雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

川内村の解禁日

1203解禁日の山羊

警戒区域でけなげに育っていた山羊さん

4月1日は、川内村の解禁日でした。朝はいいお天気で、ちょっとあったかかった。昼過ぎに雲が出てきて、そしたら雪が降ってきた。雪というか、氷というか、急に寒くなった。それからまた日が差してきて、でも寒いまんま、一日が終わりました。

今日は四月バカの日だけど、今日へたにうそをついたら、それは冗談では済まされなくなるような気がします。そういえば、去年の4月1日は、とてもエイプリルフールなんて、まるで忘れて過ごしていたなぁ。エイプリルフールなのにうそがつけないなと思えるようになっただけ、今年は日常が戻ってきたということかもしれない。

1203解禁日の魚釣り

ということで解禁日だ。通常なら、この日は川のあちこちに釣り客があふれている。でも今年はまばら。いることはいるんだけど、こぞってやってきたという感じではない。いつもだって、やってくるのは海沿いの釣り好きのことが多かったから、このご時世、そうそう釣りなんかしていられないのかもしれない。

去年今年と、漁協は放流をしていない。だから魚はいないかもしれないけど、でも釣りをしている人も少ないから、大きいのが育っているかもしれない。今年も去年同様、釣りは自己責任で釣りたいやつは勝手に釣れ、魚がいなくても知らないぞ、釣った魚が高濃度に汚染されていても責任とらないぞ、ということらしい。

朝、早速釣りに出かけたお隣さん。写真を撮った時点ではまだ始めたばっかりだったけど、そういえば釣れたのかな? 釣果を聞いてないや。釣れたのがあったら、ぜひ測ってみなくちゃいけない。

1203解禁日の検問

しかして、本日の解禁日は、釣りのお話ではない。本日は、川内村の全域で警戒区域が解除された。今までめんどくさい手続きをして自分の家に帰る許可をもらっていたけど、今日からは好き勝手に帰ることができる。ただし、宿泊はだめらしい。なんだそれ? ラブホテルじゃあるまいし、宿泊と休憩の区別はどうやってつけるんだろう? 昼夜逆転した生活をしている人はどうするんだ。一晩中、村の中をほっつき歩いていたらいいのか? お役所が決めることは、どうも現場とかけ離れていて、よくわからない。

ということで写真は、これまでの検問から5kmほど富岡に近づいたところに設けられた今日からの検問所。近寄っていったらお巡りさんがやってきて、ここから先はいけません、という。重々承知しております。取材ですか? いえいえ、ただ写真を撮って、遠くに避難している友だちに現状を見せるだけです。一応免許証を……。なんて話をしていたら、もちっと上司っぽいひとがやってきて、なんの規制もありませんから、ここから先に入ってくれなければかまいませんよと、せっかく免許出したのになにも控えずに釈放されました。今度はもう少し怪しいと思われるかっこうで行ってみなきゃいけないかな(一晩中うろうろしてみるとか?)。

1203解禁日の要注意

警戒区域が解除になったといっても、特に線量がばっちりさがったわけではない。クルマの中で測りながら走った限りでも、まだまだ3.0μSv/hくらいのところはある。こういうところでは、除染作業で出た汚染物質(というほどのものかどうか、ぼくには疑問)の借り置き場をつくったりしているけど、そのすぐ近くのおうちに帰ってくる人たちがいる。

このエリアは、放射能の検査をしていて、玄関に「検査済み」なんて紙が貼ってある。と思ったら、知り合いのおうちにはこんな紙が貼ってあった。なにが要注意なんだろう? 家の中に高い放射線を出す物質があると言うことか、それとも除染の際には気をつけないと、高圧洗車で壁を洗うと壁が抜けるぞ、という注意なのか、もしかしたら要注意人物が住んでます、という意味なのか。これも要取材です。

1203解禁日の3人

近くを歩いていたら、まず白い服を着た人がこんにちはと寄ってきた。この人は除染のあと、線量を測る担当の人。そしたらそこをツーリングしているライダーも通りかかった。加曽利隆さんのお知り合いらしいので、もっとお話したかったけど、通りすがりということでお別れしてしまった。ご縁があれば、きっとまた会えるでしょう。解禁日のツーリングとは、なかなかオツだなと思いました。

線量計測の人は、サーベイメーターをふたつ持って歩いていた。ひとつ40万円だそうだ。あちらは、ぼくの9,800円のやつに興味があるらしい。測ってみたら、どっちも同じような値を示した。1.72と1.68。まずばっちり正確、ということにしていて大丈夫かな。ちょっとまじめに付け加えれば、ガイガーカウンターは数字がでかい時にはだいたい安定した数字を出すんだけど、数字が小さい時(安全な時)は不安定になるものなんで、このあたりこそ9,800円の本領発揮の場所なのだと思う。

1203解禁日のイノシシ

道を走っていると、イノシシとおいかけっこ。この写真、なんかサルみたいに見えるけど、イノシシです。警戒区域では人がいないので、イノシシが昼間でも平気で歩いている。去年の3月以前、ぼくは昼間にイノシシを見たことがなかった。あれ以降、けっこう見ます。

イノシシも、これまで動物の天下だった界隈に、突然人間が舞い戻ってきて、大慌てしていることだろう。

1203解禁日の原発

イノシシとおいかけっこをしながら登った先に、海が見える丘がある。ここ、以前にも紹介したけど、第一原発が見える。500mmくらいの望遠レンズがあると、もっとはっきり見えるでしょうね。まぁ見てもしょうがないという気はするけど、間近で見る勇気がない人には、ちょうどいい距離かもしれない。

1203解禁日のバス

そしてあした、川内村には1年2週間ぶりに、バスが来る。船引駅と小野新町駅からの2方向から。村にあるバスの車庫には、新車っぽいバスが2台入っていて、復興バスというお化粧もしてあった。このバス、川内村専用なのかもしれない。

という、村内観光をした日曜日でした。