雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

トリッカーと芥川賞と牛丼


ヤマハの、トリッカーの記者試乗会へ行ってきました。昔々、もっとふつうのオートバイ雑誌の編集者をやっていたときには、発表試乗会のはしごをして暮らしていたようなこともあったけど、ライディングスポーツ以降、そういうところに出かけるチャンスはめっきり減ってしまった。試乗会に集まる顔ぶれは、メーカーの人も雑誌屋さんも、8割方は知らない人だけど、少しは知った人もいて、なんだか同窓会にでかけたみたいな気にもなった。
でトリッカー。19インチと16インチのホイールをはいていて、とてもトライアル用途に適しているとはいえないけど、でもふつうのバイクとしてみたら、トライアルごっこもできそうだなという気分にさせる感じがして、とっても楽しかった。「シートはぎりぎりまで薄くした」みたいな説明があったけど、ソノシートに座ってぼくらが思ったのは「ちゃんとしたシートがついてるバイクって、乗り心地がいいなぁ」ということだった。山男には、都会人の価値観はわからなくなっている(笑)。
価値観がわからないといえば、芥川賞だ。文藝春秋を買えば、二作品まとめて読めるのに、文藝春秋の横に単行本も並んでいるというのもよくわからないけど、そういうのはまぁいいとして、この芥川賞。ふたつとも、うまい文章を書くなぁとは思ったけど、そのテーマについては、なんだかさっぱりわからなかった。首をひねりながら、最後まで読んで終わって、もう一度首をひねりましたとさ。
そしたら、高校生の長女は、これを読んで感動したらしい。感動してないちゃったというから、よっぽどだ。そういう気持ちは、さっぱりわからぬ。私もおっさんになったということだなぁ。
今月号の文藝春秋には、いろんな人がその芥川賞の感想を寄せていて、やっぱり年代順に「さっぱりわからん」人が増えているのはおもしろかった。でも全体的には、世の中は新人類にあたたかくなっていますね。木村さんが「ヤマハも変わったでしょ」とヤマハのライダーたる渋谷勲を見ながら言うのだけど、ヤマハも変わったけど、世の中も充分変わっているのだと、ぼくは思います。
3月号、東陽片岡がイラストを描いてくれたら、ぼくと杉谷が牛丼について語っている。本文中にぼくは牛丼のことに触れているけど、ぼくと東陽片岡はなんにも話をしていないのに、こういうリンクができちゃった。きっとふたりとも、牛丼にはずいぶんお世話になったということなんでしょう。
牛丼ごときで大騒ぎをしている世の中もすごいと思うけど、少し感心するのは、牛丼よ再び、という声に押されて、検査しないでもいいから、アメリカさん、牛肉を売ってください、なんて展開にならなかったこと。検査しない牛肉が本当にあぶないのかどうかはよくわかんないけど、検査するべしということになったのだったら、そのポリシーは貫いてほしいもんであります。
吉野家は、牛丼がなくなって2割も売り上げが落ちたらしいけど、牛丼専門店で牛肉がなくなったら、売り上げが10割落ちてもよさそうなもんだけど、がんばってるといいたいところ。自然山通信からトライアルライダーがいなくなったら、2割減どころか、2割確保もむずかしいですから。
でも、牛丼がなくなる、という過剰な報道のおかげで、これまで牛丼屋さんに入ろうとしなかった人も、入ってみる気になったりしたんじゃないのかな。どんなテーマであれ、露出されるということは偉大なことです。
自然山通信も、東陽片岡に思う存分すきなものを描かせて、わいせつ物陳列罪でとっつかまって、それで世間に存在をアピールするという手もあるかもしれませぬ。もし、ぼくらが婦女暴行とか淫行罪とか万引きとかでとっつかまったとしたら、それはそういう深い思慮があってのことだと、みなさまご理解ください。
なーんて、そういう予定は(少なくともぼくは)今のところありませんけど。
なんだか話がぜーんぜん関係ないところに飛んじゃった。ともあれ、トリッカーは楽しいオートバイだったという日記でした。