雪は降ったって春は春。シーズンは開幕してます。えいえいおー

MFJロードレースアカデミー

お風呂場と富士山

 先日のMFJの表彰式の際、2006年の活動方針として「MFJロードレースアカデミー」というのが発表されていた。ロードレースのことだから半分聞き流していたけど、リリースを読み返してみると、いろいろ興味深いものがあった。


 まず、概要をご説明します。
 参加資格は12歳から15歳で、ポケバイやミニバイク、モトクロスなどのレース活動を経験した者。9ヶ月間の間に22日の講習を受け、受講料は30万円。車両の貸与やメンテナンス、宿泊、MFJ共済会掛け金を含んでいる。
 マシンはCBR150、NS50、NSRmini。
 3月11日のオリエンテーションから始まって、春休み合宿、5月の連休、6月、7月と土曜、日曜をメインに日程を組んでいって、夏休みには3泊4日の夏休み合宿がある。
 12月の末には、卒業検定などがあって、国内ライセンスを取得するという構図になっている。
 このスクールを紹介することがメインテーマではないのだけど、興味がある人は0285-45-8465(MFJロードレースアカデミー事務局(ライディングハート内)にご連絡ください。ライディングハートは五百部徳雄さんの会社で、このアカデミーの校長先生も五百部さんです。
 アカデミーと聞いて、トライアル屋が連想するのは「シェルコ・アカデミー」だ。シェルコからはひんぱんにこのスクールについてのプレスリリースが届くし(日本語にして紹介していないのは、自然山通信の怠慢。ごめんなさい)、ヨーロッパにいくと、アンドリュー・コディナが「今度はブラジルのライダーがアカデミーにやって来る。まぁ、そんなに若くないし、将来が期待できるわけじゃないけど、世界的に広がってるということだよ」なんて話をしてくれる。アンドリューの話を聞いていると、シェルコアカデミーは世界的視野に立っているけど、日本だけが蚊帳の外みたいな気がして、ちょっとさびしかったものだった。
 モータースポーツには、教育部門が不足しているとMFJが気がついたのはおととしくらいのことだった。モータースポーツは、どんなきれいごとを並べたって安全なものではない。死ぬこともある(なんだってそうだけど)。しかしそんなに危険なことをしている割に、一番とっつきの教育部分になんの統一も統制もなく、これでよいのかということに(いまさら)なったということだ。
 今回のMFJアカデミーもその発展なのだけど、教育には、社会的な責任と、もう一方で、次世代の有力ライダーを育てる目的とがある。このアカデミーは、定員20名だし、入門教育というより、英才教育型になるのかもしれない。「卒業したら地方選手権に出場可能なレベルに育成する」とある。シェルコアカデミーも、もちろん英才教育型だ。
 内容的には、MFJがシェルコのアカデミーを研究したのではないかというくらい、よく似た感じ。マシンは貸与され、集中的にスクールをやる。でも研究しないでも、だいたいこのへんに落ちつくということかもしれませんね。
 22日間で12泊、マシン貸与。30万円にまとまると安くはないけど、1回あたりに割ってしまうと、たいへん割安感がある。こんなに安くていいのかなぁ。意外に、東南アジアの富豪の息子たちが受講にやってきたりして……。
 トライアルは、シェルコ・アカデミーの例を見ても、こういうスクールが比較的やりやすい環境にあると思える。ロードレースはサーキットが必須だし、モトクロスもモトクロスコースが必要。トライアルも走るところが必要だけど、1979年の世界チャンピオン、バーニー・シュライバーの名著によると「3メートル四方の駐車場があれば、かなりのトレーニングが可能だ」とある。確かに世界のトップライダーは、狭い狭いトレーニングエリアでも、いろいろ工夫して練習している。万一駐車場しか走るところがなければ、それでもトレーニングをするだろう。トライアルは、工夫次第でどんなところでも訓練ができるところがおいしい。
 ブラック団を結成して世界のトップライダーを次々に輩出した黒山一郎さんは、今、次なる活動として次世代のトップライダーを育てる計画を練っているという。数年前から計画中だから、動き出すのがいつになるのかは微妙だけど、こうした活動こそ、MFJの名のもとに動ければ、かっこよいのですけどもね。
 今、微妙な言い方をしました。MFJがやるべきだとは書きません。MFJの名のもとに、と書いてます。MFJの財政や財源を考えると、トライアルのスクールを大々的にやる素地は、はっきりいってないと思われる。ただMFJも、トライアルに力を入れると世間に認められるという背景があれば、力を入れないわけにはいかない。トライアルがいろんな場面で無視されちゃうのは、まだまだトライアル自体が、世間に認められていないということなんだろうなぁ。その点は、自然山通信含む、トライアルみんなの力不足でもあります。
 なにを書いてるのかわかんなくなったけど、MFJがロードレースアカデミーを開校すること、それに対してトライアルアカデミーの可能性について、つらつら考えてみたことでありました。
 写真は、例によってまったく関係ないけど、山村レイコさんちの庭にあったお風呂場の取り壊し作業中の一コマ。