雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

御殿のようなホテル

湖ホテル
 自然山通信は、ヨーロッパ取材のとき、宿を予約することがほとんどない。日本から予約できるようなホテルは、たいてい豪華絢爛なところばかりで、値段は高いし、大会会場からも遠いことが多い。現地へいってから、これは安そうだぞと思えるところに飛び込んで交渉するのが、いろいろと都合がよろしい。
 でもこういう宿選びをしていると、泊まれればなんでもいいということになっていくのも事実。寝るだけだから、そんなに困ってもいないのだけど。
 ところが今回の開幕戦旅行では、ひょんなところから天皇陛下もお泊まりになったというお城改造のお宿に泊まってみることになった。


 ベルギーの首都ブリュッセルの空港からクルマで30分ほど。かわいい湖のほとりに、そのホテルはあった。シャトー・ディ・ラック。湖のお城、という名前のホテルは、ジョン・マーチンさんが社長のホテル会社が経営している。マーチンさんの家系は、もともと飲料製造業をやっていて、昔はこのお城でも炭酸水を作っていたらしい。マーチンさんはイギリス系の人で、おいしいビールもつくっている。親戚には、ブランデーを造っている人もいて、そのブランドが、なんとレミー・マルタンという。レミー・マルタンとはフランス語読みをしているけど、レミー・マルタンのマルタンは、実はイギリス人のマーチンさんだったんだ。
 なんでここに泊まることになったかというと、横浜は野毛に、野毛通信社というバーがある。そこのご主人が親川久仁子さんというんだけど、TL125バイアルスで早戸川を走っていた、女性トライアルライダーの草分け的存在だ。モトクロス王国ベルギーを訪ねてそのまま住みついて、結婚してお子さんがいる。現在はお母さんは日本、お父さんはタイ、息子はベルギーというグローバルな生活を送っているけど、その久仁子さんに「ベルギー経由でルクセンブルグにトライアルを見にいくんだぁ」とお話ししたら、息子に荷物を持ってってちょうだい、そんで、息子が働いてるホテルに一泊してみてちょうだい、ということになった。
 税関チェックを終えてベルギーの空港の到着ロビーに現れると「SUGITANI・NISHIMAKI」と書いた紙を持ったお兄ちゃんが待っててくれた。空港ではよく見かけるシーンだけど、こんな出迎えをされたのは初めてだ。しかもついてみたら、五つ星ホテルではないか。そんなホテルに、ぼくたち、泊まったことはない。
 このホテルは、1995年に天皇陛下をお迎えしたことがあるという由緒あるホテルで、クラシックな趣きとホテル目前に広がる湖の景観が素晴らしい。いつも思うけど、杉谷と二人で泊まるところじゃないんだよなぁ。
08ベベとアガタ
 親川ジュニアはフレデリックくんといって、お父さんがベルギー人、お母さんが日本人だから、日本語は書けないけど流暢に話す。ベルギーは、今国家元首が不在というとんでもない政局を迎えている。その根源が、フランス語をしゃべる国民とオランダ語(フラマン語)を話す国民との確執なのだけど、フレデリックくんも学校ではフラマン語をしゃべるので、お兄さんとの会話はフラマン語、お父さんとはフランス語、お母さんとは日本語、一家みんなや、親戚が集まって話をするときには英語で会話をするというクロスオーバー環境で育ったらしい。
 で、このフレデリックくん、なかなかのイケメンである。お母さんを訪ねて日本に来たときに、たまたま横浜でテレビ局のスタッフに目をつけられて、笑っていいともの美少年コンテストに出演させられたことがあるという。そして今は、このホテルのフロントにお勤めだ。
 日本語が話せるイケメン美少年がお迎えしてくれる静かな湖畔のホテル。ぜひお訪ねください。お値段は200ユーロ(一部屋)くらい。泊まってみれば、そんなに高くないと思えると思います、きっと。写真は、イケメンのフレデリックくんと、ボーランド出身のアガタさん。ふたりとも25歳。
MARTIN’S HOTELS
Avenue du lac 87, B-1332 Gencal Belgium
Tel:0032-2-655-74-35
Fax:0032-2-655-74-26
http://www.martinshotels.com/
日本語版
E-mail:sales@martinshotels.com
・親川さんのベルギー情報