雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

3ない運動、テレビゲーム、暴走族

 去年、デ・ナシオンに参加した高橋摩耶は、埼玉県の19歳。ついこの前まで高校生ライダーだった。埼玉県というところは厳しい3ない運動で有名なところで、高橋家も学校に直談判に出かけたが快い返事はちょうだいできず、トライアル以外の場で苦労があったようだ。
 という話をつい最近も聞かされたばかりだから、小林ゆきBIKE blog「最近は3ない運動を知らない人が多い」ってのを読んだときにはちょっとびっくり。


 3ない運動がどんな経緯で、どんな経過で広がっていったのかはわかんないけど、目的と手段をまったくまちがえている制度だから、知らない人が多い=機能していないということだったらうれしい限り。
 うちの娘は小学生で埼玉県の学校へ通っているけど、学校の先生には「この前のお休みにはオートバイに乗ってきた」と報告してるらしいし(別に報告義務はない)先生も楽しそうに話しにつきあってくれるらしい。ときどきは「遠くまでオートバイ遊びに出かけるから、月曜日はお休みします」なんて届けも出している。高校生の3ない運動と小学生がオートバイに乗るのとは、教育者サイドから見ると、また話がちがうんでしょうね。
 ところで学校の先生が刺し殺された寝屋川市の事件。この17歳の少年は、親に買ってもらったオートバイで事故を起こして大けが(単なる骨折くらいで、いわゆるオートバイ乗りからするとかすり傷だけど)をしたことがあるらしい。ところが、今やワイドショーでも(あんまり見ちゃいないけど)オートバイ事故のことが事件の原因と関連付けられることはほとんどなくて、少年がゲーム三昧だったことのほうが重要事項として取り上げられている。
 オートバイに乗っていて、事故を起こすような乗り方をしていて、しかも人を刺し殺しちゃっても、オートバイのことはぜーんぜん取り上げられないのだ。なんだかさびしいではないか。ぼくの時代のオートバイ原体験は「イージーライダー」だから、オートバイはアウトローの乗り物として光り輝いているものなんだが、そのアウトローの象徴が、テレビゲームに負けちゃうのだ。ご時世なのかなぁ。
 これでふと思ってみた。モータースポーツがはやらないのは、暴走族が暴れ回るからだという説がある。ぼくが高校生の頃は、確かにオートバイは暴走族に直結していて、非行のはじまりだったのかもしれない。あの時代(Z2に乗っていれば、そこらの番長よりもえらそうに見えた)は、それでも今のうるさいだけの連中と比べると、もうちょいちゃんとしたオートバイ乗りだったように思えるが、そんな比較はどうでもいいや。これからは非行の始まりはオートバイじゃない。テレビゲームなのだ。となると、モータースポーツがはやらないのも、まんざら暴走族のせいにばっかりしていられないかもしれない。
 酔っぱらって勢いで書いちゃおう。オートバイメーカーも、MFJその他のモータースポーツ普及機関も、そしてぼくら雑誌屋も、オートバイが受け入れられないのを、なんとなーく暴走族のせいにしてきた。これ、逆説的にいうと、とってもらくちんだったんだよね。そんなものを免罪符にしていないで、そろそろ本気で考えないといけませんね。