雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

イナカのdocomo

09高田島のEさん
 携帯電話をMNPでdocomoにしました。このへんの村では、ここんところdocomoが急速に電波をのばしてきて、今まで圏外だったエリアですぱんすぱん電話ができるようになった。今まで、この地域はauが頼みの綱だった。auでなければお話しにならない。イナカのauって評価はこっちへきて切実に感動したもんだ。イナカのau。なんとも頼もしい響きではないか。しかもぼくのauは、防水で落としてもヘッチャラのCASIO製G’z oneだった。気に入ってた電話だったけど、それでも入らないところはあった。電波の入らないお気に入りより、なんでもいいから、電話は電波が入ってなんぼである。


 docomoの電波が入るようになったのは、FOMAプラスエリアってのができたからだ。今までのFOMAは2GHzの周波数だけを使っていたけど、FOMAプラスでは800MHzの電波を使う。周波数が短いから、アンテナをひとつ立てると広い範囲で使える。おかげで、これまで圏外だったあちこちが、いきなり携帯圏になった。携帯電話にしばられるのはくやしいけど、携帯電話にすら見放されるのはもっとくやしい。これでようやく、人並みの土俵にあがれる。
 それにしても、日本の携帯電話の鎖国状況はあいかわらずだ。今、日本の携帯電話にはあらぬロックがかかっていて、FOMAのSIMカードをソフトバンクの端末に入れても動かない。この状況に納得させられているのは、日本のお客さんだけだ。5万円もする携帯電話を買わされて、それがdocomoなりソフトバンクの専用端末に違法改造したうえで販売されている。外国で5万円も出せば、どこの電話キャリアのSIMも使える本当の意味でのスタンダード端末が(電話機屋さんで)買える。日本の携帯電話端末は、世界一高い。通話料だって安くない。今携帯電話を使っている日本のみんなは、頭金1円にだまされて、ものすごく損をしている。
 さて800MHzのFOMAプラス。ぼくはてっきり、第二世代の電波(Movaとか)を使って通話してるものだと思ってた。でもこれ、れっきとした3G(第三世代)の800MHzなんですね。ちょっと前に、ソフトバンクが800MHzの電波割当を要求して総務省に却下されたことがあった。総務省にいじわるされて、ソフトバンクは“イナカのソフトバンク”になるすべを失ってしまった。孫さんにその気があったかどうかはわかんないけど、総務省に競争の自由を奪われていたのはお気の毒だ。
 海外には、GSMという第二世代のネットワークがある。ほとんどどこへいっても、GSMの電波が入らないところはない。3Gはもう少し音質も良くて通信速度も速いから、最近の携帯電話は3GとGSMを両方使えるようになっている。日本で使う分には3Gしか意味がないけど、海外にでかけると、GSMが無敵なのがよわかる。とりあえずつながるGSMと高品質な3G。しかも世界標準。日本では、キャリアそれぞれが勝手なシステムを構築していて、共通化する雰囲気は今のところまったくない。
 ショートメールってのがある。SMSっていうらしいけど、これまた、日本ではauならau同士、docomoならdocomo同士でしか使えない。だけどガイコクではキャリアの壁は関係なく、メールが出せる。日本ではキャリアを越えてショートメールが送れない。なんとも不便。ヨーロッパでお友だちにSMS出すときは、相手がどこのキャリアと契約してるかなんて気にしなくていい。ガイコクでメールといえば、圧倒的にSMSだ。SMSだけで用が足りるからね。日本は囲い込みが好きだから、SMSは自分ち専用に改悪されてしまっている。
 日本のお友達と携帯電話についてお話しすると、こういう世界標準を知らない人が圧倒的だ。docomoやauのショップは、電話機を売っているところだと思ってる。日本ではそうだけど、世界では電話会社と電話機屋さんは別物だ。ほら、電話の契約にはNTTへいくけど、電話機は電気屋さんで買う。携帯電話だって、おんなじなのだ。日本は、安いだけがキーワードになってて、自由の権利を奪われている。
 それでもdocomoとソフトバンクは、自分ち用に売られた電話機同士ならSIMを入れ替えて使うことができる。これがauになると、電話機固有の認証があって、SIMと電話機は一対一の関係になる。なんだってこんなバカな仕様を思いつくんだろう。人をバカにするのもいい加減にしろってんだ。せっかくSIMカード方式を使ってるってのに、ぶちこわし。これがなければ、ふだんはおしゃれな端末でワンセグを楽しみお買い物もして、週末は防水のタフな端末を携行してトライアルを楽しむ、なんてことができるんだけど、現状ではトライアルウェアでもスーツでも防水ヘビーデューティー電話を持って歩くことになる。
 最近は、1円とかタダじゃなくて、携帯電話機も少しまともなお値段になった。テレビ、カメラ、なんでもついててポケットに入ってて4万円なら大安売りだ。違法改造されたものが4万円なのはしゃくだけど、あるべき値段を逸脱するのはよろしくないから、今の携帯電話気の値段は妥当だと思う(関係ないけど、トライアルマシンのお値段も、まぁ、そんなに悪くないと思う)。
 ただし、電話機がそろいもそろって同じ価格帯である必要はない。機能を絞って5000円くらいのスタンダードモデルをどうして作れないものか(技術がないのか発想がないのか)。これまた外国には安い端末だって存在する。海外なら、キーボードつきは6万円、無線LANがついてるのは5万円、カメラつきは4万円で電話するだけなら7000円、なんなら中国製もあるでよ、みたいによりどりみどり。中国製は1週間で壊れるかもしれないけど、納得づくで買うならそれでよかろう。
 携帯電話は振り込め詐欺の温床になっているらしい。どうしてかな? あちらでは、電話機は誰でも買える。でもSIMカードを買うときには、身分証明書の提示が必要だ。そうじゃなきゃ、日本みたいになっちゃうから。日本でも、携帯電話の契約のときに身分証明書を見せたかもしれないけど、あれって電話料金を踏み倒さないための防衛策だったから、プリペイド携帯は犯罪のための道具になった。あたりまえだ。携帯電話会社も法律を作る人も、大事なところがノーチェックだった。残念。
 話が思いきりそれた。ともあれ、今、docomoは山奥で天下を取りつつある。iモードとか着歌はどうでもいいから、やっぱり携帯電話はネットワーク網が完備しているのが一番だ。山奥で遭難したとき、たまたま自分の使ってる電話だけ電波が入らなかったりしたら、目も当てられない。電話会社の規格を(ヨーロッパみたいに)統一して、電話会社同士がもっとローミングを使えばいい。この山奥はA社の電波が完備しているとなったら、B社やC社はとりあえず設備投資を見送って、A社の電波を借りなさい。電話代は少々高くたっていい。つながらないほうが困るから。そのかわり、いつもローミングで高い電話料金をとられていては使うほうも悲しいから、使う人がいるところに設備投資しない電話会社は見放されていく。こういうのが正しい資本主義ではないのかな?
 日本の携帯電話業界からは、ノキアが撤退した。電話網では、だいぶ前にボーダフォンが撤退した。外資のみなさんが日本の要求についてこれなかったのかもしれないけど、それほど日本は世界の常識と離れたことをやってるってことなんじゃないかしらん。いまだに日本は鎖国体質。もっと世界を。
 だからみなさん、海外の世界選手権を見に、外国へ行きましょう……。って、最後はむりやりこじつけてみました。
 例によって、写真は携帯電話とはまったく関係なくて、つかの間、陽気が春みたいになったので、畑仕事を始めたキノコ屋さんのご主人。使い終わったキノコの原木は、とってもよい堆肥となるんだそうだ。