この地に住み始めてから、カメムシとは人一倍仲良くしてきました。まだ酒を飲み交わしたり、チューしたりはしていませんが、ずいぶん親しくなったとは思っています。そんな私が、カメムシに生まれ変わる予定の皆さんに、長生きのコツをお知らせします。
このあたりの冬はとても寒いです。カメムシはみんな、あったかいところを探して冬眠に入ります。びっしりと積み上げられた薪だななどは、侵入も簡単だし、こっそり隠れているのにはいいところです。薪なんだから燃やされてしまうとお思いでしょうが、薪はそうそう燃やされるもんじゃない。だいたい2年くらいは乾燥させておくのがふつうだから、積んだばっかりの薪は、しばらくは燃やしません。いやいやカメムシの皆さんだって、冬は冬眠するけど夏は冬眠の必要がないので、薪の間に2年も暮らしている必要はありません。冬眠するときに、新しい薪を選んで忍び込めば、その冬は起こされることはないと思われます。

今回ご紹介した連中は、そこんところをまちがえちゃって、もう乾燥し切ったやつを寝床に冬眠していました。なので冬眠はここでおしまい。家に入れる前に、寒空にぱぱぱと投げ飛ばされてさようならです。
以前は、彼らはそのまま凍死するものだと思っていました。しかしだったら、薪棚の前は、凍死したカメムシの死骸がいっぱい転がっているはず。ないんです、そんなの。
冬眠するのに、快適なところを求めるから薪棚を求めてくるけれど、実はカメムシは体外の寒さでも死なないのではないか、というのが最近の考察です。
カメムシの中には、こんなふうに薪の表面じゃなくて、皮の中に潜り込んでいるのがいる。こういうのは、薪棚から家に入れる時に発見するのがむずかしくて、ストーブ焚いて家があったかくなってから、ブーンと飛び回って発見されることがある。そういうのは発見され次第捕獲されて、捕獲したやつは、うちの場合、たいてい火葬している。くさいんじゃないかと心配してくれる人は多いんだけど、意外に匂わない。攻撃された時に臭いのを出せ、は彼らはの本能だけど、火が迫ってきた時にどうしたらいいかは教わってないんじゃないかと思う。
ただカメムシの中にもねぼすけがいて、家に入れても起きないのがいる。そういう場合は人間も気がつかないまま、そのまま薪といっしょにストーブに投入される。こちらとしては、逃亡したやつを捕獲する手間が省けるからありがたい。

というわけで、当社の場合、カメムシの未来は火葬か冷却処分の二択なのですが、来世胃がカメムシの皆様におかれましては、薪は乾いてないのにくっつくこと、皮の中などわかりにくいところには入り込まないこと、雪原など冷たいところに放り出されても、なんとかあったかいところまでたどり着くこと、を覚えておいてください。
確実に絶命するのは、冬、庭のクルマに忍び込んでぬくぬくと越冬し、そのまま夏を迎えてしまった連中です。カメムシも、熱中症にはなす術がないらしく、お気の毒に、みんなフロントウインドウなど、外に出ようと必死こいた形跡を残して死骸となっています。熱中症は、カメムシにとっても危険極まりないことのようです。生物にとって、天敵は寒いより暑い、みたいです。皆様は現世においても、どうぞ熱中症には気をつけて。熱中症であの世に行って、来世でカメムシになってやっぱり熱中症でこの世をさることにでもなったら、カメムシにも申し訳が立ちません。
どうか来世では気をつけてください。

