雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

ソニーα7と不思議な仕様

2014α7で撮った支笏湖
2014α7で撮った支笏湖全日本選手権の帰りは、支笏湖経由で帰ってきてみました

ソニーα7という、およそスポーツを題材とする写真を撮るのに向いてなさそうなカメラを買って1ヶ月ほどになった。使い方がわかんなかったりおたおたしたりしながら、なんとなくこのカメラとのつきあい方がわかってきた。使い物になるかどうかの結論は、まだ出ていない。でも久しぶりに、写真を撮るのが楽しい感覚を思い出している。

ソニーα7はいわゆるミラーレス一眼というやつで(ぼくはこの言い方が大きらい)、ミラーがついてない。レンズ交換ができるのが大きな宣伝文句になるわけだけど、これがおっかない。

これまでぼくらは、一眼レフカメラを仕事道具に使ってきて、状況に合わせてレンズを交換してきた。仕事は雨の日にもあって、雨が降ってもレンズ交換をしてきた。そういうもんだと思ってきたけど、雨の日にはふつうの人は写真は撮らない、と最近知った。だからぼくらのカメラは、かわいそうである。

そこへもってきてミラーレス一眼というやつは、レンズ交換をしようと思ってレンズを外すと、ぼろっと受光素子が見えてしまう。受光素子というのは、ぼくらの古い感覚でいえばフィルムみたいなもんで、これが見えてしまうのはたいへんショッキングな事態だ。

おかげで、レンズ交換は極力埃の少ないところで行い、一眼レフみたいにレンズを外したまましばらく放置するなんてことは絶対にしないという新たなお約束を守らなければいけなくなった。それでも、センサーに埃がついて、空の真ん中に未確認飛行物体が現れたりするから、困ったものだ。

ミラーレスと一眼レフとを比べて、一眼レフにあってミラーレスにないもの、それは名前のとおりミラーだ。レンズを外した一眼レフは、まずミラーがあって、その背後にシャッターが控えている。だからフィルムがぼろっと露出するなんてことはないわけだ。

あれ? しかしこのα7というカメラ、一眼レフとおんなじフォーカルプレーンシャッターがついてるんだよな。

ミラーレスってのは、受光素子で見たものを電気的に液晶ファインダーに伝えて表示する。シャッターが閉じていると、ファインダー像は見えない。だからいつもはシャッターが開いている。写真を撮ろうとすると、一度シャッターが閉じて、もう一度シャッターを開閉して記録回路へ画像を送って、最後にもう一度シャッターを開いて液晶に情報を伝えるようにするしくみだ。一瞬のことだからシャッターを見ててもそれとはわからない。でもシャッターは忙しく仕事をしている。

どうして、レンズ交換の際に一度シャッターを閉じてくれるというスイッチをなんでつけてくれなかったかなぁ。せっかくシャッターがあるのに、レンズ交換の度に受光素子を大気にさらすのは、フルチンで銀座を歩くみたいな勇気がいる。ソニーの人、というよりミラーレス一眼の設計者の皆さんが見てたら、ぜひ採用してほしいしかけであります。

もうひとつ、ソニーのミラーレス(じゃないのにもあるみたいだけど)には、全画素超解像ズームってメカがある。いわゆる電子ズームだ。電子ズームというのは、ちゃんとしたズームとちがって、電気的に一部を切り出して画面を大きく見せるというしかけなんだけど、こんなものを使うんだったら、パソコンででもトリミングしてやったほうがいいんじゃないかとこれまで思っていた。

おんなじような理由で、昔あったパノラマ撮影というのもインチキだと思っている。あれは広く撮るためのしかけではなくて、ふつうの写真の上下を切り刻んで、横長に見せているだけだからだ(最近は、撮影時にカメラを回して、電気的に写真を合成してほんとうのパノラマが作れるようになっている)。

さてしかし、この超なんとかというしかけは、そういうのとはすこしちがう。このズームを使う場合は、単純に画面の真ん中を切り取るんじゃなく、その部分の画像データを受光素子の全面で受け取る、みたいなことをやるらしい。だから、単に画面の真ん中を切り取ってくる電子ズームとはちょっとばかりラベルがちがう。これなら、もしかしたら使えるかもしれない。

お気に入りの単焦点レンズ、たとえば35ミリを持って散歩に行ったとき、あぁ、ここは50ミリがほしかったな、70ミリがほしかったな、と思ってしまった場合、この超なんとかズームを使えば、単焦点レンズが、なんとかズームレンズの代わりをしてくれる。便利なシステムだ。

で、ここから先は世の中のカメラおたくのみんなに問いたい。α7はフルサイズ(24ミリ×36ミリ)で、これまでソニーがNEX(ねっくすじゃなくてえぬいーえっくすと読むそうだ)という名前で作ってきたカメラはAPS-Cといって、18ミリ×24ミリサイズで少し画面が小さい。で、APS-Cのレンズをα7につけた場合、35ミリフルサイズの写真にはならず、APS-Cのサイズになる。

この関係はフルサイズとAPS-Cカメラではどのメーカーでも同じ理屈なのだけど、このカメラはファインダーが電気じかけだから、APS-Cレンズをつけた場合でもフルサイズ用のレンズをつけた場合でもファインダーで見た目は同じに見える。勝手に拡大して見せてくれているらしい。

さっきはインチキとこきおろしたくせに、今度はありがたく使っている。勝手なやつだとお思いでしょうが、まぁそういうもんです。

ただしありがたがっても、写るものはしょせんAPS-Cサイズで、35ミリフルサイズの受光素子の真ん中しか使わない。もったいない。

そんで試しに、APS-Cの自動クロップのスイッチを切って、さらに超なんとかズームで1.5倍にしてみた。こうしてやると、画角は同じで、写ったものは35ミリフルサイズということになる。

ネットなどを検索すると、フルサイズのカメラにAPS-Cのレンズをつけるのは画素数をフルに使えずにもったいないとおっしゃる方が多い。だったらこんなふうにすればいいのにと思うんだけど、こういう使い方をしている人はざっと検索した限り見つからないから、どんなもんでしょうねと、こっそり提案してみる次第であります。

参考の写真は、20ミリF2.8というぜんぜん高級でないレンズを使って撮ったもので、APS-C仕様(周囲が青くなっている)、フルサイズでそのまま撮ったもの(画面の四隅が暗くなっている)、その状態から超なんとかズームを使ったものの3枚をご覧ください。

1407α7フルサイズAPS-Cでふつうに撮ったもの。大きさを表すため、周囲を青くしました
1407α7APS-Cまわりが写らないのを承知で、フルサイズで撮りました
1407α7ズーム全画素超解像ズームを使いました

こちらは、それぞれの中央部を拡大したもの。超なんとかズームを使わなかった2枚は実質的に同じもの(色がちがうのはAWBの気まぐれだと思う)。フルサイズで撮るだけディスクの無駄。なんとかズームを使ったものは、サイズがでかいというか、画素数は多い。どっちがいいのかは、わからない。個人的感想としては、たいして変わんない。

1407α7APS-CAPS-Cサイズでの撮影
1407α7フルサイズフルサイズでの撮影
1407α7ズームあり全画素超解像ズームでの撮影