雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

水辺のバムバム

2010沼の景色

 ちょっとした池がある。昔は、もっと水の量が多くて、子どもたちが泳いだりもしたもんだという。
 ここを、なんとかしようと立ち上がったおじさんがいた。肴屋さんのTさん(変換まちがいをした。ほんとうは魚屋さんなのだけど、そういえば肴屋さんのほうがお似合いかも)。
 ここんところ、何度かお手伝いさせてもらった。水はきれいで冷たいから、気持ちがいい……。


 池というより正しくは沢。奥の山筋から、水がすいすいと流れてきている。何十年昔だか、山が畑になったりして、水が減っちゃって、かわりに泥が流れてきて、池は泥沼になって現在に至る、なんだそうである。
 水の素性のよさは折り紙付き。何度か書いたかもしれないけど、もっと大きな声で宣伝したほうがいいと、とある先生に力説されたので、何度でも書こう。この村には水道がない。正確には、上水道の施設がない。飲み水は、住民がみんな、それぞれで調達している。井戸を掘ったり、山のわき水を引いてきたり。そしてそのどれもが、とってもおいしいというのが、この村の大きな特徴だ。
 そんな、飲み水としても一級品の水が流れ込んでいる泥沼。こりゃもったいない。イワナでも飼えないだろうか。釣り堀とかできたら楽しいじゃないか。イワナは住みつかないかもしれないけど、水辺で酒が飲めるだけでもいいじゃないか、と、こんな感じで話が進む。
 こういう話は、あんまり大がかりな相談などしないで、えいやと進めるのが一番。素人が、へんなことしちゃったなぁ、こうしたらもっと○○だったのに。ということは当然あると思うけど、大規模工事じゃないから、もっとうまい方法を思いつく人がいたら、あとからそのうまい方法でやりなおしてもらえばいい。

2010池つくり

 住みつくかどうかわかんないけど、イワナのプールを作るんで、水の中に材木を入れた。材木は浮いちゃうからね。押さえつけるのは悪戦苦闘だった。結局、水にはいってびしょびしょになった。水がよどんでいるところは生ぬるかったけど、新鮮な水が流れ込んでくるところは、水は冷たかった。機械で一気にやってもらおうよと弱音をはきたくもなったけど、沼地だから、機械は入れない。水は冷たいが、そうこうするうち、全国的猛暑の日になって、そういう日はこんな山の中だって、一応暑い。手足は冷たい水につかって、頭は強い日差しにあたって、なかなかキビシー肉体労働だった。

2010たたずむ兎

 まぁなんとかできあがったので、じゃ、半完成祝いに肉でも焼くべえということになった。最後の写真は、丘の上でその準備中。池の作業をしているときには、さすがに虫の攻撃を受けてつらかったけど、なぜか丘の上にはアブだのカだのの虫はやって来ず、ご覧のようにウサギのやろうもご満悦なのであった。
 イワナはまだ住みついていない。お楽しみは、これからだ。
*岸辺のアルバムという山田太一のテレビドラマがあったけれど、ここはまだ水辺のアルバムの1ページ目を開いていない状態。Bumって単語は、浮浪者・ルンペン・怠け者・ぐうたらという意味だそうで、あるいはまた、遊びに熱中する人という意味もあるらしい。このままバムバムし続けることにしよう。そういえば、ぼくがオートバイ雑誌の仕事を始めた頃に、よく仲良くいっしょに仕事をした池沢一男さんは、MotoBumというお店を開いて世界GPにも打って出た。遊びに熱中したまま2009年6月10日亡くなられた。池さん、ありがとうございました。話はぜんぜん関係ないけれど、あの頃、ぼくは、楽しかった。