雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

かわうちかえる

かわうちかえる

 計画的避難区域とか緊急時避難準備区域とか、原発がとんでもないことになっている福島県からは遠く離れて東京のど真ん中の机の上で決められた制度が適用になって、またまたご心配をおかけしたみたいだけど、ぼくが住んでいるのは原発から25km地点の、政府が言うところの緊急時避難準備区域です。へっちゃらで生活してます。ばくぜんとした不安以外は、おそらくみなさんが住んでいるところより快適ではないかと思います。なので、とりあえずご安心ください。いや、その漠然とした不安というのが、たまんないわけなんですが。


 ということで、頼りにならない日本政府と本拠地である東京から、先日うれしい贈り物が届きました。川内村でDoor of Adventureというオフロードイベントを企画した山原さんが、デザイナーの富樫さんと制作したステッカーです。山原さんと富樫さんの思いにおされて、ナショナルマークの松下さんが出血大サービスで印刷してくれました。
 シンプルだけど、強い気持ちが表現されていて、今の川内村にぴったりだったと思います。ありがとうございました。いや、ぼくがもらったんではないんですけど、ぼくも郡山の役場まで出かけていって、山原さんたちがお渡しする儀式(というほどのものではないですが。なんせ災害中ですから)に立ち会わせてもらいました。
 役場は、郡山市のビックパレットふくしまという施設にあります。最初はそこの事務所を借りていたんだけど、この前、プレハブの庁舎ができました。ちょっと役場らしい雰囲気も復活してます。すぐ隣に富岡町役場があるというのが不思議ですが。
 山原さんたちには、避難所の様子を見てもらいました。避難所は、この前雨が降ったときに、ノロウィルスがはやっちゃって、たいへんだったそうです。今でも隔離病棟があるらしい。巨大な雑居生活ですから、病気が発生したらイチコロです。病気のほうは一段落したようなので、少しだけ安心ですが。
 ひととおり避難所を巡って、役場に戻ってみたら、むずかしい顔をした村長がいた。原子力保安員が来訪していたんですね。こりゃ、にこにこしていられません。彼らが帰るのを待って、村長にもステッカーをお渡ししました。村長、さっそく胸に貼ってくれた。
 念のため。かえるは川内村にはなくてはならない存在です。川内村にある平伏沼は、国の天然記念物となっています。モリアオガエルは、卵を沼や湖沿いの木の枝に産み付けます。卵がかえると、ぽとりと水に落ちます。水中の天敵から卵を守るための、生物の知恵です。村は長年にわたって、モリアオガエルを守るために、環境整備などをしてきました。
 そしてこのモリアオガエルをたずねてやってきたのが、詩人の草野心平さん。無理やり招待されてやってきたものの、やってきたとたんに川内村が気に入ってしまって、心平さんが亡くなるまで、村との蜜月は続いたのでした。
 かわうちのかえるは、そういう意味があります。もちろん、必ず帰る、という村人の総意でもあります。
 ありがとう。

テレビ映像のかえるかわうち
福島民友のかえるかわうち

どこかのテレビ局の一場面と、福島民友に掲載されたかえるかわうち
福島民友のかえるかわうち記事

 その翌日、菅直人が福島県を訪れました。テレビや新聞には、胸にこのステッカーを貼った村長と菅直人の姿が登場しました。胸の緑は、このステッカーだったのでした。
(原発から25kmって、原発のどこからだ? というつっこみがありました。どこからなんでしょうね。原発の敷地も広いですから)