雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

こども二輪塾

「こどもにトライアルをはじめさせたいのだけど、どうしたらいいでしょう」という質問をときどきいただきます。どーしたもんかなぁと思っていたけど、今回、ばっちりの解答を見つけてきたので、ご紹介します。関東ローカルの話題かもしれませんが、そのうち、こんなのが全国にできると信じて活動が始まっています。その名も「こども二輪塾」です。

看板の写真

「こども二輪塾」はNPO法人で、モーターサイクルスポーツの普及と振興を目指し、青少年の心身の健全育成に寄与するために設立となっている。日本語に訳せば「子どもたちにオートバイで遊ぶことを正しく知ってもらう場」といったところでしょうか。
 二輪塾の親分は東福寺保雄さん。いかにトライアル命でも、この人の名前を知らなければもぐりと言わせていただきましょう。9回の全日本モトクロスチャンピオンで、もちろんこの記録は破られていません(2位以下を全員ラップしたという記録や連勝記録は、去年成田亮に並ばれ、破られた連勝記録は、去年成田亮に破られた)。
 でも東福寺さんは「これはモトクロススクールじゃない」と言います。東福寺さんはモトクロスチームの親分だし、モトクロス色が濃いのは事実です。だからといって、将来モトクロスチャンピオンを志す子どもたちを養成するなんてのは、ぜんぜん範疇にないそうです。
 子どもは、モトクロスとかトライアルではなく、まずオートバイに乗るのが楽しい。オートバイに乗る楽しさをこの「二輪塾」で実感してもらったら、そこからモトクロスを始めてもらえばいいし、トライアルでもいいし、サッカーをやってくれてもいい。二輪塾で学んだ経験が、人生の役に立ってくれればそれでいいといいます。

スクール中
ヒルクライムセクションをトライ中?に見える生徒さん

 実際に授業を見学してみて、意外な発見がいくつもありました。ひとつめが、これはまさに「トライアルをはじめたいこどもが最初に受けるべき授業だ」ってことでした。ご覧のとおり、こども二輪塾も少しコースが進むと、こんなメニューがあります。これ、立派なトライアルじゃないですか。メニュー的に、アクセルを大きく開けてコースを速く走るカリキュラムはこの塾にはありません。登ったり降りたりをスムーズに走れるようになれば、それはトライアルの第一歩でもあり、いやいや、モトクロスでもなんでも、オートバイライディングの第一歩であるということです。
 それに、受講料が安い。平日だったら、1回(1時間)1050円。オートバイは持ってなくても大丈夫。ヘルメットも貸してくれます。ぜんぜんオートバイに乗ったことがない、オートバイも持っていない、そんなこどもを連れていくには、こんなにぴったりの入門コースはありません。

お店の中
店内には、こども用の用品がいっぱい。

 こども用のウェアが手に入りにくいという話もよく聞きます。ここなら、さすがにこども二輪塾です。ウェアの在庫もたっぷり。トライアルやるなら、ヘルメットとブーツはモトクロス用のじゃないほうがいいと思うけど、それもこどものうちは、どっちでもいいのかもしれません。オートバイも、はじめてのバイクは何にしたらいいのか、実際にこどもに乗せてみて決めたらいいのです。
 もうひとつ、見学していて印象的だったのは、こどもを連れてくるお父さんやお母さんが、ライダーっぽくないということでした。モトクロスコースやトライアルコース、ぼくらが見かける親子は、たいてい親がオートバイ好きです。成田匠親子、黒山健一親子、藤波貴久親子、うーんと下がってニシマキの親子も、親がオートバイが好きだから、こどもはつられてオートバイに乗り始めます。でも、こども二輪塾にきている子どもたちは、ちょっとちがうみたい。
 事務局長の矢島さんは、この塾をはじめるにあたって、近所の幼稚園や学校に向けて、案内を発送したそうだ。そしたらなんと、いくつかの校長先生から、打診が来た。埼玉県というのは、ご存知の人はご存知だけど、いまだに三ない運動の真っ最中です。三ないは高校生対象だからというのもあるけど、その埼玉県にあって、こういう反応があるのです。そして、まったくモトクロスをやったことのないご家庭の子どもたちが、塾を訪れることになったのだとのこと。

東福寺と生徒
生徒さんの訴えに耳を方向ける東福寺校長

 単に、二輪塾がうまくいくとか軌道に乗るという話にとどまらず、これは、モータースポーツがきちんと根付くきっかけになるんじゃないかと、うきうきしてくるような話だった。
 モトクロスを知らないお父さんに、9回の全日本チャンピオンは「赤いのがホンダで、青いのがヤマハ、黄色がスズキです。これは緑色だからカワサキです」と説明する。チャンピオン東福寺保雄を知っている人だったら、恐れ多くてそんなこと聞けないと思いますけど、それでいいんだと思います。モトクロスもトライアルも、そういう恐れ多い部分が、ふつうの初心者を遠ざけていたとも言えるのですから。そう、ここはモトクロス寅の穴ではなくて、オートバイの学校なのです。

コース
事務所先にある、入門用コース

 矢島さんは、さらに興味深い話も聞かせてくれた。幼稚園へ行っても学校へ行っても、団体行動もとれず、おとなしくもできず、社会的にとけこめないという子どもがいた。その子が、二輪塾にやってきた。確かに、最初は言うことを聞かない問題児だったらしい。でも、二輪塾のメニューが進むうちに、自分の順番をきちんと待てるようになり、今では、学校でもそこそこふつうの仲間になっているという。
 こういう効果は矢島さんたちも期待していなかったらしいけど「青少年の心身の健全育成」というお題目どおりの発展をしていることになる。

東福寺さん
矢島さん
東福寺保雄さん(左)と事務局長の矢島文夫さん

 なお、二輪塾ではもうちょっと広いコースも用意してある。こちらも、そんなに高くない費用でマシンをレンタルしてもらって走ることができる(二輪塾の卒業生のみ)。
 子どもをオートバイに乗せたいけど、まず最初の一歩が踏み出せない全国の父親母親のみなさん、こども二輪塾に問い会わせてみてください。休日のコースは、けっこう予約が入ってます。平日にもやってますから、ご近所の方なら、学校が終わってから駆けつけることもできます。
 年齢制限は、一応小学生以下ということで、下は足が届けばいいということで、今通っている生徒さんの中には、3歳児もいるらしいです。
 ぜひ、お子さんを連れてってあげてください。関越自動車道川越インターからクルマで5分くらいです。
NPO法人こども二輪塾(にりんじゅく)
こども二輪塾「講習・教室案内」
〒350-1168 埼玉県川越市大袋473 – 1
TEL & FAX: 049-242-8419
E-mail:info@kodomo-nirinjuku.net
担当: 事務局長 矢島 文夫