすると、第2、第3とクリーン。しかし第4で落ちてオールクリーンを阻まれた。


準決勝の結果は、5点となったときの通過ゲートの差で、氏川がトップとなった。2位は黒山、3位は黒山で2点差で小川。小川は4位の野崎に5点差だった。

この時点で(第7戦の結果が暫定結果のままと仮定して計算すると)、ランキングはすべて決定した。ふつうの全日本だと最後の最後までリタイヤやカード提出忘れの失格などの落とし穴があるも、今回は仮に仮に決勝を走らず逃亡しても、準決勝の結果でリザルトになるということだった。

チャンピオン争いの興味は薄れる結果となったが、逆に3人はランキング争いのプレッシャーなくセクションとの戦いに集中できることになる。

Pos.RiderSectionTotalCleanGateTime
1234
1氏川 政哉50005314:37
2黒山 健一00055304:01
3小川 毅士52007214:43
4野崎 史高052512113:20
5久岡 孝二550515124:20
6武田 呼人551516024:07

決勝ラウンド

今回は決勝ラウンドが4セクションもあって見ごたえがあった。

決勝ラウンドは予選、準決勝の逆走。最初に第4セクションの逆走となる第5セクション、次に第3の逆走となる第6セクションと走って、最後が第1の逆走の第8となる。トライ順は小川、黒山、氏川の順となる。

第1から第4までは予選・準決勝と2回走ったが、部材は同じとはいえ、逆走はこの日初めて走る。最初に走る小川には厳しい状況だ。

勝負の鍵を握ったのは第7と第8。第7では、小川が丸太を一つずつ処理して3点で抜けたが、氏川は丸太から縦丸太に一気に飛びついてクリーンを出した。これは見事なクリーンだった。

そして第8。小川が登れなかったパレットの塔。黒山は手前から一気に飛びつくラインをとった。そしてこれが成功。黒山はこのジャンプを「小川(友幸)さんに命令されて飛んだ」と語ったが、誰かが(最初に走る小川毅士のことになるが)落ちたら、飛んでや、と冗談交じりで話をしたのだというが、そのとおりのアクションを見せた黒山もさすがだった。小川毅士が選んだ正面突破より、飛べば失敗したときのリスクも高いが成功率も上がるという、そういう選択のもと、黒山は飛んだ。


ただし黒山はクリーンがなく、4セクションで9点を失っていた。対して氏川はここまで5点。ここを3点までで抜ければ氏川の勝利という戦況だった。そして黒山同様に飛びつきを選択する氏川。ジャンプ。しかししかし、マシンは一度パレットに乗ってから地面に叩き落ちてしまった。

準決勝は同点、決勝は黒山9点、氏川10点。トータル、わずか1点差で勝敗は決した。


黒山の勝利。そして12回目のチャンピオンの決定劇だった。

Pos.RiderSectionTotalCleanGateTime
5678
1黒山 健一15219034:24
2氏川 政哉050510234:13
3小川 毅士053513134:24

最終結果(準決勝+決勝)

Pos.RiderTotalCleanGateTime
1黒山 健一14338:25
2氏川 政哉15548:50
3小川 毅士20349:07

詳細リザルトはこちら(https://www.shizenyama.com/43584/)をご覧ください