雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

トテチータ・チキチータ

トテチータ・チキチータ

 映画見てきました。「トテチータ・チキチータ」ってやつ。福島県をロケ地として撮影された映画で、ファンタジータッチです。オフィシャルサイトはこちら<http://www.totecheeta-movie.jp/>。主演は豊原功補、松原智恵子など。311震災についても声に出さずに語られるという脚本で、福島県の人にとっては見ごたえ深いものですが、誰にとっても不思議な印象を残してくれ来るのではないかと思います。


 この映画を知ったのは、つい最近でした。今、お隣のHさんはせっせと井戸を掘っているんだけど、その井戸掘り現場が、ぼくんちの玄関から10mのところにあります。ぼくはHさんの井戸掘りの記録担当を務めています。勝手にやってるんだけどね。
 するとある日、やってきたのです。いまどきのこの村には珍しい、若い娘の二人組。道に迷ったのか、はたまた足はついてるかなとか、こっちが心配になっちゃったんだけど、彼女たち、映画のスタッフだというのです。映画のメイキング映像を撮ってるんだけど、話を聞いていいかといわれて、そりゃ減るもんじゃなし、若い女の子だし、お話しました。でも彼女たち、映画のスタッフだというのに、映画のチラシも持ってないから、何者だかわかんなかったんですけどね。
 ご存知だと思われますが、川内村には天山文庫という、草野心平ゆかりの庵があります。どうも彼女たち、そこへ向かっていたらしいんだけど、ナビがうそついたのか、ちょっと寄り道していこうと思ったのか、よりによって、うちの近所を通りかかっちゃった。そしたら、野山を駆ける犬に出会って、その犬を追いかけるように進んでいったんだって。犬に案内されたところで出会ったのがHさんの奥さん。Hさんの奥さんにも「映画のスタッフだけどお話聞かせてください」って言ったんでしょうね。Hさんの奥さんは、おしゃべりではないから、そういうのは向いていない。でもそこで矛先がぼくに向いたらしい。あっちに手ごろなのがいるから、あいつに聞いたらいいよと。まぁ、おっつけられたわけですね。都会からめんどくさいのがやってきたら、ニシマキんところを教えとけばいい、なんてね。
 こういう、交通事故みたいな出会いって、ぼくはけっこう好きなんで(若い娘が好きなのかもしれないけれど)しばしお話したのでした。彼女らは、井戸を掘っているHさんにも興味を示して、この井戸が出るまで追い続けるなんて言っちゃって、そりゃ、おまえ、何年もかかっちゃうかもしれないんだぞ、なんて言われてましたけどね。なんせHさんの井戸掘りはこれが一作目。まともに水が出る補償なんてひとつもないわけです。

1203井戸掘りの取材

なぜか井戸掘りを取材するふたりの映画スタッフ

 というか、なんで映画のメイキングをつくるのに、井戸掘りの顛末を追わなければいけないのかがさっぱりわからない。わからないけど、こいつらはなんだかおもしろいと思うようになっちゃったのでした。
 じゃ、縁があったらまた会おうねと別れた直後、この娘と来たらおなかが痛くなっちゃって、村でたった一軒だけ営業している旅館に駆け込んで、いきなり「薬ください」とやったらしい。これまた交通事故以上の出会いですね。たぶん、あの娘たちに、そういうオーラがあるのでしょう。
 なにが気に入ったのか、そのあとも細野大臣が村のみんなとお話をするというときにやってきたし、東京から村を気に入っている仲間が来るという時にもやってきた。いまや、彼女たちも川内村応援団の一味になりました。で、2度目に会った時にチラシをもらって、この映画が「トテチータ・チキチータ」というタイトルであることを知ったのでした。
 ぜんぜん映画の解説をしてないけど、もしお時間があったら見てみてください。主人公は4人ほどいるんだけど、小学生の役をやった新人女優のお父さん役が大鶴義丹さん。トライアルとは直接関係ないけど、オートバイの世界ではよく知られた俳優さんです。で、大鶴さんの奥さんをやってるのが映画「オートバイ少女」でデビューした石堂真央さんさんだから、オートバイとも少しかすってる映画です。

1203不思議な映画少女たち

突然村にやってきた、撮影助手の矢澤さんとメイキング担当の竹浪さん

 映画は白河市の隣の西郷村の文化センターという和める講堂で見たのだけど(相模川クリーンアップトライアルをやって、その翌日です)映画に先立った解説映像は、おなかが痛くなった彼女がナレーションを担当していた。不思議なストーリーの映画がくれた、不思議な出会いでした。
 映画の感想を聞かれたのだけど、福島にあると智恵子が言ったほんとうの空は、映画の中でもちゃんと描かれているなぁと思ったのでした。そういえば、松原智恵子と智恵子抄の智恵子さんは、同じ名前だった。